新人教育の現場こそ自分らしさを大切にすることが必須な理由

こんにちは!Jimmyです。

今回は、多くの新人教育現場が時代遅れであり、社会で活躍する人間を育てる弊害になっていることについて書いていきます。

新入社員、若手社員の人たちに、「自分らしさを忘れるべきではない!」というメッセージを贈ります。

後半では、考えるべき具体的なポイントについても触れます。

多くの企業で実施されている新人教育の実態を紹介します。

それを認識しながら、ご自身の考え方に取り入れていただけたらと思います。

当たり前のように行われている新人教育の中身とは?

新卒で入社した新入社員を一堂に集めて、新人教育を行う伝統は、大企業を中心に多いと思います。

新人教育で行われることといえば、社会人としてのマナーや心構えから始まり、会社の歴史、経営理念、そして実務上の基礎研修などでしょうか。

 

会社によって、それぞれのやり方があるとは思いますが、ほとんどの場合、

目的は会社の組織文化と仕事の基礎部分を教え込むこと、そして愛社精神を醸成させることであると言えます。

一つ一つを見ると、どれも大切なことであることに異論はありません。

しかし、そこには、個を排して集団としての方針と価値観を覚えこませる、同じような感覚を持った人間を育てるための訓練のようでもあります。

 

実際に、このような新人研修を受けてきた私の感想としては、大きな違和感を覚えずにはいられなかったというのが正直なところです。

私が経験した新人教育を例に挙げます。

10年以上前のことであるため、今では少し落ち着いているのかもしれませんが、

振り返ると、まず研修の初日には、厳しい服装、身だしなみチェックが待っていたことを思い出します。

 

厳格な身だしなみ

髪の毛の長さをチェックされ、スーツは黒か紺、シャツは真っ白のみ許可され、ボタンダウンはダメ。

革靴も先がとがったようなものは禁止、色は黒とされていました。

初日で、髪の毛の長さに問題があった新入社員は床屋さんに連行させられるという具合でした。

ちなみに、これは研修期間だけであって、普段の仕事ではそこまで厳しいものではありません。

スーツやシャツも、他の色で問題ありません。

厳しい軍隊に入隊したような印象を持ちましたが、最初に、あるべき身だしなみをたたき込むという目的意識は伺えます。

最初が肝心ということも理解できます。

厳しく基本を覚えることは必要であるからです。

 

会社の歴史、特徴

さらに続くのは、社会人としてのマナーと、会社の歴史や成り立ち、特徴などを勉強することでした。

実際に、遠路はるばる数百人で会社ゆかりの地(発祥の地)を訪れたり、座学で歴史を学んだり、それについて感想文を書いたりした記憶があります。

歴史だけでなく、今活躍する先輩社員が登壇されて講義を聞くという時間もありました。

これも、会社の成り立ちや、今に繋がる文化、活躍している人の考え方を知る上では大切なことではあります。

 

集団の一体感

仲間意識や一体感を醸成するために、グループで課題に取り組むことや、時には運動会の出し物のようなものまで新人教育プログラムに入っていました。

宿泊研修所で、夜遅くまでチームでプレゼンの準備や出し物の準備をしたりと、短期間で同期社員同士の距離感を縮める効果があったことは間違いないと思います。

 

違和感の正体

このように、一つ一つ見れば、(若干やりすぎなところはあるものの)新人教育には必要なもであると言えるのですが、ではなぜ違和感を感じてしまったのか?

それは、あまりにも個人としての社員一人ひとりに焦点が当たらなすぎるということに他なりません。

自分の今までの人格や価値観を捨てて、組織の文化に染まるように促されているような感覚だったからです。

 

一昔前は、優れた企業、隆々としている企業はどこも、宗教的だと言われたことがありました。

もはや個人がどうこうではなく、いかに信仰レベルで取り込んでしまうかという発想です。

 

新人教育の段階で身だしなみを揃え、行動を揃え、正しいとされる感覚を揃えれば、それで目的達成。

あとは現場に出て、さらにその会社のカラーに染まっていくというプロセスをもって、その社特有の”会社人”の完成というわけです。

そのような、ある種の「同化」を促すようなやり方に、非常に違和感と心地悪さを感じたのをよく覚えています。

新人教育で自分らしさを意識すると、活躍する確率はアップ

多様化、自由な発想、創造性が必要な時代

個性を排除した同化型の新人教育は、それこそ一昔前であれば良かった(機能した)のかもしれません。

個人が考えて、何かを変える、新しいものを生み出すよりも、定められたことをいかにロスなく、効率よく量をこなせるかが重要であったからです。

下手な考え休むに似たり、あれこれ考えるよりも、言われたことを一生懸命やっていれば報われた時代です。

企業も利益を上げることができました。

 

事実、軍隊的、宗教的な会社が強かったのです。

会社特有の文化があり、それを有無も言わさず押し付け、社員に従わせることで、統制を取っていた会社が業績を上げていたということです。

 

しかし、今は変化の激しい時代であり、相手にする社会、顧客の価値観も実に多様です。

そんな中で、軍隊的、宗教的な会社は対応できなくなっています。

トップにあらゆる情報が集まり、トップが判断を下し、現場は一糸乱れずそれに従う組織に、多様性を持った対応ができるはずはないのです。

 

大量生産、高品質、低価格、これらを追求していれば勝利できた時代は終わっています。

イノベーションの重要性は広く認識されていますが、大小問わずイノベーションを社内で起こすためには、自由な発想と、創造性が必要なのは言うまでもありません。

それができた組織がGAFAなどの企業ということになるのですが、どれも昔からあった伝統企業ではありません。

そして、日本の大企業でも、伝統的な企業の多くが、国際競争で優位に立てず、苦境に立たされています。

 

新人教育で自分らしさにフォーカスすれば、顧客満足度が上がる

新人教育の現場で行われた次のような実験があります。

ある企業で、新人教育を実施するにあたり、教育対象者を半分に分けました。

 

一方は、従来型と呼ぶべき、集団の価値観重視の研修を施します。

組織の規範と企業文化を教えることが中心の研修で、組織としてどうあるべきか、組織に所属していることに誇りを持たせるための内容になります。

 

もう一方は、個人のアイデンティティを重視するものです。

個人の視点と強み、それをどう仕事に生かすかを考えさせられる内容を多く盛り込んだものです。

以下のような特徴です。

 

✅会社の価値観と組織の良さを教えることに注力。

✅スター社員が登壇し講義、その内容について学んだことを話し合う。

✅当社の社員として誇りを感じる部分などについて、グループで振り返り話し合う。

✅研修の最後に、会社の名前入りのバッジとシャツが送られる。

 

✅研修中でも、自己を表現し、自分らしさを生かしてどう活躍するかを考えるよう促す。

✅問題解決のエクササイズに取り組み、自分の強みがどのように活かせるかを各人が考える。

✅グループの人に対して自己紹介をして、自分の決定について発表をする。

✅研修の最後に、社員の名前入りのバッジとシャツが送られる。

 

一定期間後に、両グループの顧客満足度や離職率などを測定し、新人教育の効果を比べるという試みです。

 

結果は、個人のアイデンティティーを重視した研修グループの方が、より良いパフォーマンスを発揮したことがわかっています。

入社後半年の時点で調査したところ、組織の価値観型のグループよりも高い顧客満足度が得られ、離職率も33%低かったという結果です。

 

あくまで導入部分である新人教育の手法の違いだけですが、大きな差が生まれました。

 

自分の個性や強みにフォーカスすることが推奨され、それを受け入れてくれる他者と関係を築くことで、協力する傾向が強まり、生産性も上がるという効果が認められました。

 

多くの企業が実施する現行の新人教育のあり方では、本来の従業員の能力、やる気を十分引き出せていないことがわかります。

会社の文化に染めようとするだけでは、理想的な新人教育とは言えないということです。

そこには、企業文化を叩き込ませる、今までの学生気分と価値観を吹き飛ばしてやるといった圧力めいた気迫があり、従業員を萎縮させる効果もあるのです。

要注意!考えるべき順番を間違えないこと

自分の能力を発揮するためにも、モチベーションを高く保ちながら仕事をするためにも、自分のアイデンティティーに即して考えることが重要であることを示してきました。

しかし、実際には大事な個人としての強みやアイデンティティーを考えずに、組織人としてどうかということばかりを考えてしまう人が後を絶ちません。

順番を間違えないように、しっかりと認識しておく必要があります。

 

会社にどう役立つか、貢献するかは本質ではない

会社の価値観、方針に合わせて、行動指針とあるべき姿を考えるのは本質的ではありません。

示された理想像に対して、自分がそれにすり寄っていくようなやり方は、どこかで無理が生じ、行き詰まります。

 

社内の定期面談や、キャリアプランを書くときなどは、必ずといってよいほど、自分は会社にとってどのように貢献するか、役に立つかという視点で話され、取り組まれます。

しかし、会社のためになることは、必要な条件ではありますが目的ではありません。

誤解を恐れずに言えば、会社をよくすることを第一目標に働いているわけではないのです。

個人としての生き方があり、価値観があり、それを実現するための手段であるのが当然なのです。

 

自分の強み、生き方、希望、価値観スタートであるべき

会社でどのように活躍するかを考える時は、通常以下の順序で考えるべきです。

自分とは?

価値観、強み、人生観、個性、生きる目的、達成したいこと、改善するべきこと、もっと伸ばしたいこと

これらを前提として・・・

会社での役割とは?

何ができる? どんなことで貢献する? どの部署を希望する? どんなスキルを身につける?

 

当たり前のように感じるかもしれませんが、多くの人が、組織にいると、この前提部分をあまり考えなくなってしまいます。

前提の部分が重要であり、それが自分らしさでもあります。

これを無視して考えれば、仕事をする中で意欲も使命感も強く感じることはできないでしょう。

その結果が、先ほどの実験の結果として表れているわけです。

 

自分らしさ、自分の強みや個性を認識した上で、それを組織が尊重すること。

それをどう組織の目標に活かしていくのかを考えるのが健全であり、人が能力を発揮するためには不可欠な思考順路です。

しかし、実際には、採用面接の時も、新人教育においても、キャリア面談の際にも、この重要な前提部分に焦点が当てられることはほとんどありません。

単に、どういう人間が求められるか、どう会社に貢献できるか、どんなキャリアプランを考えるか、という視点で議論されることになります。

 

人事部も、上司も、そして当の本人でさえも、肝心な前提部分をないがしろにして、会社での役割、貢献ばかりを考えるようになっています。

組織の価値観に偏った新人教育を施された社員は往々にしてこのようになるのです。

 

私自身、入社当初は会社に馴染もう、個人の考え方よりもこの組織のやり方を身につけなければと無意識に行動していたように思います。

キャリアプランの希望を提出する際には、いつの間にか自分のこれまでの職務経歴から、今持っているスキルを書き出し、

それを踏まえてどういうキャリアが考えられるか、どう会社に貢献できるかという「お作法通り」の書き方に慣れてしまった自分がいました。

そこには自分らしさを意識するなどという発想などはどこにもありません。

 

そんな考え方をしていれば、組織に変革をもたらすような創造性を発揮したり、自由な発想で局面打開の方法を考えたり、広い視野でキャリアを考えることなどできなくなります。

モチベーションも上がるわけもなく、パフォーマンスは落ちていくケースが多いのです。

自分自身の経験が、先ほどの実験結果の正確性を裏付けしていることに気づきます。

 

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まとめ

変化の激しい現代のような時代で、成長を遂げているような企業は、規模の大小を問わず、個人の創造性、発想力、そして自主性が発揮されています。

GAFAに限らず、日本のスタートアップでもそのような会社は見られます。

 

個性やその人らしさを排除する方向でまとめ上げる軍隊型、宗教型の組織は、一昔前に成功した日本の企業モデルと言えるでしょう。

同じ感覚を持つ人たちを集めて、トップダウンをスムーズに機能させることができました。

 

しかし、今の時代、それではうまくいかないのは明らかです。

個人の幸福感という観点からも、自分らしさ、自分の強みを尊重してくれる組織にいる方がプラスであるのも当然なのです。

そして、そこから生まれる創造性や発想力、自主性が必要な時代になっているということが重要です。

 

時代遅れの軍隊型の新人教育を施されて、それに慣れきってしまっている人、今まさにそのような新人教育を施されている人は、一度立ち止まって、そのやり方が常識でもなければ唯一の正解でもないことを認識するべきです。

本当に自分の能力を発揮するのであれば、自分らしさを考え、自分の価値観やあるべき姿を考え、それをもとにどう社会と向き合うか、貢献するかを考えていくべきです。

 

個人が尊重されず、企業の文化に染まることを促すような組織にいることの危険性は、10年後にはもっと高くなっていることが予想されます。

その時、そのような組織に染まりきっている自分を想像してください。

 

これからの社会に必要であり、幸福感を持った自分の人生を送るためには、自分らしさを認識して、それを活かす働き方を目指すべきなのです。

以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

自分の人生を送るために、自分の持ち方についての記事も書いておりますので参考にしてみてください。

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