信用創造は今後必要なくなる?資本主義の成熟と銀行の役割

資本主義の成熟と時代の過渡期

こんにちは!元銀行員のJimmyです。

今回のテーマは「信用創造」とそれに伴う銀行の将来についてです。

 

本ブログでは、資本主義というカテゴリーを設けていますが、現在は時代の過渡期にあり、近代資本主義の終焉に伴う大きな価値観の転換が起きる可能性について度々触れています。

 

そんな中、最近注目を浴びているテーマとして、「デジタル通貨」があります。

国家として短期的な導入は否定しているものの、将来の必要性を考え、デジタル通貨の研究を進めている国は多くあります。

 

デジタル通貨が導入されればどうなるのか、それを考える上で、銀行の信用創造機能という問題は欠かせません。

デジタル通貨を導入することで、銀行の信用創造の役割が縮小されるか機能しなくなる可能性があるということです。

 

そういうわけで、そもそも信用創造機能は、今後も必要なのか、なくなって困るものなのかということを最近よく考えています。

 

正直に申し上げて、銀行員の頃は、大きな閉塞感を感じながら働いていたわけですが、銀行の役割の縮小と終焉は、致し方ない自然な流れであると考えるようになりました。

資本主義の成熟と、技術の進化により、銀行業も大きな過渡期を迎えているのではないかと思います。

今回はそのような角度から時代の変化を考えます。

信用創造とは?簡単に理解しよう

信用創造という言葉が聞き慣れないという人もいると思いますので、まずは信用創造について解説します。

知っていることで、他の分野への理解も深まりますので、学んでおいて損はないと思います。

 

銀行は何をするところ?

今の世の中、会社は非常に複雑化しています。

自身の勤める会社について、何をしている会社ですか?と聞かれて、どう答えていいのか難しい場合も少なくないでしょう。

 

銀行も同様です。

色々やっています。

 

小さい子供に聞かれれば、「お金を預けたり、取り出したりするところだよ」と答えるでしょう。

中学生くらいになれば、「預金、貸金、為替が銀行の三大業務なんだよ」という話から入ってもよいかもしれません。

就職を考えているような大学生に対しての場合だったら、まずは一言、「信用創造です」と答えるべきでしょう。

 

信用創造を簡単に言えば「お金を作ること!」

信用を創造すると考えると難しく聞こえますが、要するにお金を作ることです。

英語ではまさに、そのまま「money creation」です。

 

「お金を作っているのは日銀なんじゃないの?」と思われるかもしれません。

確かに日銀のように紙幣は発行していませんが、お金を作っているのです。

 

やり方は簡単です。

お金を貸すことでお金を作っています。

 

企業A社が、銀行から100万円借りると、通帳に100万円が記帳されます。

そうすれば、その100万円はA社が使えるお金になります。

実際に製造業であれば、材料の仕入れ代金の支払い等に当てることができます。

 

銀行が預金者から集めたお札を100枚持ってA社に届けるわけではありません。

紙幣は動きません。

誰か他の人のお金が減ることもありません。

100万円と記帳するだけで完了です。

ここに、新たな100万円が作られたことになります。

 

銀行はA社がお金を貸しても返ってくるという「信用」をして(与信)、お金を貸す(記帳する)のです。

そのため、日本では信用創造という呼ばれ方をしています。

 

信用創造の仕組み

さすがに、もう少し補足が必要ですね。

当然、銀行は、何もない状態からお金を作ってよいというわけではありません。

ちゃんとルールで規制されています。

 

そのルールに則ってお金を貸している(作っている)ということです。

具体的には相応の自己資金(資本)がなければお金を貸してはいけませんので、無限に貸出を行えるわけではありません。

他の国では、預かっているお金(預金残高)の一定割合までしか貸し出せないという規制が設けられた時もありました。

 

ルールは国や状況により様々ですが、一定のルールのもとであれば、銀行は貸出という形で、お金を作ることができるということです。

 

実際の運営方法補足

よく、信用創造の話をする際の例題として、預金100万円を預かって、そのうち90万円を貸出に回すことで、お金が作られたことになるという説明の仕方を目にします。

確かに、最初のスタート地点は銀行が預かった預金であることが多いと思います。

 

銀行は預金としてお金を預かった以上、利息を預金者に支払う必要があります。

そのため銀行は預ったお金を放置せず、運用することになります。

 

その運用先が貸出であったり、金融機関同士の資金融通であったり、国債購入であったりするわけです。

 

一方で、実際の運営方法としては、銀行は預金者からお金を預かったら、国債を買ったり、インターバンク市場(銀行間の資金市場)で融通したりすることがほとんどです。

預金として預かったお金と貸し出すお金を紐つけて考えることは一般的にはしません。

 

貸出を行う際は、都度資金市場から貸出相当分を調達して、それを貸出に回すというやり方をすることが多いと思われます。

これが実際の運営ですが、お金のもとをたどれば、どこかの銀行の預金者の資金に行き着くので、簡略化して説明されることが多いのだろうと思います。

信用創造機能が果たしてきた役割

信用創造

これまで銀行は、信用創造機能により、多くのお金を作ってきたわけです。

資金需要が豊富な時、すなわち高度経済成長期のような状態の時は、必要な企業や人に資金を行き届かせるという重要な役割を銀行が担っていたということです。

 

新たな設備投資や規模拡大などで資金が必要になる人や企業が非常に多い中では、既存のお金だけでは、十分に資金が回りません。

信用創造という形でお金を作り出すことができる銀行は、なくてはならない存在であったと言えます。

こうして、経済の規模はどんどん拡大していったわけです。

 

好景気の時には、民間銀行の信用創造により、実際に発行された額の10倍以上のお金が作られたと言われています。

 

その一方で、バブルとその崩壊を生み出したという側面もあります。

融資が加熱して、投機マネーに溢れた結果、バブルを生み出し、融資を締め付けたことをきっかけに一気に流れが変わり、長い不況のトンネルに突入したわけです。

 

このような信用創造による負の効果もあったことは認識しておくべきでしょう。

信用を供与する側の銀行自体、完璧な審査能力を持っているわけではないので、判断を誤ればこのような事態が発生することもあるということです。

信用創造と銀行の役割の縮小は必然の流れ

信用創造

貯蓄の増加と資金需要の減少

資本主義の成熟、経済の発展の結果、企業、個人の貯蓄は増加します。

先ほど述べたような、発展途上にある状態では資金が行き届かず、お金をどんどん作っていく必要がありました。

 

一方で、成熟した状況下では、お金が各人、企業に貯蓄され、さらに設備投資などの資金需要も減少します。

銀行にとっては貸出先が減っていくということになるのです。

 

事実、私が銀行員として働いていた12年間、毎日のように貸出先が無いと感じていました。

営業する側にとっては大変苦しい状況でした。

(今となっては良い経験でしたが。)

 

そのため、貸出以外で収益の柱を作ろうと、金融派生商品(デリバティブ商品)開発に注力したり、コンサルを担当する部署を作ってみたり、証券会社を買収してM&Aや再編のニーズをほり出そうとしたり、手を広げようとしていたのです。

まさに閉塞感を実感していたわけです。

 

企業や個人からしてみれば、資金が必要な時は、自己資金で賄うことができる状況が増えました。

さらに、蓄積されたお金により、直接金融の市場も発達します。(銀行を介さず、株式を発行して投資家からお金を募集したり、ベンチャーキャピタルなどから出資を受けるようなこともあるでしょう。)

 

現在の状況を見ると、明らかに資金の蓄積が進んでいます。

蓄積されたお金の投資先を探す人たちが増えたということです。

お金の運用手段を探している状態です。

 

そのような段階に日本は来ています。

そのため、銀行は競うように海外に活路を求めて海外事業に力を入れているのです。

 

フィンテック技術の目覚ましい発展

資本主義の成熟と貯蓄の増加に加え、近年では技術発展もめざましく、フィンテック分野の成長が著しくなっています。

お金を扱う以上は、しっかりと規制を導入し厳しく管理することは必要ですが、もはや銀行でなくても、資金決済回りのサービスを担うことは十分可能であると言えます。

 

すでに、少額決済であれば、銀行以外でも参入が許されています。

仮想通貨を含めたデジタル通貨の流通という発想も現実的なものとなっています。

 

さらに、今後予想される展開としては、個人レベルでの信用力がより判断しやすくなるということになるでしょう。

情報技術は、あらゆる情報を蓄積し、個人レベルに到るまで、信用力の判断ができるだけの情報提供を可能にすることでしょう。

 

当然、地域性などの問題もあり、全ての銀行が一斉に信用創造機能を縮小、停止させたのでは問題が起きることが予想されますが、徐々に銀行の機能は、縮小していく運命にあるのだろうと考えます。

 

資本主義黎明期には欠かせなかった銀行の信用創造機能も、時代の流れとともに必要性は徐々になくなっていくということです。

歴史を見れば、そのような流れの繰り返しであることは明らかです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

当たり前のように大企業として成長、合併を繰り返し巨大化してきた銀行ですが、ここにきて潮目が変わってきていると言えそうです。

 

預金業務や決済業務としての機能や、その他の金融関連業務としての役割は引き続き残るかもしれませんが、信用創造というこれまでの日本に欠かすことができなかった機能は徐々に縮小していくように思われます。

 

それを予想して、銀行を去ったわけではないのですが、このようにデジタル通貨をきっかけに考えてみると、時代の流れをひしひしと感じます。

 

銀行員としてあくせく働いていたら、特に考えることもなく日々の業務に忙殺されていたかもしれません。

 

資本主義の成熟と、情報技術の進化は、今後さらなる業界再編や、価値観の転換をもたらすようになると思われます。

 

安泰である仕事や生き方というのは、どこにもないということを認識して、自分がどう生きるか考えることがやはり最も重要なのだと思います。

 

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以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

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