2021年世界幸福度ランキング発表
こんにちは!Jimmyです。
今年も世界幸福度ランキングが発表されました。
日本は56位という結果になりました。
参加国は149カ国です。
トップ10は以下のようになりました。
1位フィンランド
2位デンマーク
3位スイス
4位アイスランド
5位オランダ
6位ノルウェー
7位スェーデン
8位ルクセンブルク
9位ニュージーランド
10位オーストリア
ちなみに他の主要国はというと、アメリカは19位、イギリスは17位、ドイツは13位、フランス21位。
アジアでは台湾が24位、シンガポールが32位、タイ54位、この辺りが日本よりも上位という結果でした。
幸福度ランキングは、以下の6つの各項目を指数化して決定されます。
・社会的支援(困った時に頼れる人の有無)
・健康寿命
・人生選択の自由度
・寛容さ(過去1ヶ月に慈善団体に寄付をしたか)
・社会の腐敗度
これらが、人の幸福度を完全に表しているわけではないとは思いますが、
幸せを形成するための重要な要素の一部ではあると思います。
フィンランドが幸福度ランキング3年連続1位の理由
①フィンランドの項目別結果
毎年、北欧勢がランキングの上位に入ります。
フィンランドは、北欧に位置する人口約550万人、面積は日本の90%ほどの小さな国です。
基本的に北欧は社会保障が手厚く、一人当たりのGDP、平均寿命も相応の水準であろうという印象をお持ちではないでしょうか。
実際にはどうなのか?
2021年の項目別の詳細順位をみたかったのですが、最新版では項目別の順位が見当たらなかったため、2019年の順位で見てみます。
GDPでは22位、
平均寿命は27位、
寛容さは47位と、これらが相対的な下位項目になります。
一方、社会支援は2位、
自由度は5位、
社会腐敗度は4位といずれもトップレベルの水準でした。
結果が示す通り、フィンランドの幸福度が高いのは、社会支援、自由度、社会腐敗度(の低さ)によるものです。
それぞれの項目について見ていきます。
②社会支援の充実
社会支援の充実という項目については、社会保障の手厚さが大きな要因になっていることは間違いないと思います。
北欧に多く見られますが、医療費、教育費が無料である国は、この項目で上位にきています。
大学には何度でも入れます。
医療についても大変充実しています。
フィンランドでは、「ネウボラ」という制度があります。
子供が生まれる前から小学校に上がるまでの成長をサポートする制度です。
全ての自治体で行われており、出産、育児の情報提供のほか、様々な支援があります。
オムツや衣類等、赤ちゃんに必要な数十種類のものが入っているベビーボックスが、全ての人に対して無料に送られます。
生まれてくる全ての子供が、平等に人生をスタートできるようにというコンセプトです。
保育所も、全ての子供に対して準備されています。
待機児童はいないようです。
③人生選択の自由度
フィンランドでは、一度就職して、それが自分に合わないと感じたら、何度でも学び直す機会があります。
実際、大学に何度でも通っている人が少なくありません。
それが一般的なこととして認められており、偏見もありません。
また、大学も卒業する時期は決まっておらず、卒論が完成すれば、いつでも卒業できるようになっています。
そのため、就職する時期はバラバラであり、終身雇用や年功序列という概念もありません。
学歴社会の概念もなく、世界大学ランキングで上位の大学を卒業することが、就職に大きく影響することもないそうです。
義務教育が終了した後は、大学を見据えて高等学校に進学するか、職業訓練学校に進むかを選びますが、どちらが優れているという概念はありません。
一つの方向に進んだら、それで人生が決まってしまうというような考え方ではありません。
本当に自分がやりたいことは何かを考え、チャレンジする機会に恵まれています。
他の視点からも、人生選択の自由さを垣間見ることができます。
フィンランドでは、事実婚が認められていますし、近年では同性婚も認めらるようになりました。
婚姻関係という概念は、日本ほど強くはない印象です。
片方の申請のみで離婚が成立するようですし、離婚した後でも普通に付き合いは続けている人も多いようです。
結婚に関してもフレキシブルな考え方であるため、固定観念に束縛されるということが少ないのでしょう。
北欧では当たり前なのかもしれませんが、女性の社会進出という点も挙げておこうと思います。
保育所などの受け入れ態勢や企業の理解もあるため、子供を持つ女性が働きやすい環境にあると言えます。
企業は採用面接時に、「小さな子供がいるかどうか」を聞いてはならないルールになっているようです。
④クリーンな社会・腐敗の少なさ
「あなたの国は政府、企業で腐敗がありますか?」という問に対する答えを基準に指標が作られているようですが、
北欧のクリーンなイメージがそのままランキングに反映された印象です。
直接関係があるかはわかりませんが、「仕事上の役割における自己」と「一人の生活者としての自己」を完全に分けて考えているようです。
例えば、一国の首相や、有名議員であっても、地下鉄で見かけることも珍しくないようです。
通勤、帰宅の時なのでしょう。
駐日大使も黒塗りの高級車ばかりではなく、スタッフ車に乗ることもあれば、会議や夕食会の後、家が近ければ歩いて帰ることもあるようです。
社会的地位を、生活の隅々にまでリンクして考えていない様子が伺えます。
仕事上の地位や役職に囚われすぎないところが、クリーンなイメージを作っているのかもしれません。
日本人の幸福度はなぜ低いのか?
①寛容さランキング92位!!
ご存知の通り、日本は世界の長寿国であり、GDPは世界第3位です。
実際、指数化してもこの2項目は悪くありません。
こちらの項目別順位も2019年度のものを参考にします。
2021年も、おそらく大きくは変わっていないと思われます。
日本は、平均寿命で2位、所得では24位でした。
しかし、社会の腐敗度は39位、社会的支援が50位と振るいません。
続いて人生選択の自由度は64位、寛容さに至っては92位という結果です。
GDPや寿命でわかる通り、非常に豊かな国にいながら、社会的支援や人生選択の自由度が高い順位にいません。
これは、ある程度想像の範囲内であり、理由も想像できる人は多いのではないでしょうか。
敢えて調べていませんが、待機児童問題であったり、格差問題であったり、女性の活躍度合いであったり、失敗が許されない社会だったり、多くの理由が挙げられます。
もっとも見逃せないのが、ダントツで順位の低い「寛容さ」についてです。
では、寛容さとは何でしょうか。
定義によると、過去1ヶ月に慈善団体に寄付をしたかどうか、ということです。
ストレートに「他人に対して寛容かどうか」ではないようです。
想像していた寛容さとは違います。
日本人は、寄付をあまりしないため、「寛容さ」は92位になってしまいました。
慈善団体への寄付をためらう理由として次のことが挙げられます。
・実際に寄付したお金が、真に有効に利用されているのかわからない、疑わしい。
・募集している団体自体が怪しい。
確かに、寄付や募金を募る詐欺は聞いたことがあります。
知らない団体を名乗る寄付の募集には消極的な人は多いでしょう。
当初この幸福度の指標を知ったとき、寄付の寡多で、寛容さの指標とするのは少し強引な気がしました。
寄付しないことがすなわち、寛容ではないことに直接繋がるとは思えないからです。
しかし、よく考えてみると、寄付をしない理由こそ、「寛容さに欠ける」日本が抱えている構造的な問題なのではないかと思うようになりました。
やはり寛容さのランクは92位くらいが適当か、もっと低い印象すらあります。
上記に挙げた、日本人が寄付をしない理由の大部分は、「疑わしいから」、「怪しいから」ということでした。
閉鎖的で、自分が所属するコミュニティ以外への関心が低く、理解しようとすることに消極的であることを表しているのではないでしょうか。
②不寛容な日本の特徴 無関心・批判的
問題の1つ目は他の人、コミュニティへの無関心です。
寄付が少ないのは、決して日本人はケチな人が多いからというわけではありません。
事実、災害等、誰でも理解できる事象が発生し、公共の電波を通じて呼びかけられた募金や寄付には、多くの人が呼応します。
地震災害は、日本人であれば誰の身にも起こりうる事象であることから、理解しやすいのではないかと思います。
その上、テレビや新聞からは悲惨な状況が情報として大量に入ってきます。
それでようやく動くことができます。
本当は、知ろうと思えば、団体のことや、寄付がどのように使われたかを確かめることは、意外と簡単にできます。
最近のNPO法人の中には、自分の寄付がどのように使われ、どんな結果に影響したのかレポートしてくれるような団体も少なくありません。
結局、無関心から来る疑いなのだと思います。
問題の2つ目は、他のコミュニティ、人に対して批判的ということです。
海外で生活をしたことのある人に多い感想として、「日本に戻ってくると息苦しさを感じる」というものがあります。
これは、私も大いに共感するところです。
本当に困った時、助けが必要な人は助けますが、困っていないとき、つまり通常は、周りの目が大変厳しいのではないかと感じます。
つまり、正常に動ける人、困っていない人には、敢えて優しくする必要はないという考え方です。
他人に対して、高い水準での常識的行動を求めます。
バスや新幹線の座席のシートを倒すだけでも気を使います。
小さな子供を連れて公共の場所に行くときも、批判的な視線は必ずあります。
地下鉄にベビーカーを押して入ったところ、舌打ちされたという話も聞いたことがあります。
「混んでいる時間にベビーカーなんて持ち込むのは迷惑だ、非常識だ」と思われたのでしょう。
人に迷惑をかけないことを考えるあまり、他人に対する寛容さが欠けてしまっているのかもしれません。
また、サービスの質が高いばかりに、自分はある程度の水準のサービスを受けて当然という心持ちになっているため、
些細なミスや失敗に対しても批判的になり、過敏に反応しがちです。
互いに寛容ではないため、非常に窮屈な社会になってしまっているのではないかと感じます。
私自身、はっとした経験があります。
海外でバスや電車に乗っているときのことです。
子供連れの母親が、泣きわめく子供を気にする素振りもなく、堂々としているのです。
それを見て、私はこう思いました。
「子供が泣くのは仕方ないけれど、母親の、我関せずという態度はどうなのかな・・」
母親の態度にイライラしていたことを認めます。
一方、周りの人たちをみると、不機嫌そうな様子はありませんでした。
それどころか、ニコニコしながら母親に何か話しかけて談笑を始める人もいました。
うまく聞き取れませんでしたが、非難をしていないことは明らかでした。
日本の生きづらいところは、まさにここだと思い、反省しました。
日本は礼儀正しく、モラルもある、生活しやすい国だと思って生きてきましたが、
自分も生きづらい日本の構成員だったのだと気付きました。
多くが怪訝そうで、周りを気にする母親も居づらい状況。
一方で、周りもおおらかで、母親も堂々としている状況です。
どちらが清々しいかは明らかです。
今の日本の不寛容さの問題を痛感した出来事でした。
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生きづらい日本のこれからの課題
幸福度1位のフィンランドを調べてみると、意外な事実がわかります。
フィンランドの国民性は、日本人と似ている部分がかなりあるのです。
欧米を一括りに考えるのは少々強引ですが、私たちが一般的に持っている欧米というイメージからは大きくかけ離れていましたので紹介します。
(参考図書:ノニーン!フィンランド人はどうして幸せなの? / スサンナ・ペッテルソン 著)
その中でフィンランド人の特徴について記載がありました。
例を以下に挙げます。
・自慢話をあまりしない、褒められても謙虚。(本当はうれしい)
・決められた規則を守る。交通量がゼロでも赤信号は渡らない。
・口数が少ない。シャイ。「沈黙は金、口をきくのは銀」という諺がある。
・セミナーなどの最後に質問の時間が設けられるが、多くは質問しない。
・閉鎖的(と見られることがある)
幸福度ランキング総合1位のフィンランドですが、「寛容さ」の項目は47位(2019年度)と、他の項目に比べて低いことに着目します。
(自由度、腐敗、社会支援はトップ5以内、GDPは22位、寿命は27位、いずれも2019年度の項目別順位)
関係性は断定できませんが、生真面目でオープンではない性格の人が多い国は、寛容さも低いのかもしれません。
日本は、社会のルールや周りの目にがんじがらめになっています。
そのため、日本で生活をすることは、便利で安全である反面、息苦しさを感じることも多々あります。
今回の幸福度調査が、人の幸福度を示す完璧なものではないことは繰り返し指摘しておきます。
その上で、日本人が幸せを追求するにあたり必要なことは、社会の寛容さへの意識改革ではないかと考えます。
いくら安全で便利で豊かであっても、人との関わりの中で生きている以上、
日々、生きづらさ、息苦しさを感じながら生活していては、幸福感も得られないでしょう。
人はそれぞれ違うこと、ルールはあくまで人間が作ったルールであり絶対的な価値ではないこと、違う人との関わりの中で成長できること。
当たり前のことですが、意識することで、無関心、批判的な気持ちから少しは抜け出せる瞬間があります。
まだまだ長い人生、眉間にしわを寄せて生きていたくはありません。
以上、ここまで読んでいただいてありがとうございました。
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