こんにちは!Jimmyです。
何事も、伸びる人、成長できる人は素直な人であると言われます。
確かにその通りではあるのですが、落とし穴もあります。
さらに言えば、素直な人という言葉自体、曖昧な解釈になりがちです。
今回は、成長する「素直な人」について間違った解釈や注意すべき点をまとめます。
何でもかんでも他人の言うことを聞いていては、先に進むことはできません。
チェックポイントを示して、素直になるとはどういうことかを再定義したいと思います。
「素直」の意味を再確認
①性格や態度にひねくれたところがなく、あえて人に逆らったりしないさま。
②技芸などに癖がないさま
③物の形がまっすぐであるさま
④飾り気がなくありのままであるさま(weblio辞書より)
まず、認識しておくべきは、基本的に自分にまっすぐであるということかと思います。
そして、「あえて人に逆らったりしない」とあるように、何でもかんでも逆らわずに聞く姿勢を素直と呼ぶわけではありません。
飾り気なくありのままの自分であれば、反応が否定的だったとしても、それは「素直」な反応です。
利害得失を意識して、故意に反応を従順にする方が「素直」と呼ぶにはふさわしくありません。
「素直な人は伸びる」という言葉の落とし穴
何でも聞いていたらどこにも進めない
素直でなければならないと言われて、何でも人の言うことを真摯に受け止めよう、聞こうとする人がいますが、それではどこにも進めません。
また、仕事であれば、上司や先輩から言われたことは、文句を言わずに従うというのが全て素直かというと、それも違います。
多くの人がいますから、ある一つの事象を見て、正しいという人もいれば間違っているという人もいます。
自分の考えに従い、よくないと思えば反対意見を言うことも、「素直」な反応と言えます。
教える人の立場からすれば素直が伸びるのは当たり前
何かを教える立場にいる人からは頻繁に、素直な人が伸びるという声を聞きます。
アドバイスに従わない人よりは、文句を言わずにやってみる人の方が伸びるということでしょう。
心情的に、自分に従順な人の方を評価したいということもあるはずです。
そして何より、自分の言うことを聞く人の方が、自分が示したことを、できるようになりやすいのは当たり前です。
それを必要ないと思っている人は、当然できるようにはなりません。
そのため、教えた人からすれば、素直な人が伸びるという感覚になるのは当たり前です。
野球の話になりますが、落合博満さんやイチローさんを指導した人は何と言うでしょうか。
お二方ともに野球史上最高の打者の一人ですが、当時の指導者は、恐らく素直に聞いてくれたとは思っていないでしょう。
落合さんは若手選手時代、あれこれ指導しようとする指導者に対して、「打てなければクビにして構わないから、自分の好きなようにやらせてください」と言っています。
イチローさんは、入団間もない頃から、二軍の試合で大活躍しましたが、打ち方が特異であったと言えます。
そのため、当時の指導者からは、それを直す必要性を説かれ、直さなければ一軍で使わないと言われていました。
それでも、イチローさんは自分のやり方を貫きました。
何れも指導者の言うことをまともに受け入れなかったケースです。
しかし、野球に対して素直でなかったかというわけではありません。
自分に足りないと認識したことについては真剣に向き合い、それをどう克服するかを考え、人一倍練習していたからこそ、歴史に残る大打者となったわけです。
指導する人の言っていることが、本当に伸びるために必要で、正しいことかはわからないということです。
間違いだらけの世の中
自分よりも技能が優れている人、経験が豊富な人からのアドバイスや指導は貴重です。
多くの成長をもたらしてくれることも多いのですが、一方で世の中の常識や王道と呼ばれていることの中には間違っていることも少なくありません。
人間が作る社会システムに完璧なものなどあり得ず、いつも矛盾に満ちています。
さらに、今の時代は情報が溢れており、自ら情報を取捨選択する必要があります。
そう考えれば、疑う、考えるという視点も大事になります。
どの機関が発信する情報は信じていいのか、誰のアドバイスが真に意味のあるものなのか、そこを自分なりの尺度をもって考え、選択しなければ、情報にかき乱されて有効な学びを得ることはできません。
マイナスの方向もあるという事実
全くの素人からすれば、ある程度経験のある人の言うことを、まずは試してみるという価値は大いにあると思います。
例えば、社会人になって始めたゴルフなどはその典型です。
自己流でやるよりも、ある程度経験を積んだ人から教えてもらったことを愚直にやってみる方が、上手になるスピードは断然速いでしょう。
また、教える側からすれば、クセがない素人の方が教えやすいとよく言われます。
冒頭に示した「素直」という言葉の定義にもある通り、「技芸などに癖がない」状態です。
このような意味からも、素直な方が伸びるケースの典型と言えます。
しかし、そのような競技や技術ではない場合、注意するべきポイントがあります。
それは、指導によってマイナスの方向に進むこともあるということです。
ゴルフなどは「技術ゼロ」の状態はあっても、マイナスになることはありません。
どれだけ下手くそでも0点です。
しかし、仕事に対する姿勢であったり、生きる上での考え方に関係することは、マイナスがあります。
よくない考え方や、それに基づくやり方を受け入れれば、0点からスタートしたのに、気づけばマイナス30点になっているということもあります。
マイナスの考え方をする人からの教えもある。
これが世の中です。
よく自分で考える必要があり、よくない教えであると感じれば、反面教師とするべきです。
正しい素直さのためのチェックポイント
これまで示してきた通り、「素直な人は伸びる」ということは真実でありながら、解釈が間違ってなされることも多く、落とし穴もあります。
素直さが足りないと他人から言われたり、自分で迷ったりした場合は、以下のポイントをチェックしてみてください。
正しい素直さに必要な視点
- 目指すべき方向性が相手と同じであるかどうか。
- シャットアウト(無条件の全面拒否)はしない。
- プライドや好き嫌いで判断しない。
- 自分をよく知ること、大前提となる自分の判断軸を持つこと。
チェックするべきポイントはこちらの4点です。
以下に詳しく書いていきます。
目指すべき方向性が同じであるかどうか
議論をしたり、指導を受けたりするときに、まず気にするべきことは、議論の方向性や目指すべき方向性、目的が同じ方向を向いているかということです。
同じ目的に向いていないのであれば、後にも示しますが、受け入れるというよりは、理解する程度にとどめておくことで対応します。
同じ目的を共にするのであれば、相手の主張やアドバイスが有効になることが多いでしょう。
技能について
その上で、もし技能などで相手の経験や能力が豊富であるならば、大いに耳を傾け、試してみる、変えてみる価値はあります。
何かを作る場合における技術的なことはもちろんのこと、時間管理の仕方や、表作成、プレゼン資料の見せ方などが当てはまります。
スポーツで言えば、練習方法や食事の取り方など参考になる部分が多いでしょう。
考え方について
一方、考え方であれば、鵜呑みにすることなく、まずは自分で考えてから消化していったほうが良いでしょう。
目的は同じでも、考え方が違うケースもあります。
極端な例では、会社で利益をあげるという目的意識を共有していても、儲かれば何でもよいというような考え方に賛同するべきではありません。
実際、非道徳的なやり方や、法律違反すれすれな行為は、経験豊富な人だからこそ手を出しやすいという側面もあります。
そのあたりを真似すると、成長しないどころかマイナスの効果が発生します。
最悪の場合、違法行為に巻き込まれるということもあるでしょう。
媚びへつらうのは違う
相手が経験豊富な人だからといって、媚びへつらう必要はありません。
考えや態度、そして動機はまっすぐであるべきです。
シャットアウトはしない
何でもかんでも、人の意見に従い、受け入れていてはどこにも進めませんが、シャットアウトしてしまうのもよくありません。
自分の方針を保ちながらも、ある程度聞く耳を持つということも必要です。
具体的に意識する点は2つあります。
まずは、「聞く」と「受け入れる」は違うということです。
受け入れなくてもよい、とりあえず聞いてみるという姿勢を持つことで、意外な気づきがもたらされることもあります。
もう一つは、「理解」と「共感・納得」は違うということです。
共感しなくても相手が何を言いたいのかを理解することは必要です。
この人は、どうしてこのように考えているのかという観察をするつもりで聞くと、全面的に拒否することも少なくなるでしょう。
意地、プライド、好き嫌いが邪魔をしていないか
「そんなことは知っている」
「言われなくてもわかっている」
「この人に意見される立場ではない」
このような言葉が頭に浮かんだら要注意です。
その場合、「知っているけど、わかっているけど、もう一度考えてみよう」とクールダウンする必要があります。
特に、職位や年齢などの上下関係で相手が下の場合は要注意です。
このような考えが浮かぶ可能性は非常に高くなります。
意地やプライドにより、大切なことを見落としがちになります。
また、意地とは少し違うかもしれませんが、好き嫌いで判断していないかというのも、自分に問いかけてみるべき事項と言えるでしょう。
意地やプライド、嫌悪感が邪魔をして、シャットアウトしているような状況であれば、耳を傾ける姿勢を意識的にもってみることも必要です。
特に、指導や会議などでもない日常の些細な会話程度(考えの良し悪しや重要な決断を促すものではない軽い会話)なのに、徹底的に拒否したりするケースも見受けられます。
しかし、そのような会話の中に、意外と重要な気づきが入っていることも珍しくありません。
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大前提となるのは自分の判断軸・信念
目的を認識するためにも、どの情報を信じればよいのか判断するためにも、大前提となるのは自分の判断軸です。
その逆も然りで、何を捨てるべきか、何を参考意見程度にとどめるのかを決めるのも自分の軸がなければできません。
この軸が無いまま素直になろうと思っていると、他の人の意見に流されるだけの人となり、どこにもたどり着きません。
もしくは、良くない方向に導かれて、最終的に何を信じればよいのかわからなくなってしまうということにもなりかねません。
素直の定義にもある通り、自分のありのままという状態は、自分のことをよく知っている必要があります。
目的を考えるにも、人の意見を聞くにも、従うにも、方針や行動を変えるにも、まずは自分の判断軸で判断してからという意識が絶対に必要です。
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素直さと信念は共存する
自分の判断軸や信念という言葉を聞くと、頑固なイメージが連想されるかもしれませんが、素直さと信念は共存できます。
自分の信念に従った結果、人の意見に従わない、却下するということも当然出てきます。
あとで自分自身が間違っていたと思うこともあるでしょう。
そのような時でも、間違いに気づいたところで、すぐに改めて方向修正をすればよいだけです。
自分が納得し行動したことで失敗した方が、受け入れることが難なくできます。
失敗を教訓にすることも容易にできます。
何も考えずに、とにかく素直に従わなければという思いでやってみて失敗したことは、かえって人のせいにする気持ちが大きくなるでしょう。
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まとめ
素直な人は伸びるとよく言われます。
その通りであることも多いのですが、素直に聞くという言葉自体の定義が曖昧に解釈されることもあり、落とし穴も存在します。
何でも人の言うことを聞いたり気にしたりしていれば、どこにも進めないばかりか、間違った方向、自分が進むべき方向とは違う方向へと迷い込んでしまう可能性もあります。
人の意見や考え方を取り入れる前に、まずは以下の視点でチェックしてみることをお勧めします。
相手、目的、そして自分自身の判断軸をわきまえてこそ、素直な人になることができます。
- 目指すべき方向性が相手と同じであるかどうか。
- シャットアウト(無条件の全面拒否)はしない。
- プライドや好き嫌いで判断しない。
- 自分をよく知ること、大前提となる自分の判断軸を持つこと。
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