鶏口となるも牛後となるなかれ
こんにちは!Jimmyです。
世の中が急速に変化している中で、「鶏口となるも牛後となるなかれ」という言葉が際立って見えます。
2000年以上も前の故事成語ですが、現代こそ必要な考え方となっています。
大きな集団の尻につくよりも、小さな集団でトップになった方が良いという考え方です。
今はまさに時代の過渡期にあります。
時代の過渡期とは、変化が求められる時代にあるということです。
そんな時代であることに加え、時代を取り巻く環境に注目しても、牛後にいるよりも鶏口となるメリットが大きくなっていると感じます。
もっと言えば、変化をもたらすためには、個人や小規模な集団にいる必要があると言えます。
大きな集団では、集団心理としがらみによって、変化や柔軟な発想は難しくなるからです。
今回は、時代背景と大組織の特徴を踏まえて、「鶏口となるも牛後となるなかれ」、個人や小さな集団に属するべき理由とその効果に焦点を当てて解説します。
激動の時代に個人・小集団でいることのメリット
限界間近!価値観の変革が必要な社会
今までの考え方による組織運営には綻びも出てきています。
資本主義経済が進み、拝金主義が蔓延した結果、貧富の格差も拡大に歯止めがかからない状態が続いています。
貧富の格差にとどまらず、経済成長の鈍化に伴い、労働環境の悪化に苦しんでいる人が増えています。
「迷子の世代」と呼ぶにふさわしく、何のために生きているのか目的もはっきりとせず彷徨っているような人が少なくありません。
明らかに、現状のままでは幸福な未来を想像することはできなくなっています。
近代資本主義は、様々な発展をもたらし、また技術の進化とともに大きな時代の変化を索引してきました。
第一次産業革命は、言わずもがな、18世紀後半のイギリスにて開発された蒸気機関によるものです。
これ以降、工場での機械労働が急速に広がっていきました。
第二次産業革命は、19世紀、アメリカを中心とした、電力革命による大量生産化。
第三次産業革命は20世紀のIT革命であるとされることが一般的です。
そして第四次産業革命として、今まさに起こっているデジタル・データ革命があげられます。
今までの産業革命を振り返ればわかる通り、大きな労働環境(働き方)の変化や生活の変化、そして時に価値観の変化をもたらします。
AI、機械学習の進化によって、今まで当たり前にあった職業がなくなると言われています。
フィンテックの台頭や、ビッグデータを基盤とした、新たな価値創造が行われようとしています。
ポイントは、技術の変化のみならず、私たちの考え方、価値観の変化まで巻き起こすということです。
つまり、その変化に対応していく必要があります。
無論、現状の閉塞感のある世の中に変化を求める声も高まっているのが事実です。
資本主義の本丸であるアメリカでも、若年層を中心に、社会主義支持派が資本主義支持派と同水準にまで来ています。
何れにせよ、従来の考え方、資本主義のあり方に限界が近づいているという見方をするべきでしょう。
鶏口となるべし!なぜ個人の時代・小さな集団有利の時代なのか
個人・小さな集団からでも活躍できる時代
以前であれば、個人や小さな集団として事業を開始する場合、大きなハードルがありました。
何をするにしても、初期投資にまとまった資金が必要であったからです。
店舗や事務所がないと始まらないということです。
さらに規模の経済が大きく作用していたため、大きな集団に追いつき、肩を並べることは大変な困難が伴いました。
しかし、今では環境は大きく変わっています。
まず資金調達が以前よりもしやすくなっています。
ベンチャーキャピタルなど、直接金融での資金調達市場が発達してきており、アイデア次第で必要な資金の調達は可能です。
また、技術の進化も後押ししていると言えます。
今後期待される技術の進化と照らし合わせても、個人の信用力が見えやすくなり、大きくなければならないということはなくなるでしょう。
今でも、インフルエンサーと呼ばれる人たちは、個人でありながら高い信頼を獲得し、影響力を持っています。
個人や小さな集団の情報発信力や信用力を無視できないということは、すでに認知されており、そういった影響力のある個人や小規模集団と提携する大企業も増えています。
さらに、ここで強調したいことは、企業や商品、サービスという枠にとらわれず、「価値観」、「ライフスタイル」、「考え方」という領域においても影響力を持つということです。
ここが重要なポイントです。
変化は小さな集団から
近年の時代の変化を見てわかることは、大きな変化は小さなところから起きるということです。
決して大きな企業からは生まれません。
大躍進しているアメリカ系のプラットフォーム企業も、今でこそ世界の誰もが知っているスーパースター企業であり、時代の変革を担っていますが、その始まりは、個人で始めた小さな事業でした。
Facebookは2004年、Googleは1998年、Amazonは1994年の設立と比較的新しい企業であることがわかります。
Airbnbなども、大手が無理だとして見向きもしなかった民宿貸出という分野を開拓したと言えます。
日本でも、スタートアップで、注目すべきサービスやアイデアを持っている企業が続々と登場して話題になることが多くなっています。
フィンテックを引っ張っているのも、多くはスタートアップであると言えます。
こうした技術やアイデアといった変化もさることながら、注目すべきは、その背景にある価値観、考え方の変化です。
新たな発想を生み出し、柔軟に考え、リスクを取りながら変革を生み出し、世の中に広めていくというプロセスは、個人や小さな集団でなければ難しいのです。
次に、大きな集団でいることの弊害と、大きな集団では新たな考え方が生まれない理由を解説していきます。
大きな集団で変化を起こせない理由、牛後の弊害
組織論的な観点からも大きな集団、歴史のある大企業ほど、イノベーションは生まれにくいということは言われていますが、今回はもう少し現場の臨場感ある視点で考えてみたいと思います。
以下に、今の時代、大きな集団の中にいると、変化を起こせない、新たな価値観を生み出せない理由を書いていきます。
集団心理
集団心理とは、その集団特有の空気により醸成される心理状態のことです。
集団心理により、変化を起こすこと、新しい考え方を生み出し実行する機会が奪われます。
私自身、メガバンクという大組織にいて、集団心理の強さを実感しました。
集団の中にいると、個人としての考え方や価値観が弱くなり、代わりに集団として統一された大きな考え方が形成されます。
「赤信号みんなで渡れば怖くない」となるわけです。
企業ぐるみでの不正は近年でも多く発生していますが、多くの当事者が口を揃えて言うことは、集団としての空気が醸成されていて、抗えなかったと言う趣旨です。
そして、規模が大きくなるほど集団心理も強くなります。
小規模なデモでは比較的冷静であっても、大規模デモになると、我を忘れたように熱狂する人がいるのもそのためです。
つまり、大きな集団の中にいると、単一の強い価値観から逸れることが難しくなります。
時には間違ったことでも、正しいこととして認識してしまうこともあります。
または、「間違っている気がする」という意識はありながらも、逆らえないという状況になってしまいます。
さらに、集団では、現状維持バイアスも強化されると言われています。
つまり大きな集団になるほど変化を嫌うようになり、現状を維持する思考が働きやすいということです。
イェール大学の心理学者アーヴィン・ジャニス博士は、集団心理が強くなる要素を3つ示しています。
- 集団のメンバーが、似たようなバックグラウンドを持つ。
- 外部の意見を取り入れない。
- 意思決定のためのルールが定まっていない。
転職が少ない、生え抜き社員で形成されることが多い、そして上席者の鶴の一声で、意思決定が簡単に覆される日本組織にぴったり当てはまる要件です。
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成長する過程での「しがらみ」
一方で、人間ですから、「個人」としての人格も当然あります。
そのため、個人としての考え方、発想がなくなることはありません。
先ほどの集団心理の説明の中でも触れましたが、企業の集団不正の事例では、おかしいと思いながらも逆らえない雰囲気というものが形成されることがあります。
この集団空気を醸成する要因の一つに、成長する過程でのしがらみがあります。
ある程度経験を積んでから、影響力のあるポジションに直接転職するような状況でもない限り、
大きな組織においては、影響力を発揮するまでに時間がかかることがほとんどです。
日本の代表的な企業の多くは、毎年新卒で従業員を雇い、そこから長い時間をかけて社内教育を施します。
官庁なども同様でしょう。
そして、成長していく過程で、先輩社員はじめ、周りからアドバイスをもらい、助けられながら業務を遂行していきます。
端的に言えば、多くの人の「お世話になる」ということです。
人が人を育てるという素晴らしい循環ではあるのですが、これが時には厄介なものになります。
変化を促したいとき、考え方を一新する必要がある状況ではしがらみになり得るのです。
お世話になった人、助けてくれた人は、言ってみれば恩人です。
その人たちが、仮に旧式の考え方にとらわれていたり、間違ったことをしていると感じた時、なかなか正面切って反対意見を唱えて変革をもたらそうとはできないものです。
恩人のことを悪くは言えない、否定できないという思いになるのです。
実際私は、以前勤めていた銀行の方針や組織体制、考え方、やり方全般に対して、これではよくないという思いを持っています。
ところが、そのような中でも、よくしてくれた上司、大変お世話になった先輩もいたわけです。
旧態依然とした日本型大企業の弱点、社員が疲弊する理由など、このような組織に将来がないということを散々本ブログでも書いてきましたが、(それが今の日本には必要であり、自分の人生を歩む人を増やすために必要だと確信しているから書いているのですが)
本当にお世話になった一部の人たちのことを間接的にでも悪く言うことには、かなり気が引ける思いがあることも事実です。
客観的に考えれば、その人たちも組織の中で、私が主張するところのよくない行動指針を持っていた側面もあるのですが、心情的に、その人たちのことだけは否定しにくいのです。
このような感情を持つのも人間の特性なのでしょう。
もし、私が会社を辞めずにいたら、批判や変革を促すような行動を取ることは難しいであろうと想像します。
政治家や大企業トップにも初心はあったはず
政治家は「ずるい人」であると思っている人が大半でしょう。
私にもそう見えます。
大企業の重役たちは、従業員のことを考えず、保身を第一に上ばかりを見ていると思っている人が大半でしょう。
私もそう思っています。
しかし、これらの人たちの全てが、最初から、つまり組織に初めて入った時からそうであったとは思いません。
少なからず、誠実な気持ち、高邁な志、組織あるいは日本をよくしようと意気込んで入った人もいるのではないかと思います。
長い時間かけて、組織の中で教育されます。
要職に就いているような人であれば、それなりの修羅場があったことでしょう。
その過程で、ものすごくお世話になった人、ピンチを助けてくれた人がいるはずです。
そのような人たちが増えていけば、しがらみも多くなっていきます。
恩人たちが皆、新たな変化に前向きで、公明正大であれば問題ないのですが、そうではない人たちがいても不思議ではありません。
既得権益も増え、守りに入る人や、異なった現実を知ることで、考え方が変わっていくこともあるでしょう。
弱みを握られて身動きが取れなくなることもあるかもしれません。
さらに、先ほどから述べている通り、大きい組織ほど集団心理や現状維持バイアスにも巻き込まれます。
結果、当初の志や思いは消え、世間一般が想像する通りの政治家や重役が完成するのだと思います。
集団心理と、成長する過程でのしがらみ。
この二つによって、大きな組織にいると、どうしても新しい考え、創造的な革新、前例批判をすることが難しくなると言えます。
これが、変化の時代で、鶏口となるも牛後となるなかれ、つまり個人や小さな集団で変化を起こしていくべき理由です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
鶏口となるも牛後となるなかれ、今の時代になって、このことわざが重要さを増してきている状況を説明してきました。
まず、時代は大きな過渡期にあるということ。
経済状況の変化、資本主義の限界、技術の進化、働き方の変化、価値観やライフスタイルの変化と、様々な変化が今同時に押し寄せようとしている時代です。
幸福感を持って生きるため、そして自分の人生を生きるためには、個人としても変化を起こし、対応していくことが必要です。
そのような状況下、今は個人、小規模集団の時代であると言えます。
現在の環境に目を向ければ、個人や小さな集団でも、情報を発信し影響力を持つことができる時代になっていると言えます。
また、今後もAIや機械学習などの進化により、個人の信用力をより明確に把握できやすくなることが予想されます。
小さいことのデメリットはなくなりつつあることに注目するべきでしょう。
一方、組織が大きいほど、変化に対応することが難しくなります。
まず、集団心理に陥る危険性が高くなります。
また、大きな組織で上に行くということは、当然多くの人の助けが必要になります。
一筋縄にはいかない組織で、上に登りつめた時には、大変多くのしがらみが出来上がっていることが予想されます。
しがらみというと、良からぬものに思えるかもしれませんが、
長い間自分を支えてくれた人、本当にお世話になった人に対しては、なかなか正面切って、否定、反対をしてまで変革を起こすことはできないものです。
その結果が、今の大きな組織の体制であり、世の中の共通認識である、ずるい政治家、大企業の重役なのです。
変化を起こすなら、新しい価値観を取り入れるなら、個人や小さな集団として始めるべきです。
イノベーションを起こしてプラットフォーム会社として君臨するGAFAのような企業も、個人からスタートしています。
個人の時代と言われている現代こそ、「鶏口となるも牛後となるなかれ」このことを考えて、今後の人生設計を考えてみてはいかがでしょうか。
以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。
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