こんにちは!Jimmyです。
哲学と言えば、古代ギリシャ哲学がよく知られていますが、長い歴史の中には様々な哲学者がいます。
普段生活していても、ことあるごとに、昔の哲学者の言葉が引き合いに出されることも少なくありません。
今回は、古代ソクラテスから現代まで、主要な哲学者の考え方の要点を、1冊で学ぶことができる本を紹介します。
「自分の頭で考えたい人のための15分間哲学教室」という本です。
まさに入門編、人間・人生の様々なテーマを考えるきっかけとして適した本であると思います。
哲学の必要性
哲学は、問から始まります。
宇宙の真理、存在とは何か、何が存在しているのかといった根源的な問いに始まり、人間とは何か、何のために生きているのか、存在意義とは何か、そして人生観そのものに行き着きます。
哲学について、過去には様々な哲人が、様々な考え方に基づき世界のあり方や物事の存在について議論してきました。
そもそも、なぜそのようなことを議論する人が昔から絶えないのでしょうか。
それは、哲学は自分の生き方を考える上で必要であるからです。
本ブログでは、生き方、働き方、リーダーシップ、資本主義などを主なテーマに扱っていますが、これらのことを考えていれば、哲学はまず無視できない分野と言えます。
いきなり、目に見えるものは全て存在しているのかという問いから始まることはありませんが、
自分のやりたいこと、価値観、生きる意味などを考えていれば、多くの場合本源的な問にたどり着くことになると思います。
そこで自問自答し、また他の人の考え方をよく聞いて、そしてまた考えていくことで、自分の軸となる考え方が出来上がります。
そして、それが信念となってブレない自分が形成されていくのだと思います。
それは、知識や技術と同じくらい、またはそれ以上に重要であり必要なものです。
迷った時に決断のヒントとなり、進んでいく原動力となるのは、技術やノウハウではなく、その人の信念そのものだからです。
哲学は入りにくい、難解で、敬遠される
哲学は自分の生き方を考える上で必要だとわかっていたとしても、学び、理解をすることは容易ではありません。
私自身、高校生の時に、ある哲学の本を読んだ時に、すぐに挫折したことがあります。
ソクラテスとプラトンの考え方を詳しく読んでみたのですが、学びには繋がりませんでした。
難解で、しかも答えがないところにのめり込んでいける人はよいのですが、最初からのめり込む人は稀でしょう。
まして、現代社会で職を得たり、仕事をしたりする上では、必要のないものとされてしまう傾向にあります。
スキルや資格など、社会の必要性に応じた”能力”はわかりやすく、受け入れられやすい項目です。
一方、哲学の修養がどのような仕事に活きるかは、非常にわかりにくいと言えます。
しかし、哲学のような本源的な問題を考えたことがないと、困難な場面で、簡単に目的と手段を混同してしまったり、自分が何をするべきなのか、自分にとって大切な行動は何かを判断できなくなります。
事実、そのような状態に陥っている人が少なくないと思います。
会社の規則に従い、利益に貢献することは間違いなく正解なのか、自分が思っている正義は本当に善なのか。
これらの問や常識に疑問を持って考えてみることができる人は、組織をまとめる側からすれば面倒な存在になりがちであることも注目するべきポイントです。
歴史を振り返れば明らかですが、為政者は、思考や思想を促すような知識層に対して、非常に脅威を感じていたことがわかります。
だからこそ、組織としては、このような根本的な問には行き着かないようにしたいという狙いも少なからずあるはずです。
絶対的な規則、方針を与えることで、問を持たせないように、ある意味考えさせないように仕向けているわけです。
そのような角度から見ても、哲学は入りにくいと言えるかもしれません。
哲学の入門編としてぴったりの本
『自分の頭で考えたい人のための 15分間哲学教室』
自分の頭で考えたい人のための 15分間哲学教室
アン・ルーニー著
本書の概要
章ごとに27のテーマが設けられています。
各テーマ毎に、主要な哲学者数名の考え方が示されています。
より根源的なテーマで言えば、
『あなたが「あなた」である理由』(第7章)、
『「森の中で倒れた木」は存在するのか』(第2章)
のように存在や意識、魂についてのテーマがある一方、
『「平等」は難しい』(第20章)、
『「戦争」と「恋愛」ではすべてが許される』(第18章)など、
より日常に近く善悪や正しさの定義を考えさせられるようなテーマもあります。
『新しいiPhoneはあなたを幸せにするか』(第10章)、
『人間はAIを恐るべきか』(第23章)のような現代風のテーマも設定されています。
登場する哲学者は、ソクラテス、プラトン、アリストテレスなどの古代ギリシャの哲学者から、近現代の哲学者まで含まれています。
中世期のアクィナス、ホッブズ、近代期のデカルト、スピノザ、カント、19世紀以降では、ニーチェ、フロイト、ハイデガーなど多くの哲学者の考え方に触れることができます。(ここに書いたのは特に有名な哲学者ですが、その他にも多くの考え方が示されています。)
本のタイトルにもある通り、おそらく1章は15分足らずで読めるような内容になっています。
途中で「もういいや」と挫折することも少なくなるはずです。
おすすめの理由
短時間で要点をおさえる
わかりやすくテーマが設定されているおかげで、要点について短時間で学ぶことができ、そして考えることができます。
一つのテーマに、主要な哲学者の考え方が複数示されているため、違った角度から考えることができる点もポイントです。
何より、1章あたり15分程度で読めるため、1つのテーマで思考があちこちに飛んだり、別のテーマが混ざったりすることがありません。
深掘りしていけばどんどん難しくなりますが(各哲学者の著書を一から読めば、果てしなく長い時間がかかる)、
本書ではポイントが絞られているため、読む側としてはありがたいと言えます。
余談ですが、本書は日本語への翻訳もわかりやすくなされている印象です。
好きなテーマから読んで考える
テーマが細かく27に分けられているため、自分の好きなテーマから入っていけます。
より根源的なテーマに興味がない人は、後半の身近に感じるテーマから読んでも問題ない構成となっています。
最初の方は、より観念的な話が多いので、苦手に感じる人は後半の面白そうなテーマから入っていくほうがよいと思います。
例えば、第16章、『「魔女」を火あぶりにすべきか』は、善悪の基準や、正しいことはいつの時代も正しいのか?
といったテーマになっています。
普段、当たり前のように正しいこと、善いこととして考えている行動や道徳的視点について、もう一度考えることができるためおすすめです。
難解な部分を現代の視点で解説
昔、哲学に関する難しそうな本を読んだとき、「結局読んでも、理解できたのかわからない」という感想を持つことがありました。
そうなると、せっかく読んでみたものの、最も大事な”自分で考える”ことをしようと思えません。
それではあまり意味がありません。(難しい文章を読む練習にはなると思いますが。)
本書では、現代の視点で考えられるように示されているため、思考にスムーズに移ることができます。
重要なのは、それぞれの哲学者の考え方を理解することではなく、自分で問題意識や疑問を持ち考えてみることだと思います。
その問題提起を促してくれているという点で、入門編としてぴったりの本と言えるでしょう。
最後に
哲学者の考えには、最初に必ず、疑問や問があります。
繰り返しますが、考え方を学ぶことよりも、今まで当たり前だと思っていたテーマや、考えたこともなかった視点について、自分で考えてみることに意味があると思います。
1つ1つのテーマは短く区切られていますが、古代から現代までの主要な哲学者の考え方に触れ、要点を理解し、自分自身で考えることを促すのに適した本であると思います。
教養として、入門編として、考え方の整理として、自己啓発として、興味のある方は読んでみてください。
以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。
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