こんにちは!Jimmyです。
日本の企業は生産性が低いと言われています。
今回は、実際に私が10年以上銀行に所属してわかった、労働生産性が極めて低い本当の理由を解説します。
半世紀の間不動の地位!労働生産性最下位の日本
働き方改革が進められています。
そんな中、日本の労働生産性の低さが再度注目されるようになりました。
年末に発表された、生産性ランキングで、日本は主要7国のなかで最下位です。
なんと50年間近く連続で、主要先進国(G7)の中で労働生産性が最も低い国なのです。
労働生産性は以下のような定義です。

つまり、製造業では、労働者一人当たりが、どれだけ効率的にモノやサービスを生産しているかを表し、
サービス業では、労働者一人当たりが、どれだけ付加価値の高い仕事をしているかを表します。
日本では、労働生産性が低いというこの結果に対して、反論がでています。
「各国の労働生産性の算出方法に違いがあるから正確ではない」という意見や、
「元々、欧米が有利になるよう作られた指標なのだから気にする必要はない」
さらには「失業率が低く抑えられているかわりに生産性は低くなる」という意見もあります。
実際、一理あると思います。
統計するのはものすごく大変です。
あらゆる部門の統計が必要です。
詳しくは想像もできませんが、完全に算出過程を揃えることは無理な話だと言われればそうなのかもしれません。
しかし、私は12年間、日本企業で働いてきた実感、肌感覚として、この結果には大いに納得できます。
私が体験してわかった、日本企業の労働生産性が低い本当の理由を以下に書いていきます。
私が所属していたのは銀行なのでサービス業の例になります。
製造業は若干異なるとは思いますが本質的な問題点は変わらないと思います。
労働生産性が低いどころかマイナス?非効率な理由
①無駄な登場人物、レポートライン
日本の会社の多くは、今でも年功序列の社会です。
体育会系の組織もまだまだ多いのが現状です。
年次によって肩書きを用意するために、自然と縦に長い組織になっていきます。
多くは以下のような階層になっています。
系列会社や親会社があるように、自社の組織に止まらず、どんどん縦に長くなっているのです。
2、担当者クラス(若手)
3、班長・係長クラス(30代)
4、副課長クラス(40歳前後)
5、次長課長クラス(40代)
6、部長クラス(40代後半〜)
7、副社長(所属会社)(50代)
8、社長(所属会社)(50代)
9、以降、本社役員(常務、専務)
・・・・社長・会長・顧問・名誉●●等
特徴として、4以降(中間管理職以降)は運動量がガタッと落ちます。
自分で手を動かすことが少なくなります。
会社によっては、4、5の中間管理職が一番忙しいという場合もあるかもしれません。
部門長クラスがやっていることといえば、会議、訓示、接待、表敬、それに決裁箱の処理と人事関係。
部下に指示を出して作業を任せることが基本になります。
私がサラリーマン時代教えられたことで、印象的だったことがあります。
4の副課長以上の人たちの通常業務における時間配分です。
有事の時、急ぎの事態が発生した時、迅速かつ冷静に判断、行動する必要があるため、
普段は手が空いた状態にしておくのが良いのだそうです。
では、何か問題や対応が必要な急ぎの時は、上の人たちだけで対応できるのかといえば、全くそんなことはありません。
忙しくしている部下たちを呼んで会議を開き、方針が出れば、作業や顧客対応を全てやらせます。
社長などのトップであれば手を動かすことはなくてよい(むしろそんなことしていてはダメ)と思いますが、
それは手を動かしたり特定の作業をするよりも重要な役割を担っており、大局的に状況を見ること、そして判断を下す、考える時間が必要だからです。
中間管理職の多くに、毎日そんな重要な判断を下す事象や考える時間が必要かといえば、全くそんなことはないというのが私の率直な感想です。
このように、直接利益(成果)を産まない登場人物が大変多いのです。
②余計な仕事が発生する仕組み
お手すき人物が多いので効率性は当然低くなります。
つまり労働生産性が上がるわけはありません。
その仕組みを紹介します。
私は決して優れた営業マンではありませんでした。
失敗をしてトラブルになりかけたこともありますし、営業推進上、上司の力をお借りしたい局面もありました。
しかし、何年もやってきましたが、基本的には上の階級表でいえば、5の次課長クラスまでで解決できるものばかりでした。
それ以降の登場人物は営業推進という観点だけで言えば、特に必要の無い存在でした。
ただし、不要なのに、報告は必要なのです。
とにかく組織人たるや、トラブルには超敏感です。
関係部署や他部店から自分が攻撃される可能性があると考えれば、なりふり構わず防衛策に走ります。
心配なので、とにかく状況を逐次把握しようとしますし、来るべき上司への「報告」に備えます。
悪い報告ほど先にすることは必要です。
これは、会社に損失をもたらすような事態を避けるため、もしくはお客様に迷惑をおかけしないよう対策をして、組織的に動くために必要な報告です。
しかし、多くの管理職はこう考えます。
事態を知っていないと上司から管理能力を問われるかもしれない、クレームが自分の所に来るかもしれない。
自分を守るために報告を要求します。
端的に言えば保身です。
表向きはもちろん、「組織として把握し動くため」ですが、頭の中は保身だけとしか思えない人もたくさんいます。
また、良い成果が出た時であっても、一報を入れておかないとへそを曲げられてしまいます。
一番最高なのは、案件がほぼ固まった段階で、最後の一押しと御礼もかねて、部門長以上にお出ましいただく。
案件に関わったという事実と、最後に決めていただいたという演出を手配すのです。
それができる担当者はデキる担当者、私はそう教えられてきました。
ある意味、組織で動くとはそういうことなのだと思いますし、人の心理を考えて動ける能力は大事だと思います。
ただ、結果的に余計な作業や意味のない報告事項が増える、残業も増えるということにもなります。
日系企業は、とにかく冒頭の労働生産性の式でいう分子(労働の成果・付加価値)に寄与する人が少ないのです。
寄与するどころか、人の時間を奪うといった、労働生産性を下げる役割を結果的に担っている人もいます。
いなくても全く影響がないという人が管理職には多くいるのです。
労働生産性が高いはずがありません。
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会社では、年次、肩書きが、水戸黄門の「印籠」のような効果を発揮します。
極端な話、何もしなくても年次と肩書きが備わっていれば、ある程度人は言うことを聞きます。
面倒なことは部下がやってくれます。
すでに情熱を失っており楽をしたい人か、自分の立場ばかりが気になって政治に走るか(上ばかりを気にする)、
この2パターンどちらかに該当する管理職のリーダーが大変多いです。
年功序列、安定雇用を前提に考えているため、だいたい将来の道筋は立っています。
問題さえ起こさなければよいのです。
逆に、何か革新的な働きをして評価されたとしても、その後の待遇にそこまで大きな差はないのです。
そのような理由から、何かを起こすよりも波風立たせないことを最大にして唯一の目標と考えます。
野心を持った部下や、新しいことに挑戦しようとする人材を煙たがり、Yesマンばかりを評価します。
実際に足を運び、考え、手を動かさなくては、現場やお客さんのこともわかりません。
付加価値など生み出されるはずはありません。
本来であれば、そんなリーダーに人もついて来るわけはないのです。(ついていくべきではないです。)
日本企業の伝統的な体質が、何もしたがらない、”名ばかりリーダー”を作り、それをよしとしているのです。
私は、働いていた銀行で、素晴らしい力量と考え方を兼ね備えたリーダーにも仕えてきました。
そのような人が実際いることは確かですが、昇進していく人は、そのような人ではないことが多かったのが残念です。
役員クラスが稼いでいる外資系企業
では、海外企業でうまくいっている会社は何が違うのでしょうか。
日本の労働生産性が低いのは何が原因なのか?
身近な例は日本にある外資系企業ではないでしょうか。
働いているのは日本人が圧倒的に多いのに、日本企業のような話は聞こえません。
もちろん、日本人が働いているので、労働時間は統計に出ていない部分がたくさんあると思います。
それなりにブラックな部分もあり、いい部分だけではないのでしょうが、ここでは役員クラスの動き方という話に留めます。
外資系コンサルなどは、役員クラスが営業をする、ということを聞いています。
人材会社のHPなどを見てみると、営業活動はパートナー(日本企業でいう役員クラスだと思います)がやると紹介されています。
業態が違うので、単純比較はできないですが、役員クラスが直接動いて利益、付加価値に貢献しているのは間違いありません。
階層も、3段階くらいで収まります。
データを集めて作業する人、作業指示を出し、まとめて形にする人、お客さんに提案する責任者。
スッキリしています。
役員どころか、部長クラスですら踏ん反り返っている日本企業と一番違うところは、ズバリここです。
利益を生み出す人の割合が多いか少ないかです。
真のリーダーを目指そう、育てよう!
生産性の低い日本の会社では、本来あるべきリーダーが育ちません。
ちょっとやそっとのことでは、伝統的な大企業体質は変わりません。
倒産しかけるくらいのショッキングな出来事が必要です。
そうでなければ、企業の考え方が変わっていくのに何十年とかかるでしょう。
その前に期待したいのは、企業の新陳代謝です。
旧態依然とした組織は新しい企業にとって代わられることで、大企業文化から従業員を解放するしかありません。
働き方改革を軌道に載せるためには、新陳代謝を進めることです。
規制は積極的に払いとり、規模を問わず、時代に適した企業を国として支援するべきです。
子供の頃から、リーダー教育にも力を入れなければなりません。
優れたプレイヤー教育ではありません。
一番の弊害は大企業体質の組織論です。
今までの組織運営では限界がきます。
なぜなら、市場がもう伸びないからです。
ジリ貧です。
労働生産性が低いままでは日本の企業に未来はありません。
いつの時代も新たな歴史や価値観を切り開くのは、過去の栄光にとらわれない人間、変わることができる人間であることを認識し、現状当たり前とされていることをそのまま受け入れないことが必要です。
いかがでしたでしょうか。
今回は、日本の労働制がダントツで低い理由を紹介しました。
伝統的な価値観が生み出した日本風企業の弱点と、リーダーが生まれにくい組織であることを認識いただけたかと思います。
以上、ここまで読んでいただいてありがとうございました。
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