資本主義の限界がもうすぐそこにある理由

資本主義の歴史

こんにちは!Jimmyです。

今回は資本主義の限界についてです。

 

諸説ありますが、資本主義の発祥は14世紀ごろと言われています。

この頃には既に、「金利」という概念が存在しています。

通貨を軸に取引が行われ、貸金業も行われていました。

 

その後数百年の間、ヨーロッパのみで見られていた資本主義ですが、世界に急速に広まったのは、イギリスでの産業革命がきっかけでした。

 

モノを生産する工場が方々で建設され、機械が導入され、労働者を集めて生産が行われるようになりました。

会社勤めという概念は、それほど古いものではありません。

サラリーマンという働き方が広く認知されたのは、日本では、昭和の初期くらいからでしょう。

 

それまでは、それぞれ商売をやったり、農家を営んだりしていました。

私の祖父母の世代では、近所の家を、魚屋の〇〇さんとか、海苔屋の△△さんという呼び方をしていました。

(その頃すでに、魚屋も海苔屋も営んではいないのですが)

 

ですから、サラリーマンの歴史は100年ほどの短いものです。

資本主義のポイントは簡単にまとめると以下のようになります。

ポイント

・資本家が労働者を雇い賃金を支払い、労働者は労働を提供するのが資本主義の基本型。

・より大量に、より効率的に作り、拡大成長し、資本を増やすことを目的とする。

・産業革命を機に機械化が進み、生産効率が上がることで世界中で取引が可能になった。

・前提として未開拓の市場があること、安い労働力があること。

 

現在、企業で生産されたモノやサービスは、世界中で取引されています。

資本家が資本(富)を蓄え、貧富の格差が拡大している現状を見れば、まさしく資本主義社会そのものです。

しかし、この資本主義が、そろそろ限界にきていると叫ばれるようになりました。

資本主義が限界と考えられる理由

地球は有限!開拓余地には限界がある

一番の理由は、資本主義が続く前提が無くなりつつあるからです。

すなわち、未開拓の市場、安い労働力を提供する場所が無くなりつつあるのです。

 

アフリカはまだ成長の余地があるかもしれませんが、無限に広がるわけではありません。

資源の問題は既に深刻になっています。

(最近では地球外に活路を見出そうという動きもありますが)

人口も、しばらくは増加が続きますが、増え続けるわけにはいきません。

 

いずれ成長は止まります。

空間が有限である以上、永遠の右肩上がりはあり得ない、すなわち資本主義もいつかは終焉を迎えるのです。

 

増殖した資本は、常に次の投資先を求めます。

ヨーロッパ列強が植民地獲得に乗り出し、世界中で争いが繰り広げられたのは、まさに次の投資先を求めたことがきっかけです。

 

記憶に新しいのは、2000年代、各国の中国進出ラッシュです。

安い労働力を求めて中国各地に工場を設立し、大量に生産し、世界中に届けることでより大きな資本を得ていきました。

 

単純に言えば、資本主義の歴史は、資本の増殖ゲームです。

当時の社会主義国家や発展途上国も巻き込み、参加者が増えていった結果、今の世界があります。

 

投資先が無いからマネーゲーム、富の集中へ

しかし最近では、新たな投資先が無くなり、行き場を失った資本が、金融市場に流れ込んでいます。

一つの大きな転換点です。

今までは、例えば東南アジアが伸びる、中国が伸びる、工場を新設しよう、設備投資しよう、研究開発に投資しようとなっていたわけですが、もう新たに売れる市場もなければ、安い労働力も見込めません。

 

考えてみれば当然のことです。

まずは自国の労働者を雇って資本を拡大、そして自国が豊かになると労働者の賃金も上がる。

より効率的に作るために他国の安い労働力を求めて海外に進出、そしたらその国も豊かになり賃金が上がる。

 

この数十年で労働の担い手であった発展途上国の賃金も上昇しました。

技術革新により世界中で販売網を持つこと、世界中で同水準の商品を消費することは珍しい光景ではありません。

 

同時に、大きな利益が得られる未開の地は、次第に少なくなっていきました。

 

そのような状況で新たに投資しても、それに見合うリターンが得られません。

一部、EV、自動化ロボットやAI関連、先端医療への投資は活発ですが、ごく限られた分野での話です。

 

資本が増えないのなら、投資をしても意味がないということで、アメリカが作ったのが巨大金融市場です。

ここに、余ったお金が流れ込むこととなりました。

証券化やデリバティブという手法を駆使した結果、所謂マネーゲームを加熱させました。

最近では、暗号資産の取引も熱気を帯びています。

 

このマネーゲームにより、資本家は更に富を得ることに成功し、更なる格差を生みました。

現在、世界の金持ちトップ1%の人が、世界中の資産の半分以上を所有しているといわれています。

 

マネーゲームは、もはや実態がありません。

お金でお金を作っています。

そのため、近頃ではいたるところで、資本主義の限界がささやかれるようになり、マルクスの資本論が見直されたりしています。

身近に考える資本主義の限界

日本の銀行と製造業

少し視点がマクロになりすぎたので、身近に考えてみます。

ここでは日本の銀行と製造業を例にします。

 

高度経済成長期、銀行は大変重要な役割を担ってきました。

日本企業の資金需要を支え、日本の成長に大きく寄与してきたことは言うまでもありません。

 

多くの企業が銀行から融資を受け、設備投資を実施し成長しました。

会社は利益を上げ、設備投資を実施し、規模を大きくしていきました。

そして更なる成長を目指します。

 

成長局面では、どこの企業も同じように、更なる拡大を目指して、設備投資を積極的に実施し、従業員を増やして、より効率的に、大量生産を目指します。

 

そうすると従業員の獲得競争も激しくなり賃金も上昇します。

賃金が上昇すれば、消費者は豊かになり、購買意欲も上昇します。

消費されるお金、出回るお金が増えることは、銀行預金の増加を意味します。

銀行は、その資金を資金需要のある会社に貸し出します。

 

そうして経済が循環し、国全体が豊かになります。

しかし、現在はどうでしょう。

 

企業はあまり設備投資に積極的ではありません。

日本中はおろか、外国を見渡しても高成長が期待でき、資本の増殖に寄与するような投資先がないのです。

 

お金は手元にあるのですが、成長しているわけではないため、従業員の賃金を上げることもしません。

むしろ今後の(更なる)景気減退局面に備えて手元資金を厚くしておこうと考えます。

 

銀行も、お金の貸出先がありません。

こうしてお金の流れが悪くなっているのが現在です。

余ったお金の向かう先は、国債だったり、金融商品だったりするわけです。

 

労働者の賃金は上がらず、マネーゲームによって巨額の富を得た一部の人が資本を蓄積するという構図が続いています。

 

一時期アベノミクスの効果をうたい、「景気回復」、「上場企業の利益が過去最高水準!」といったニュースもありました。

実際には、景気回復している実感が湧かないのはこのためです。

 

あわせて読みたい

信用創造は今後必要なくなる?資本主義の成熟と銀行の役割

 

アメリカでの異変

次に、資本主義の中心とも言えるアメリカの状況に注目します。

 

これまで述べてきた通り、富の集中と貧富の格差の拡大により、国民の不満は高まっています。

大学などの高等教育機関では、授業料が高騰しており、授業料を払えない学生、ローンを抱える学生が増加の一途をたどっています。

医療についても、国民皆保険を求める声が日増しに強まっています。

 

ギャラップ社の過去の調査によると、特に若い世代の間で、社会主義に対する支持が高まりつつあることがわかっています。

2019年の世論調査では、ミレニアル世代とZ世代では、ついに資本主義と社会主義の支持率がほぼ同水準になったということです。

 

社会主義については、アメリカでは、これまで「失敗」と見なされてきた経緯があります。

それでも、社会主義を支持する声が高まっているのは、裏を返せば、資本主義に対する失望と見るべきでしょう。

生活コストは上昇を続けており、社会における腐敗も進んでいると国民は受け取っています。

 

2016年、2020年の大統領選では、民主社会主義を提唱する、バーニー・サンダース氏の支持が高まり注目されました

結果として、サンダース氏が、民主党の候補になることはありませんでしたが、過去にない激戦となりました。

どうなる?資本主義

今後どう変わるのか正確に予想することは誰にもできません。

しかし、栄枯盛衰、歴史が物語る通り、必ず終わりはやってきます。

 

アメリカのトランプ大統領(当時)、ロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席と強力なリーダーが台頭しています。

これは、自由主義経済の崩壊を予感させる、変化の前兆と捉えるべきかもしれません。

 

歴史は繰り返すと言われています。

開けたグローバルな世界が、だんだん内向きの小さな世界へと変わっていくことになるかもしれません。

200年前を考えれば、日本も鎖国してました。

100年前は、世界大戦です。

 

長らく続いた時代に区切りが近づいています。

大きな時代の転換期に、私たちはいると意識したほうがよいでしょう。

 

とにかく、世界が変わろうとしているという可能性は感じていただけたかと思います。

では、私たちはどう生きていけばよいのか。

 

ポスト資本主義が議論されて久しいですが、私が様々な書籍やセミナー、議論を通して確実だと思えることは、

規模の優位性がなくなっていく、つまり大きい集団だけが有利ではなくなるということです。

 

もちろん完全に規模の優位性がなくなるわけではありません。

ただ、これ以上規模やコストを追求しても先はありません。

物的な欲求はかなりの人が満たされていることに加え、大きいことによる組織的弊害も指摘されています。

 

「あの人はお金持ちで豊かな生活なのよねー」

と比べて見ても、実は、ほとんどの人はスマホを持っている、家に行けばテレビもあり、洗濯機も冷蔵庫もある。

少し歩けば地下鉄駅に着き、移動することができます。

 

たまには高級レストランに行ってみたいと思いながらも、お手頃なレストランでも満足度はそれなりにあり、美味しいのです。

コンビニもあって便利です。

つまり、値段の差こそあれ、多くの人は物質的には大差ない生活ができているのです。

 

すると何が起こるか?

物の価値が相対的に下がってきます。

 

バナナを例に考えてみます。

 

質問ですが、バナナを買えますか?

基本的には、簡単に買えると思います。

近くのスーパーですぐに買えます。

どちらかというと、安くてどこでも手に入るものという認識です。

 

でも昔はどうでしょうか。

日本でバナナが輸入され始めたのは明治時代です。

ほんの100年前までは庶民には手の届かない高嶺の花だったようです。

 

バナナは実際、美味しくて栄養価も高い、素晴らしい食べ物です。

当時、お金を持っていた人は、バナナに大金を出し、それでも満足感を持ったことでしょう。

その後、世界中に広がっていくのもわかります。

 

バナナの例でしたが、当時は物の価値が相対的に高かった時代です。

テレビを持っている家庭は憧れの眼差を受け、サラリーマンは、”いつかはクラウン”を目指すことになります。

 

一方、現在では、車を持っていなくても、持っている人よりも貧乏かというと、誰もそんなことは思いません。

テレビは見ない、必要ないという人も増えています。

「お金がなくて買えないのだろう」と疑う人は多くないでしょう。

 

物の価値が相対的に下がると、どんな価値が上がるのか?

目に見えないものです。

安全、安心、信頼、感動、哲学などです

 

2020年代に入り、データ資本主義という言葉をよく聞くようになりました。

データや情報、知財の価値が高まっています。

今後もしばらくは、目に見えないものの価値が注目される傾向は続くことでしょう。

 

歴史を振り返ると、日本の場合、過去に約40年スパンで、環境が大きく変わり、人々の価値観も大転換を迎えていることがわかります。

次の転換点は2020年代です。

興味のある方は以下の記事もご覧ください。

あわせて読みたい

歴史から振り返る日本の価値観大転換40年スパン説

新たな価値観と新たな資本主義を実践する取組

以前出席したとあるイベントで、資本主義の今後を考えるというオープンなディスカッションの場がありました。

そこで、すでにポスト資本主義の価値を見据えて実践しておられる企業の方が登壇されていました。

面白会社カヤックさんという鎌倉の会社でした。

 

その中で紹介された、カヤックさんの取り組みに対する私の理解はこうです。

・ソーシャルキャピタル(社会資本)に価値を見出している。

・地域に根ざした地域資本主義社会を作りたい。

・地域の食堂を作ったり地域のコミュニケーションの場、情報がやりとりできる場を創設する。

・ブロックチェーンを利用した地域通貨も検討中。

(※社会資本とは、人的ネットワーク、つながりのこと。人のコミュニケーションの中に価値があるという考え)

 

カヤックさんが仰るには、既存の資本主義と並存しつつ、最新技術を活かすことで社会資本の価値が生きるということでした。

まずは鎌倉という一つの地域で展開するということでしたが、成功すれば、他の地域でも広がる可能性はあるのではないかという見通しのもと進められています。

詳しくはHPがあったのでリンクを貼っておきます。

面白法人 カヤックさんのHP

大変興味深い取り組みでした。

 

社会資本の重要性について、ふと考えてみました。

 

バナナは簡単に手に入り、大手スーパーに行けば安いものが手に入る。

レストランチェーンに行けば、期待を下回らない品質が約束されている。

 

一方、地元の八百屋さんに行って、雑談しているうちに、新たな料理のレシピを教えてもらえるかもしれない。

「最近泥棒がこの辺りで出るから注意してね」といったような身近な防犯情報も入ったりする。

地元の食堂に行けば、近所の人が作った野菜を安心して食べられる。

値段は少し高くても、地域のものを利用したほうが価値があると認識されれば利用者は増える。

 

情報は地域に集中し、信頼、安心といった無形の価値も増幅する。

地域を大事にすることで地域自体が活性化し、より良い循環が生まれる。

最新技術も導入していくことで、不便さのない地域社会を目指すことも可能。

 

テクノロジーのある世の中だからこそ、それと共存させることで地域社会に新たな価値が加わる。

想像が広がります。

今後の動向に注目します。

大企業が安泰ではない!小さくてもチャンス!

先ほど、規模の優位性が小さくなるという話をしました。

下記3点は従来では大企業の大きな強みでしたが、今はそれほど盤石ではありません。

①規模の強み

・物の価値が相対的に下がってきている。

・安さは武器にはなるが、市場の拡大は難しく、ジリ貧に。

・むしろ巨大な組織のため意思決定に時間がかかる。
②ブランド=安心感、高級感

・ネットを見れば、口コミや、HPなどで情報はたくさん取れる。

・以前ほど、有名大企業だから安心、小さい企業は不安ということはない。
③ノウハウ

・急激な技術の進歩、発達、イノベーションにより、既存のノウハウや価値基準を打ち破るスタートアップが台頭。

・ニッチな分野で生かせる技術やサービスが次々と生まれている。

つまり、大企業の強みも相対的に下がると思われます。

(巨大なデータ資本を有する一部の企業の議論は、また別にありますが)

 

社会資本の価値や、小規模ながらニッチなニーズを捉えたアイデアサービスの価値が上がってきています。

 

スタートアップと提携する大企業が増えています。

彼らは下請けでもなんでもありません。

パートナーシップであり、立場は平等です。

 

近い将来、どんな時代になるのか、正確に予想することは難しいですが、変化は少しずつ起きているのも事実です。

資本主義が根本から覆される可能性もあれば、上記のように、優位性や資本の価値に変化が生じていくことも考えられます。

 

今では当たり前の会社勤めですが、もはやサラリーマンだけが王道ではありません。

もしかしたら、予想もしないような大転換を迎えることになるかもしれません。

こんな時代だからこそ、変化に対応できるよう、世の中の動きを常に見て、価値観をブラッシュアップすることが重要ではないでしょうか。

 

以上、ここまで読んでいただいてありがとうございました。

 

あわせて読みたい

資本主義に関する以下の記事もぜひご覧ください。

パラダイムシフトとは世代交代だ!取り残される側にならないための考え方

ポスト資本主義として成り立つ世界はあるのか?

30代の世代がやるべきことと役割、変化の時代をリードするべき理由

データ資本主義とは?貨幣と企業の役割が激変するストーリーを読み解く

『論語と算盤(渋沢栄一)』が現代に突きつける警告をまとめます

 

✔LINE公式アカウントからも発信しています!

友だち追加

 

✔1 on 1 コーチング受付中

お試し期間あり。

信念の土台から作り上げ、人生を変えるお手伝いをします。

>>詳細はこちら

コーチング

 

 

✔限定プレゼント

信念を見つけたいあなたへ

読者様からの要望によって生まれた

『信念の書』

限定プレゼント

 

資本主義 限界
最新情報をチェックしよう!