自殺を減らすにはどうすればよいのか

自殺率の高い国日本

日本は、世界の中でも自殺率の高い国です。

WHOの統計によると、2015年の主要国の自殺率に関する調査では、日本の自殺率はワースト7位という結果です。(全41カ国中)

1位 リトアニア

2位 韓国

3位 ロシア

4位 スロベニア

4位 ラトビア

6位 ハンガリー

7位 日本

・・・

10位 アメリカ

 

東欧諸国に自殺率の高い国が入ってきていますが、これはアルコール依存症の影響が大きいことが指摘されています。

韓国は、日本と似たような状況にある国と思われますが、日本よりも学歴社会の価値感が強く、経済格差も大きいため、日本よりも悪い結果になったものと思われます。

 

日本で特筆すべきは、他国に比べて若年層の自殺率が高いことです。

フランス・ドイツ・カナダ・米国・英国・イタリアとの比較では、日本だけが若年層(15歳から39歳)の死因のトップは自殺となっています。

他の6カ国はいずれも「事故」がトップになっています。

全体の自殺率が日本より高い韓国と比べても、若年層の自殺率では日本の方が高い結果になっています。

 

なお、件数について見ると、日本国内の推移では2000年代で3万人を超えていた年間自殺者数は、年々減少し、直近2018年では20,840人となりました。(警視庁サイトより)

参考:警視庁サイト

http://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/jisatsu.html

若年層の自殺増加

日本の自殺者数は、全体としては減少傾向にあります。

2009年の32,845人と比べると、10年ほどで、実に4割近くも減っていることになります。

 

しかし、10代だけを見てみると、2009年の565人から2018年は599人と増えています。

全体の人数に占める10代の割合は大きくはないのですが、これは見過ごせません。

 

10代の自殺の原因で、最も多いのがいじめです。

最近では、ネットの発達により、SNS等を利用したネットいじめが問題になっており、自殺者数を増加させている要因の一つと考えられます。

10代はじめ、若年層の自殺のニュースを聞くたびに、大変悲しい気持ちになります。

複合的な自殺の原因と対策の原則

自殺の原因は様々な要因が重なり合っているケースが多いようです。

健康問題(うつ病などの精神疾患もこれに含まれます)、家庭問題、経済・生活問題、勤務問題、学校問題、男女問題等複数が関係しています。

 

先ほどの警視庁の統計によると、原因のうち最も多いのが、健康問題で10,423人。

実に半数以上で健康問題が絡んでいます。

自殺者の多くは、うつ病などの精神疾患を患っていると言われています。

 

次いで経済・生活問題が3,432人、家庭問題が3,147人、勤務問題が2,018人となっています。

このような結果から、メンタルヘルスの重要性が以前から叫ばれています。

厚生労働省から、毎年のようにメンタルヘルスに対する指針が発表、更新されています。

職場でストレスチェックを実施したことのある人も多いのではないでしょうか。

 

原則は、早期の問題把握と、支援を求めることができる体制作りが重要であると言われています。

この点、日本でも一定の成果をもたらしているとは思いますが、日々急激に変化する時代においては、自殺の原因となる社会背景も複雑化していくことが予想されます。

 

また、若年層の自殺が増えていることは大きな課題でしょう。

メンタルヘルスの充実を図っていくことと同時に、新たな抜本的な対策が必要なのではないかと思います。

復讐や社会へのメッセージとしての自殺

数年前、電通の社員の方が過労を苦に自殺した問題が大きく取り上げられました。

それに関する記事で、以前自殺をしようとして、思いとどまったことのある人が、この事件に関してコメントをしていた内容が気になりました。

 

「長時間労働などによる過労自殺」なのか「復讐としての自殺」なのか、疑問に思った。

 

こうコメントした人自身も、自殺を考えた経験を持ち、その理由として、未来への絶望と、会社と上司への復讐を挙げています。

 

自殺をすれば上司や会社に、現在の職場で起こっている異常な状態を伝えることができるのではないかと考えた。

 

この「復讐」という要素は、自殺する人を突き動かす一つの大きな原因になっているように思います。

自殺に追い込まれてしまう人は、当然何かしらの不満を抱えています。

 

会社、会社の人間、学校、学校の人間、親、社会全体等に対する不満や怒りの感情があるものの、それを自分で解決、処理しきれないほど追い込まれてしまった。

最終的な解決策は、死を選ぶことで、メディアや社会が注目し問題視してくれるだろう。

(不満の対象となった人は)罪の意識を持つようになるだろう、社会から制裁を受けるだろう、誰かが解決してくれるだろう。

このような感覚になっても不思議ではありません。

これは、若年層のいじめによる自殺にも多分にあてはまると思います。

海外のものですが、以前、自殺未遂をした人の、自殺をしようとした理由についての特集を見たことがあります。

やはり「復讐」という概念が記されており、自殺の理由の大きな一部であることがうかがえました。

報道する意味を考える

自殺の理由に「復讐」という背景があることを考えると、報道のあり方についてもしっかり考える必要があります。

WHOでは、自殺予防のための、メディア関係者のために参考となる手引を発表しています。

 

メディアが自殺を報道することで、模倣自殺に走る人が発生する可能性があります。

報道の仕方次第では、自殺を煽ることにつながったり、方法を教えてしまうことになったりするからです。

この現象は「ウェルテル効果」と呼ばれています。

 

またセンセーショナルに報道されることで、先ほど述べたように復讐できるという認識を与えてしまう可能性も含まれると思います。

模倣自殺誘発という大きなリスクを抱えて報道しているのです。

 

ここで、疑問が浮かびます。

そこまでして、大きく報道する意味は何なのでしょうか。

 

命に関わる報道であれば、慎重に考えるべきであることは議論の余地はないのですが、

報道することで、自殺の原因となる社会的背景や問題について、多くの人が考えることができれば意味はあると思います。

 

しかし、それであれば、報道とは別に、自殺問題について考える機会がある都度、情報を入手し、考えることができるような仕組みにしてももよいのではないかと思います。

 

報道することで自殺者が増えてしまうのは本末転倒です。

報道されることを前提に、復讐の道を自殺に託す行為も助長してしまいます。

そう考えると、報道する意義は見出せないというのが私の率直な感想です。

抜本的な対策を検討するべき時がきた

自殺者が出た場合、いっそうのこと報道をしないという原則にすることも検討する必要があるのではないかと考えます。

記事の作り方を工夫したところで、今はネットの時代です。

 

検索すれば、すぐにそこだけピックアップできますし、二次的な記事も瞬く間に広がります。

当初メディアが意図した報道とは、違う形で伝わってしまうことも考えられます。

 

報道しないという選択肢も考えるべきではないでしょうか。

自らの手で死んでしまったら、「本当にそこで終わりなんだ」ということを社会全体として共有することも必要かと思います。

 

誤解のないよう補足しますが、問題の早期把握のための仕組み作りと、周りからの支援体制を構築し、そのような最悪の事態が起こる前に防ぐことが一番重要です。

そのような題材を扱う場合、大きくメディアで報道して問題視することは有効です。

 

ポイントは、自殺が起こってから問題視することはやめるべきということです。

少なくとも、自殺を復讐の手段として選択するのは正しい方法ではありません。

何より、残された遺族の悲しみは察するに余りあります。

 

このような悲しい事態を減らすためには、それくらい厳しい態度で臨まなければならないように思います。

 

以上、ここまで読んでいただいてありがとうございました。

 

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