1兆ドルコーチとは?
こんにちは!Jimmyです。
今回は、1兆ドルコーチから学ぶべき人間関係というテーマです。
多くの経営者、企業幹部を成功に導いた伝説のコーチが示した至極の教え。
その中には、人間関係の要素が強くあり、私たちの人生を変えるような重要な教えも多く含まれています。
学ぶべき、そして考えるべきポイントを、人間関係の視点から紹介します。
1兆ドルコーチ ビル・キャンベル氏
1兆ドルコーチとは、ビル・キャンベルという伝説のコーチのことです。
表舞台に出ることに積極的ではなかったため、本人の著書はありませんが、影響を受けた人の名前を聞くと1兆ドルの意味がわかります。
スティーブ・ジョブズ(Apple創業者)、ラリー・ペイジ(Google創業者)をはじめ、世界を代表する企業の経営層が、ビル・キャンベル氏の影響を強く受けたと言われています。
それらの企業の時価総額を見れば、優に1兆ドルを超えているということです。
影響を受けた80人のエグゼクティブのインタビューをもとに、ビルの教えが本にされたという経緯です。
ビル自身は、もともとアメフトの選手であり、大学卒業後も、アメフトのコーチをしていました。
最初からビジネスの世界を渡り歩いてきたわけではありません。
上記のようなIT企業幹部のコーチにもかかわらず、専門知識があるわけではなく、コードも全く書けなかったということです。
そのような人が、どうやって一癖も二癖もありそうな経営幹部に影響を与えることができたのか。
さらに、なぜ、並々ならない尊敬を集めているのか。
その鍵が、人間関係の作り方、チームの作り方、信頼関係の作り方にあることが本書を読むとわかります。
1兆ドルコーチから学ぶべきこと・考えるべきこと
本当の信頼とは?
ビジネスをする上でも、それ以外でも、信頼関係が大事であることは言うまでもありません。
誰もが、信頼関係を構築すべく、日々苦心しているはずです。
ただ、多くの場合は、利害に基づく関係であることがほとんどでしょう。
人間性の部分よりも、立場や環境による部分が大きいと言えます。
そのため、心から安心して付き合うことができません。
そう実感している人も多いのではないでしょうか。
ビルが求めたのは、人間性の部分、心からの信頼です。
そもそも、ビルは信頼できない相手とは付き合わなかった(コーチもしなかった)とされています。
信頼関係を築いた上で、徹底して相手のために行動しました。
当たり前のように感じますが、これらを全力で実行することは簡単ではありません。
人としての大切さは理解しつつも、利害得失になびいてしまうことが世の常です。
特に同僚、チームに対して信頼関係を強固にすること、つまり心理的安全を作ることが重要とされています。
Googleが、なぜ高いパフォーマンスを発揮するのか、その原因として分析されているのが、組織の心理的安全です。
これこそが、ビルが注力して作ろうとした環境です。
チームの中の誰がどのような発言をしても、拒絶されたり、罰せられたりする心配のない状態。
馴れ合いの関係とは違う、緊張感はありながらも、いつでも正直で忌憚のない意見をぶつけ合える関係。
無論、倫理観は大変重要視され、政治的な駆け引きなどは徹底的に排除するべきとされていました。
空気を読んだり、揚げ足を取られないように考えたり、批判を恐れたりといったことを気にする必要がなければ、議論の質は格段に上がります。
このような理想的な関係を作るために、どうすればよいのでしょうか。
他者との向き合い方のヒントについて、ビルからさらに学ぶことができます。
本当の関心とは?
心理的安全を築く上で、人間性をさらけ出すことは必須です。
ビルも、コーチをするにあたり、役職やスキル、経験値などよりも、その人の考え方、内面の強さ弱さを知ろうとしました。
ミーティングをする際は、必ず世間話のような仕事とは関係のない話から入ることがビルのやり方でした。
ただし、普通の雑談と違うところは、心から関心を寄せた雑談であるということです。
意味のある雑談と言ってよいでしょう。
この雑談により、幸福感を高めたり、相手のことをよく知るという目的がしっかりあるわけです。
中には、本題より重要な意味があったと振り返る人もいたそうです。
形式的に「髪切った?」、「お子さん元気?」、「それは大変だったね・・それじゃ本題を・・」という話ではありません。
特に家族のことについて話すときなどは、具体的に相手の家族の状況、子供の名前、年齢、所属しているクラブ、家族の悩みなどの情報もしっかり把握していました。
その上で、必要なアドバイスもすれば、実際に相手の家族と会うこともあったそうです。
プライベートな幸福感が、人生で大切であるという当たり前のことを認識していたからです。
日本でも、数十年前に、田中角栄元総理が同じようなことをしていました。
新人議員の名前のみならず、その家族のことも頭に叩き込んでいたそうです。
関心を持たれたことに感激する議員が多かったことは、言うまでもありません。
ビルは、汚い言葉を使い、大きな声で罵ることも多かったそうです。
(もちろん、激励し発破をかける意味で)
それでも、誰もがそれを愛情と捉えました。
厳しい言葉で卒直に意見するものの、最後は笑顔で包み込む存在。
汚い罵り言葉が愛情表現であると、コーチを受けた人たちは例外なくそう振り返っていました。
心からの関心と信頼関係があってこそ成り立つ状況でしょう。
最近では、「個人のプライバシー」などと言われることが多いと思います。
一方、信頼関係があれば、日本人であろうと、どこの国の人であろうと、自分のことを気軽に話すものです。
先ほどと同様に、優先すべきはチームのメンバーです。
実際には多くの人がいるため、すべての人に関心を向けることはできません。
どうしても、人を厳選するという考えも必要になります。
人を大切にするとは?
人類学者のロビン・ダンバーは、霊長類の脳の大きさと、群れの大きさの関係に注目し、ダンバー数を提唱しました。
それによると、人間が、円滑に安定的に維持できる関係は150人ほどであるとのことです。
時間的な制約もあるためなおさらのことですが、人が関係を築ける人数には限りがあり、それを理論的に提唱したのがダンバー数ということです。
ビル自身も、正直ではない人、信頼関係を築けないと判断した人は、コーチをしなかったようです。
「人が大事」であるとしながらも、チームのために行動できない人には容赦なくクビを通告するよう助言していました。
アメリカの会社であれば当然のことなのかもしれませんが、パフォーマンスが期待できない人も、容赦なくクビにされていたであろうと想像します。
クビにする人に対しても、手厚くもてなすべきとビルは言いますが、その目的は、残る人のモチベーションを考えてのことです。
ビルは常に、チームファーストを訴えました。
前述した心理的安全を確立するのに欠かせない要素がチームファーストです。
エゴが前面に出てしまえば、心理的安全は成り立ちません。
チームを良い状態にもっていけば、必ず問題は解決するというのがビルの考えの根底にありました。
上司のフィードバックは気にしなくてもよいから、同僚、チームからの評価を上げるためにどうすればよいかを考えろと言っているほどです。
だからこそ、コーチをする人に対しては、チームのためにという視点に立てるか、素直になれるか、嘘をつかないかという条件で判断しているのでしょう。
著書には、コーチングを受けた多くの人からの、絶大なる信頼を示すコメントばかりが取り上げられています。
一方で、インタビューされていない人の中には、冷遇されたと感じた人も数多くいたことでしょう。
信念を持って、付き合う人、関係を築く人を厳選するという考え方も、非常に大切な要素の一つであると感じます。
最後に 組織にいると忘れがちな当たり前のこと
今回は、人間関係に焦点を絞り、1兆ドルコーチ、ビル・キャンベル氏の教えから学ぶべきことを、私なりの解釈で示してきました。
本当の信頼、本当の関心、大切にするべき人の厳選。
わざわざ取り上げて書いているのは、それだけ重要であり、多くの人が見失いがちであると思われるからです。
しかし、よくよく考えれば、どれも社会に出る前は当たり前のこととして考えていたことではないでしょうか。
利害に関係なく、何でも言い合える関係、相手の心情に寄り添った心からの関心、厳選された関係、つまり親友。
学生の頃であれば、そのような環境があったと胸を張ることができる人も少なくないはずです。
ただ、組織に入ってからはどうでしょうか。
当たり前ではなくなるというのが、多くの組織にとっての現実ではないかと思います。
それに真っ向から異を唱えて、違うやり方で導いたのがビル・キャンベル氏です。
さらに、最近のリーダーシップ論でも、盛んに個人的な人格をベースとした人間関係の重要性が主張されるようになりました。
変化の激しい複雑な時代に必要な人間関係として、強権的な主従関係や、建前だけの関係では限界があるという証拠です。
馴れ合いの関係、友だち関係との違いに留意しつつ、人間性に根ざした深い関係を築くことに目線を向けてみてはいかがでしょうか。
以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。
今回は、人間関係に絞って考察しましたが、リーダー、マネジメント、コーチングという視点でも、多くの学びがある本です。
こちらもおすすめ