『武器としての「資本論」』が武器になる理由

こんにちは!Jimmyです。

資本主義に対する懐疑的な見方が強まるにつれて、再度注目されるようになったのが、マルクスの「資本論」です。

今回は、『武器としての「資本論」』をおすすめします。

数ある解説書の中でも、大変わかりやすく、”使える”考え方を授けてくれる本だと思います。

「資本論」は正直極めて難しい・・

「資本論」に関する解説書は、少し探しただけでも、大変な数があることがわかります。

それもそのはず、「資本論」は大変難しい本です。

原文の訳を読んでいても、理解はあまり進みません(私の場合)。

少くとも、実践的な示唆を得ることは、よほど研究しないと難しいと思います。

 

だから、多くの解釈が生まれ、解説書も登場することになります。

私も、様々な「資本論」の入門書、解説本に頼りましたが、本によって、発見できる内容は様々です。

すべてを網羅するのは難しいということでしょう。

 

そんな「資本論」に関する書籍の中で、わかりやすく、持つべき考え方が整理されている本が、本書です。

タイトルの通り、「武器」となる考え方を持つことができる良書だと思います。

本書は、「資本論」で書かれていることを忠実に、順番通りに解説しているわけではありません。

一部に絞って解説されていますが、その分主張も明確になり、わかりやすくなっています。

 

また、「資本論」からも度々脱線しています。

他の思想家や経済学者、現代人の考え方なども引き合いに出し、考察されています。

そうすることで、理解を助けてくれるようになっています。

 

私の場合、「人新世の資本論」の著書である斎藤幸平さんが勧められているのを見て読むことにしました。

マルクスの研究をされている専門家の立場からも絶賛されているということは、本来の資本論の主張も満たしているということでしょう。

武器となる考え方を得られるポイント

まず、資本主義の成り立ちや、商品と富の違いなど、資本論の大切な概念を学ぶことができます。

その上で、武器となる考え方に発展させるために、様々な事例や現代の思想を交えて説明がなされています。

今、どのような弊害が広がり、これからどうしていくべきだなのか、1つのストーリーとして見てもよいかと思います。

以下、用語解説や細かい概念は省略し、得るべき視点、考え方について簡記します。

 

資本の増殖を目指す構造を認識する

資本主義は、資本の増殖を目的としており、それ以外にはないということです。

機械装置を設置するのも、人が楽をするため、または世の中をよくするためではなく、資本を増やすためです。

つまり、機械により自動化され、便利になっても、労働時間短縮には繫がらないことをマルクスは予測していました。

資本を増やすためには、できるだけ人に働いてもらったほうがよいからです。

人の健康も環境問題も関係ないわけです。

資本主義という社会の大枠で見た時、各人が人格としてどうかではなく、そうなるような仕組みになっているということです。

 

資本の包摂を知る

その考え方は、資本の包摂と表現されます。

資本主義のごく初期の段階では、労働者個人の技術や裁量に頼らざるを得なかったのが、機械化、画一化が進んでいきます。

そうなると、個人の裁量は減り、機械の一部のようになり、資本増殖の過程に取り込まれていきます。

 

さらに進むと、生産・労働過程にとどまらず、人の考え方そのものが、資本増殖を目的に動くようになる、

資本主義の価値観が、内面にしっかり根を張って、その人物を形成している状態です。

まさに、現代の社会では、魂までもが資本に包摂されていると見ることができます。

新自由主義の考え方のもとで、資本増殖に寄与できるスキルがない人間は価値がない、給料も少なくて当然という考え方。

当たり前に受け入れている人が多いと思いますが、それは資本に包摂されている結果かもしれません。

 

新自由主義の現代に起きていることを知る

資本主義の進展が、人の生活の向上をもたらした時期がありました。

資本の増殖のためには、労働者にもしっかり分け前を与えて、生活の質を向上させること。

やる気を持ってラインに張り付いてもらい、出来高に応じて還元することで、効率が高まること。

このような時代には、中流階級が多く生まれ、労働者の環境、待遇も改善していきました。

 

しかし、忘れてはいけない前提は、資本主義は人の生活の向上を目的としないことです。

生産力に関係するイノベーションが次々と生まるにつれて、商品も陳腐化し、剰余価値をもたらさなくなります。

これは、今では当たり前に実感されていますが、資本主義が進むと、剰余価値の獲得が難しくなってきます。

イノベーションもすぐに追いつかれ、陳腐化します。

ラインに張り付いて、同じ作業をしていも剰余価値はもたらされなくなりました。

 

そうなると、資本の増殖のためには、今度は労働者への手厚い体制が邪魔になります。

その結果、正規社員を減らし、給料もカットする方針が出てくるようになります。

新自由主義のもとでは、資本増殖に寄与しない人は、淘汰されて当然という考え方が強くなっている現状があります。

自己責任論は、日本でもよく認識されています。

幸福感を感じられない人、精神疾患者数が増えるのもうなずけます。

これが、今の社会を取り巻く状況です。

 

人間の尊厳を取り戻す

始まりがあれば、いつかは終わりを迎えます。

資本主義にも終わりがあるはずです。

資本主義を超える社会システムはないと言われることもありますが、無思考に受け入れるのはさらに危険です。

 

今こそ、資本に包摂されている考え方から脱却するときだということが、最後に著者により主張されています。

自分はスキルが無いから、贅沢できなくて当然、毎日コンビニ弁当でしかたない、抑圧されても何も言えない。

このような考え方ではなく、本来、スキルなどとは関係なく美味しいものを食べる権利があるのだ、

幸せに生きていく権利があるのだという認識を持てばよいということです。

マルクスは階級闘争という言葉を使用しますが、現状を打破するために、行動するという選択肢は持っておくべきでしょう。

武器を持つから動くことができる

今回は、『武器としての「資本論」』という書籍をとりあげました。

資本論に関する書籍を読んだことがない人であれば、今までに考えなかった新たな視点があったのではないでしょうか。

難しい概念もたくさん登場する「資本論」という著作ですが、本書では難しい概念がわかりやすく解説されています。

それでこそ、考え方の枠組みとなり、自分の思考を構成する武器となります。

資本主義に対してどう立ち向かうかという1つの枠組みが、自分の中に持てるということです。

 

「資本論」について学び始めるとしたら、一番に読むのに適した本かと思います。

 

これに限らず、考え方の枠組みを身につけていくことは、これからの時代では益々重要になると思われます。

自分の行動を変えるにも、新たな行動を起こすにも、強固な考え方の枠組みは必要です。

言わずもがな、1人で強固な枠組みを構築するより、先人の知恵を借りるべきです。

 

今目の前に広がっている社会が、正解でもなければ普遍的なものでもないこと。

これは、考え方の枠組みを多く持つことで、当たり前に身についていく感覚です。

 

「資本論」をはじめ、難解な書物も多くありますが、そういう場合は、無理に原書や原書訳を読まずに、解説書を探せばよいと思います。

気づきを得ること、考え方の枠組みとして理解すること。

それでこそ、自分のなかで思考に落とし込み、行動に繫げることができます。

 

以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 

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