【書評・感想】ナミヤ雑貨店の奇蹟 東野圭吾

<タイトル> 

ナミヤ雑貨店の奇蹟


<著者> 

東野圭吾


1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学工学部卒業。
1985年、「放課後」でデビュー、江戸川乱歩賞を受賞。
2006年、「容疑者Xの献身」で直木賞受賞。
その他、「夢幻花」、「秘密」、「白夜行」など作品多数。

あらすじ

時空を超えた、悩み相談の手紙のやりとりがもたらす奇蹟の物語です。

深夜、盗んで運転してきた車が故障し、身を潜めるため空き家に侵入した3人の青年。

 

そこは、昔「ナミヤ雑貨店」という雑貨屋で、主人が悩み相談に答えてくれることで話題になった過去がありました。

40年も前のことで、32年前に店主が亡くなるまで続けられました。

 

どんな悩みでも、店に投函すれば、翌朝、店の牛乳箱に返事が入っているという仕組みです。

ナミヤ雑貨店の奇蹟

はじめは近所の子供たちのいたずらのような悩み相談がほとんどでした。

しかし、どんな悩みでも真剣に返事をする店主の噂が広まり、いつしか真剣且つ深刻な悩み相談が多く寄せられるようになり、雑誌にも取り上げられたのでした。

 

空き家の中に保管されてあった昔の雑誌を見て、3人はそれに気づきます。

 

突如、とうの昔に廃業しているはずの店のシャッターから手紙が投稿されます。

3人は状況が理解できず、戸惑いましたが、興味本位で、真似事をするつもりで悩みに対する返事を書き、牛乳箱に入れます。

 

すると、牛乳箱に入れた瞬間、またシャッターから手紙が投函されたのです。

3人が出した手紙の返事でした。

今入れたばかりの牛乳箱の中身は無くなっていました。

 

何かのトリックに引っかかっているような気分で混乱する3人でしたが、相談主のことも気になる。

このような形で、雑貨店の店主に代わり、現代の3人の盗人による、悩み相談が始まりました。

 

やがて3人は、この空き家は過去と繋がっていて、家の中は外の時間の流れと違うということに気づきます。

信じられない話ですが、それしか説明がつきません。

 

手紙の内容から判断すると、どう考えても相談主は何十年も前の過去のことを書いています。

過去の相談主と現代の盗人との間の奇妙な手紙のやり取りにより、ある共通点を持つ人たちが、不思議な力に導かれるように繋がっていきます。

こんな人におすすめ

  • 東野圭吾の本を初めて読む人
  • 難解な推理小説やミステリーは苦手な人
  • 読書の習慣をつけたい人

 

感想

東野圭吾さんの作品ですが、謎の殺人事件が起こるわけでも、複雑な化学、物理が登場するわけでもありません。

心温まる感動ミステリーです。

 

初めて東野圭吾作品を読んでみようという人に是非おすすめしたい作品です。

東野圭吾作品の特徴は、序盤で様々な場面で、様々な人物が登場し、ストーリーを展開します。

 

それが終盤になるにしたがって繋がって行き、こういうことだったのか、と予想外の展開に驚き、何気ない描写がここで重要な意味を持っていたのか、と感心するパターンが多いと思います。

 

本書もその要素は十分に入っており、点と点が繋がっていき、終盤にかけて加速度的に線となって物語の全体と背景がわかってくるようになっています。

同時に感動が一気にこみ上げてきます。

ナミヤ雑貨店の奇蹟

(以下ネタバレ注意)





ある養護施設の元園長の女性は、昔恋仲にあった男性がいましたが、家族の反対にあいます。

そこで駆け落ちしようと試みますが、直前に気づかれ、失敗に終わってしまいます。

 

相手の男性は、その後女性に手紙を書き、自分のような分不相応の者が迷惑をかけてしまったことを謝罪し、女性の幸せを心から願う気持ちを伝えました。

 

女性は、その後もその男性を想い続け、生涯独身を貫きました。

そして男性の故郷に養護施設を設立し、恵まれない子供たちを助ける道を選びました。

 

その想いを寄せた男性こそ、ナミヤ雑貨店の店主、浪矢雄治だったのです。

時空を超えた悩み相談の手紙のやり取りに関わる人物は、皆この養護施設に関係する人たちです。

元園長と雑貨店の店主の思いが不思議な力で人を繋げていきます。

 

なぜ、このような奇蹟が起きたのか?

私が考えるに、二人とも、人に「与える」人間であったからです。

 

園長は、元々恵まれた家に生まれましたが、その資産を養護施設設立のために使い、身寄りのない子供たちのために尽くしました。

雑貨店の店主、浪矢雄治は、悩み相談を生き甲斐としました。

どんな些細な悩みやいたずらのような相談であろうと、真剣に取り組み返事を書きました。

 

いたずらの手紙に返事を書く理由を問われ、こう答えています。

「嫌がらせだろうが悪戯(いたずら)目的だろうが、「ナミヤ雑貨店」に手紙を入れる人間は、ふつうの悩み相談者と根本的には同じだ。

心にどっか穴が開いていて、そこから大事なものが流れ出しとるんだ。
その証拠に、そんな連中でも必ず回答を受け取りに来る。
牛乳箱の中を覗きに来る。
自分が書いた手紙にナミヤの爺さんがどんな回答を寄越すか、知りたくて仕方がないわけだ。
考えてみな。たとえでたらめな相談事でも、三十も考えて書くのは大変なことだ。
そんなしんどいことをしておいて、何の答えも欲しくないなんてことは絶対にない。
だからわしは回答を書くんだ。一生懸命、考えて書く。人の心の声は、決して無視しちゃいかん。」

 

この物語は、他人に「与える」2人が生んだ奇蹟であると感じます。

2人が生んだ奇蹟が、養護施設に関わる人たちの助けとなり、励ましとなり、生きる指針となります。

 

盗人の3人も実はこの養護施設で育った過去があります。

最後はきらきらした目を取り戻している描写でこの物語は完結しています。

奇蹟や通常では考えられないような大きな事は、受け取ることばかりを望む人間にはやってこない、人に与えることができる人間のところへやってくる。

感動の余韻に浸るとともに、与える心の大切さも教えてもらったような気分になりました。

 

書籍はこちら

ナミヤ雑貨店の奇蹟

 


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以上、ここまで読んでいただいてありがとうございました。

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