日本の国技、相撲
こんにちは!Jimmyです。
かれこれ30年以上の相撲ファンです。
幼稚園に行く前から大相撲を見るようになり、好きな力士は旭富士でした。
自慢は、小錦と相撲をとったこと。
当時は千代の富士が、全盛期は過ぎたものの、圧倒的な人気力士でした。
横綱、大関以外にも、個性のある力士がたくさんいて、祖父と一緒にテレビ中継が始まる時間からずっと見ていた記憶があります。
何故、5歳そこそこの子供でも熱狂できたのか。
そして今でもずっと見ているのか。
今回は日本の国技である相撲の魅力をお伝えします。
見ていて一番わかりやすいルール
まず、「勝ち負け」がとにかくわかりやすいことが魅力です。
どちらが勝ったのか、子供でもお年寄りでもすぐにわかります。
すぐに楽しめる競技です。(もちろん奥は深いですが)
相撲に比べ、他のスポーツは、ルールを理解するのが本当に大変です。
野球やサッカーは、私も小学校の頃からやっていましたが、ルールが意外と多くて知らないこともたくさんあります。
何度見ていても、未だにラグビーやアメフトのルールはよくわかりません。
その点相撲は、他のスポーツに比べて、初めて見た人でもわかりやすいと言えます。
スポーツを超えたスポーツ
相撲は日本の伝統的な神道と関わりが深く、元々は、神事として行われていました。
その名残が今も残っています。
例えば横綱は、全ての力士を代表する存在であると同時に、「神の依り代」であることの証とされています。
依り代とは、神が宿る対象、つまりご神体とみなされるのです。
神と同一視される存在であるということです。
ちなみに、昔は横綱という地位はなく、大関が最高位でした。
そのため、横綱には、強いこと(力量)に加えて品格が大変重要視されます。
近年、モンゴル出身力士の横綱が、周囲、世間から大いに叩かれる背景は、ここにあります。
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他のスポーツであれば、勝った人がガッツポーズをしたり、大きなパフォーマンスをしたりすると盛り上がります。
また、少しばかりのやんちゃなエピソードやトラブルであれば許されていますし、罰があってもすぐに復帰しています。
見る側も比較的寛容です。
野球の大スター松坂選手(当時)が、練習の日にゴルフをしていたことがニュースになりましたが、罰金と注意だけでした。
他の有名な野球選手も、お酒を飲んだ後、一般人に暴力をふるったというニュースがありましたが、その後も試合に出続けています。
しかし大相撲の横綱となればそうはいきません。
朝青龍は暴力騒動で相撲協会から引退勧告を受けて、そのまま引退することとなりました。
横綱とは神に等しい存在です、土俵以外の行動も厳しく見られています。
また土俵上で負けが込んでも降格はありません。
一回二軍で調整して出直すということはできません。
引退をするのみです。
このように、神事としての相撲の背景から、スポーツの勝ち負け以上に重要な概念がいくつもあるのが相撲です。
ここを見て!①番付
相撲の番付を知っていますか?
相撲中継を見たことがある人は多くいると思います。
18時前に結びの一番(横綱など、一番位の高い人が行う最後の取組)がありますので、17時30分くらいから、そろそろ面白くなるぞ、と見始める人もいるかもしれません。
17時前は前頭の十枚目くらい、といったところでしょうか。
中継の影響も大きいのですが、17時くらいに上がる力士は、弱い人たちだと思っていませんか?
上の図を見てください。
テレビ中継されているのは、黄色の部分の人たちだけです。
幕内の力士は、大相撲の中で最高ランクに位置します。
17時に出ている人たちも、精鋭42人なのです。
そして十両も含めた最大70人が「関取」と呼ばれ、給料をもらえる存在です。
つまり相撲をとることで、お金をもらっている人です。
インタビューでも「○○関」と、力士の名前(四股名)に「関」をつけます。
幕下以下の人は、給料がもらえません。
所属先の部屋に住み、付き人などをしています。
名前も「さん」付けで呼ばれます。
関取のように色鮮やかなまわしも付けられませんし、関取の代名詞であるあの髪型(大銀杏・おおいちょう)で出ることもできません。
幕下と十両の差はとても大きいのです。
幕内の相撲はもちろん面白いのですが、個人的に注目するのが十両です。
十両には、調子を落としたり、ケガで休んだりしていた実力者やベテランが毎場所数人はいます。
30代後半の力士もいます。
そこに、勢いのある10代や20代前半の新勢力が新たに上がってきます。
私はどうしてもベテランを応援してしまいますが、この新旧対決は、手に汗握ります。
ここを見て!②行司
土俵の真ん中で派手な着物を着ている審判のように見える人です。
まず声を聞いてください。
力士の名前を呼ぶときに、マイクを通さず、声をはりあげています。
たくさんの人が入っている中、肉声を通すのはすごいことです。
力士の位によって呼び方も変わります。
結びの一番だけは特別な言い回しとなります。
聞いていみると面白いと思います。
ちなみに結びの一番ではこう言っています。
そして、服装にも注目してください。
取組が進むにつれて、だんだん豪華になっていきます。
初めは、皆裸足です。
後になると、足袋を履いたり、刀を持っていたり、草履を履いたりと変わっていきます。
実は行司も力士と同じく位があります。
結びの一番のときは、立行司(たてぎょうじ)と呼ばれる行司の最高位の人が出てきます。
力士と違うところは、名前が世襲制となっているところです。
立行司は二人しかいません。
木村庄之助と式守伊之助です。
世襲制のため、「第41代式守伊之助」のようになるわけです。
聞いたことある人もいるかもしれません。(2020年1月現在、木村庄之助は空位です。)
差している刀は、勝ち力士の判定(軍配)を間違えてしまった時は、その刀で腹を切る覚悟であるという意味があります。
もちろん、間違って軍配をあげてしまっても本当に腹を切ることはありませんが、協会側に責任をとって職を辞する旨を報告し、協会側が慰留することで、行司を続けるというのが一応の形となっています。
それだけ重い責務なのです。
その下に三役行司、幕内行司と続いていきます。
取り組みの時間前に行司に注目するのも一つの楽しみ方です。
最近では行司の暴力事件やセクハラ事件などでニュースになり注目されましたが、このような注目のされ方ではなく、本来の行司の魅力に注目が集まってほしいものです。
ここを見て!③懸賞金
永谷園の旗を持った人が、土俵を回っているのを記憶している人もいるかもしれません。
これは、企業が出す「懸賞」です。
取り組みで勝った力士はお金を受け取っています。
人気の力士になると、何十本もの懸賞がかかっています。
1本、62000円ほどだそうです。
そのうち、協会手数料と、力士の税金のための積立金を差し引き3万円が力士の手元に入ります。
ということは20本懸賞があれば、勝った力士は60万円を手にすることができます。
過去最高は、61本(183万円)だそうです!
以前は、懸賞が無い幕内力士がほとんどでした。
懸賞の無い力士は、なんとなく寂しそうに見えてしまうことがあります。(当人たちは相撲に集中していると思いますが)
相撲人気にも懸賞の数は左右されています。
上位陣は注目を集めるため、当然懸賞も多いのですが、最近の力士でいうと、やはり「遠藤」は人気があるため、いつも多くの懸賞がかかっています。
懸賞の数に注目しているとその取組の注目度や、力士の人気もわかります。
ここを見て!④静かな闘志
いよいよ、相撲の取り組みにおける楽しみ方です。
相撲の醍醐味は、何と言っても「立ち合い」(ぶつかる時)です。
時間いっぱいになり、立ち合う直前の力士の内に込めた気合いと緊張感を感じてみてください。
力士は決して、気合いを入れるために大声を出したり、激しく動き回ることはしません。(当時の高見盛や水戸泉などは少し特別ですが)
静かに闘志を燃やし、そして集中します。
相撲は立ち合いが命です。
立ち合いの良し悪しで勝負はほぼ決まるといってもよいかと思います。
150キロを超える巨体がぶつかり合います。
勝負がつくまで、ほんの数秒間です。
見る方も、集中して見ることができます。
なかなか点が入らないからと、お風呂に行ったり、お菓子を持ちに行ったりした時に限って点が入り、決定機を見逃してしまった、、ということはありません。
そして、勝負がついた後、決して、力士はニヤニヤしたり、ガッツポーズをしたり、叫んだり、パフォーマンスしたりすることはありません。
それが神事としての名残が残る、力士たる所以です。
他のスポーツと一線を画すところです。
力士の威厳といえば、まず頭に浮かぶのが貴乃花(貴乃花光司)です。
最近は、踏んだり蹴ったりの貴乃花(2019年に親方廃業)でしたが、力士の頃は、本当にかっこいい存在でした。
もちろん、平成の大横綱です。
とても強いのですが、負かした力士に手を差し伸べる姿、常に表情を変えない心の強さ、ここ一番の集中力は力士の鏡だと思います。
貴乃花の他にも、この時代の横綱は、若乃花にせよ、武蔵丸にせよ、見ていて清々しい力士が多かったように思います。
大一番で気合が入る中、宿敵を倒した瞬間には、もう闘志は見えなくなり、負けた力士に手を差し伸べる、押し出された力士が土俵から落ちないように支えてあげるといった光景がありました。
今も時々見られる光景です。
そのような気持ちの良い力士を探して、応援してみるのも面白いと思います。
一方最近の魅力としては、インタビュールームなどで、勝った嬉しさを隠せない力士がたくさんいます。
ニコニコしながらインタビューに答える人が増えています。
昔の力士では考えられない光景ですが、それはそれでかわいいものです。
土俵上とのギャップに注目してみてください。
時代が少し変わっていて新しい魅力といってもよいかもしれません。
提案:家族三世代で見る
先にも述べましたが、相撲は大変わかりやすいです。
小さな子供からお年寄りまで、皆で楽しめます。
私は小さい頃から、千秋楽(場所の最終日)結びの一番は家族みんなで盛り上がっていました。
なかなか三世代一緒に楽しめることというのはないと思います。
子供がおじいちゃんに質問することもできます。
パートナーの実家に帰省して手持ち無沙汰になったり、お義父さんお義母さんとの会話に困ったりした時にも、相撲の話は案外よいかもしれません。
相撲ごっこは道具がいらないのでお金もかからず、どこでもできます。
(私は昔、相撲を家でやり過ぎて、何枚も畳をだめにしましたので、やり過ぎには注意してください)
たまには家族全員で同じことに熱中するのもいいのではないでしょうか。
提案:カップルで見る
意外とお勧めなのは、カップルで相撲観戦です。
スポーツに関心のない女性にもわかりやすいですし、男性と違った見方をするので、話してみると大変面白いです。
戦術や采配等の複雑な話はそれほど要りませんので、同じ立場で見れます。
我が家の場合、妻はあらゆるスポーツに無関心でルールは何一つわからないのですが、相撲はわかりやすいので私が勧めているうちに一緒に見るようになりました。
程なく、応援する力士とヒール役の力士ができていました。
理由を聞くと、顔つきがいい、仕草がかわいいということで気に入った力士を応援しているようです。
ヒール役はあえて書きませんが、よくわからない理由で悪役に認定されてしまったようです。。。
今まで気づかなかった視点で声援ややじが飛ぶこともあり、新鮮で面白いものです。
是非、ご家族、恋人と相撲観戦してみてください!
ここを見て!番外編 相撲中継の北の富士勝昭さん
他のスポーツ同様、相撲中継にも解説があります。
近年、定番の解説者といえば北の富士勝昭さんです。
元横綱です。
当初私は北の富士さんの解説が好きではありませんでした。
聞いていてあまり気分がよくなかったのです。
基本的に現役力士に対してネガティブコメント、厳しいコメントが多いからです。
稽古が足りないとか、こんな相撲ではダメだ!といった発言が目立ちます。
好きになったのは、自身の力士時代の話をふられた時の対応が、お茶目であることに気づいたからです。
解説者の人は元力士であることが多く、よく実況のアナウンサーから、昔の話をふられます。
「北の富士さんも優勝を数多くされていますが、、、」
「北の富士さんも横綱として多くの若手の壁になって来られましたが、、、」
「力士の頃はどのように考えて、、、?」
など、よく力士時代の話になります。
そういうときは、いつもバツが悪そうに、少しぶっきらぼうに、とても謙虚なコメントをするのです。
「私なんて、そんなに優勝していませんからね、、、」
「いや、、、まあ私の場合はね、、よく負けていましたから」
「本当に強い力士は、逝くのも早いんだな、私みたいのが残って、、、」
力士としての北の富士は横綱であり、もちろんすごい力士です。
優勝も10回しています。
ちなみに長い歴史の中でも二桁回数の優勝をした力士は14人しかいません。
一方、時代としては、大鵬、輪島、北の湖といった、相撲ファンならずとも知っているスーパースターに挟まれた世代でした。
本当に、敢えて、横綱の中で比べると印象は薄いかもしれません。
それを気にしているのだと思いますが、横綱だったのだから、そこまで卑下しなくてもよいのに、とクスッと笑ってしまいます。
だからこそ、あれほど悪態をついていても、視聴者からも嫌われないのだと思います。
是非注目してみてください!
平成が終わり、令和時代に入りました。時代の節目に、過去の歴史を振り返り、歴代力士の中で誰が最強かを勝手に考えて想像し、ランキングにしてみました。
是非こちらの記事もご覧になってください。
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ここまで、大相撲の魅力、楽しみ方について書いてきました。
取り組みまでの時間が意外と長く、退屈になるような時は、これまで書いてきたような、懸賞金の数や、行司、仕切り方などに注目してみると面白いのではないでしょうか。
最近は若い女性も、相撲を見る人たち(スー女)が増えているようです。
日本でまた相撲人気が高まれば、強い日本人力士が出てくることに繋がると思います。
平成の若貴ブーム(若乃花・貴乃花兄弟を中心とした相撲人気が社会現象になりました)のような盛り上がりが、令和時代にもあることを願います。
以上、ここまで読んでいただいてありがとうございました。
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