足るを知る人こそがメンタル最強である理由

こんにちは!Jimmyです。

「知足」という言葉があります。

足るを知る、つまり、すでに十分に足りていてることを知るということです。

 

人間、欲望を追求すればきりがありません。

まだ足りない、もっと欲しいと満たされない思いばかりを持って生きていては、幸福感を感じることはできません。

 

目標を持つ一方で、現状でも十分足りている状況を認識し、それに感謝することができれば精神は安定します。

安定した精神は、幸福感をもたらすばかりでなく、人生を破滅に追いやるような罠から身を守ります。

簡単にぶれたり、乱されるようなことがありません。

というわけで、今回は最強のメンタル、知足の感覚について掘り下げてみたいと思います。

「足るを知る」の由来を知っておこう

足るを知るという感覚の大切さは、様々な場面で登場します。

もともとは、老子(紀元前中国の思想家)の言葉の一節です。

その後、時を経ても、様々な人がこの感覚の大切さを語りました。

日本でも、仏教用語として「少欲知足」という言葉があり、大事な教えの根幹を成しています。

今回は、そもそもの老子の言葉を確認しておこうと思います。

 

老子の言葉

老子の言葉は難しいため、解釈も色々あってよいと思います。

その前提で、現代語訳は、私の解釈によるものです。

人を知る者は智、自ら知る者は明なり。人に勝つ者は力あり、自ら勝つ者は強し。

足るを知る者は富み、強(つと)めて行なう者は志あり。その所を失わざる者は久し。死して亡びざる者は寿(いのちなが)し。

(解釈)他人を理解できる人は知恵があり、自分を知る人はさらに聡明である。 他人に勝つ人は力が有り、自分に勝てる人は強いといえる。満足を知る人は人間が豊かであり、努力をする人は志が有る。道の本質を見失わない人は長く安泰であり、死んでも道の精神を失わない人が真の長寿である。

 

名と身とはいずれか親しき。身と貨とはいずれか多なる。得と亡とはいずれか病なる。

この故に甚だ愛すれば必ず大いに費(つい)え、多く蔵すれば必ず厚く亡(うしな)う。

足るを知れば辱しめられず、止まるを知れば殆(あやう)からず、もって長久なるべし。

(解釈)名声と命、どちらが身近か。 命と財産、どちらが重要か。 得ることと失うことではどちらが有害か。 名声や財産を求め過ぎれば、逆に多くが出ていくことになり、多くを持ちすぎると必ず大きな損失を被る。足るを知れば、辱めにあうこともなく、止まることを知れば、危機にさらされることもなく、安泰なのである。

 

天下に道あれば、走馬を却けてもって糞(つちか)い、天下に道なければ、戎馬(じゅうば)、郊に生ず。

罪は可欲より大なるはなく、禍は足るを知らざるより大なるはなく、咎は得んと欲するより大なるはなし。

故に足るを知るの足るは常に足るなり。

(解釈)天下が道に従い治められていれば、馬は土地を耕すのに使うことができる。道に従っていなければ、軍馬として郊外で子を産むことになる。罪は止まることを知らない欲望より大きいものはなく、災は足るを知らないより大きいものはなく、過ちは何かを手に入れようと欲することより大きいことはない。 よって、足るを知ることをわきまえていればいつも満足できる。

 

今回の趣旨からは離れるため、老子のことは詳しく書きませんが、

老子の考え方の根本や生きた時代背景、他の思想家(孔子や孟子など)の考え方については、諸子百家の記事を書いています。

興味のある方は、こちらを参考にしてみてください。

 

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諸子百家

牛肉ステーキを知らなかった頃

幼少期は肉類が大好きだった私、

「今日のご飯はステーキだよ!」と言われれば大喜び!

だったのですが、小学生の頃まで、ステーキといえば「豚肉」という認識でした。

単に、料理を作る母が、牛肉が好きではないという理由だけだったのですが、我が家に牛肉料理が出ることは一切ありませんでした。

 

それが当たり前になっていた私にとって、何の違和感もありませんでした。

ステーキといえば、スーパーにある豚のロース肉、すき焼きの肉はいつだって豚肉。

それでも大好物でした。

 

しかし、生きていればとにかく色々な情報や体験に接します。

牛肉ステーキの味を知ると、あのかたいステーキは何だったのだ?と思うようになりました。

 

社会人になり、海外勤務などしていると、お金に余裕も出てきました。

たまに日本に帰ってきた時くらいは、美味しい日本食を厳選して食べたいという思いに包まれていました。

限られた帰国中の日数、多少の値段は気にせず、味の評価の高い店を選んでは行くようになっていました。

 

場所と時間の都合上、ファミレスなどで仕方なく昼食をとるときなどは、不本意に感じていたのを覚えています。

当然満足感は全くありませんでした。

お目当ての店に行っても、予想よりもおいしくないと、がっかりした気分になったものです。

子供の頃よりも、学生の頃よりも、自由に使えるお金はたくさんあるのに、昔のような満足感がなかなか得られなくなっていたのでした。

 

もうすでに、ステーキの王道は牛肉であることも、世の中にはお金を出せば贅沢な料理を食べられることも知っています。

そのようなものばかりを追い求めていれば、普段の食事に対するハードルも上がります。

なかなか満足できなくなります。

だからこそ、重要になるのが足るを知るという感覚なのだと思います。

足るを知ることは人生どう転んでも役立つ

足るを知ることは、どのような状態にあっても満足できる状態を作ります。

満足できる状態からは、感謝や幸福感が自然と生まれやすくなります。

人生を明るくとらえることができるでしょう。

 

豊かになっても成功しても

先ほど示したように、私は、大人になるにつれて、世の中の美味しいものを知りました。

社会人になり自分で使えるお金も増えたことで、満足の基準がどんどん上がっていきました。

食べるものを例にしていますが、このことは、誰にでも、そして全てにおいて当てはまります。

 

努力をして、お金が手に入った場合、地位や名声がもたらされた場合、うまくいって成功した場合、

足るを知る感覚を身につけていないと、欲望はどんどん大きくなる可能性があります。

現に、成功しているのに、お金もあるのに、幸せそうに見えない人、

満足せず、さらに多くのものを得たいと望んでいる人はたくさんいます。

 

そして老子の言葉にもある通り、多くを求めすぎて破滅に向かっていく人もいるほどです。

その種類も様々ですが、これでは足りないと際限なく欲望が溢れている人、

お金や地位、名声を守るために大切なことを見失ってしまった人、

自分は優れた人間であるとして、謙虚さを失ってしまった人、

 

こうなってしまうと幸福感も感じることはできません。

せっかく努力して地位も得て、認められてお金もあるのに、幸福につながらなければ本末転倒です。

 

これは、何も大成功を収めた人だけの話ではありません。

何かを得るたびに、満足の基準は確実に上がり、それが当たり前になっていきます。

 

したがって、成功する前に、何か大きなものを得る前に、足るを知るという感覚を身につけておくことは、幸福を手にするための必須条件と言ってよいでしょう。

得たものに対して、感謝することができるようになります。

執着することの弊害を知っていれば、得たものを還元するという行動をとることもできるでしょう。

大きな幸福感に繋がるはずです。

 

逆に耐える局面でも

逆に、思ったようにならない、何かを成し遂げるために努力している最中の場合も同じです。

成功している人たち、うまくいっている人たちは、お金にせよ、地位にせよ、能力にせよ、そして物品にせよ、

自分よりも多くのものを持っている場合が多いでしょう。

 

そのような時、自分だけが満ち足りていないという思いになりがちです。

もちろん、それをバネに、更なる努力を続けることができればよいのですが、足るを知る感覚も重要です。

 

今あるものに感謝する、挑戦をできている環境に感謝するなど、今でも十分に満ち足りていることを認識できれば、幸福感を持つことができるでしょう。

だからこそ、卑屈にならず、正々堂々とひたむきに努力することができるのだと思います。

 

さらに突き詰めれば、重要な問いにぶつかります。

今でも満たされている状態に感謝しているのに、なぜ、さらに努力して高みを目指す必要があるのかということです。

場合によっては矛盾しかねません。

足るを知るという状態なのに、さらに大きなものを手に入れようとしているわけですから。

 

そう考えると、努力してもっと大きなものを得ると同時に、もっと大きなものを与えることができる存在を目指すという考えにたどり着きます。

世の中のために役に立つという意識、これが利他の精神であり、目指すべき感覚なのだろうと思います。

足るを知る感覚を持つことは、すでに十分に足りているという意識と同時に、感謝の気持ちを持つことであり、利他の精神を持つことにも繋がるということです。

足るを知るにはどうすればいい?

足るを知る

一旦上がってしまった満足のハードルは下げられないのでしょうか。

豚肉ステーキが最高に美味しいと思っていた頃の満足感は、もう得られないのでしょうか?

そんなことはありません。

考え方次第でいつでも取り戻すことができます。

 

何を求めているのかを考える

成功したいと思う、豊かな暮らしをしたいと思う。

誰にでもある感覚だと思いますが、大事なのは、その先に何を求めているのかということです。

これを考えることが重要です。

 

お金を手に入れることが最終目的ではないはずです。

何かをできる能力を身につけることがゴールではないはずです。

 

多くの場合、その先にある幸福感を求めているはずです。

世の中によい影響を与える、人の役に立つということであるかもしれませんが、最終的には幸福感に繋がるものです。

 

お金や地位名声などに執着すると、老子の言うように、失うものも大きくなります。

それらが幸福の源泉であり、それ自体に価値があると思い込んでいるから執着します。

お金や地位に幻覚を見ていると言えます。

 

幸福感を感じられないとはっきりわかっていて、お金や地位に執着する人はいないでしょう。

 

最終的に、求めているものが、心の豊かさであったり、幸福感にあることを強く意識すれば、

今目の前に感じることのできる幸福感を逃すようなことはしないはずです。

 

意識して訓練してみる

多くの場合、幻覚にとらわれているという話をしました。

その幻覚は、強いものでは決してありません。

 

疑うことをしないから、幻覚として消え去ることがないということです。

お金や地位それ自体に価値があると思い込んでいるから、今の自分に満ち足りた思いがあるはずがないと感じるわけです。

 

実際は、誰でも今の状態に満ち足りた思いを感じることができます。

また、そうあるべきだと、老子のみならず、仏教でも、他の教典でも至るところで言われています。

 

そうであれば、その思い込みを取り除くべく、意識して訓練してみるべきでしょう。

訓練と聞くと、厳しい、難しいことのように感じるかもしれませんが、意外と簡単です。

思い込みの問題ですから、別の思い込みで書き換えればよいのです。

 

子供の頃、野菜が嫌いで食べられなかったという人は多いでしょう。

ところが、アニメやテレビで見るキャラクターが、美味しそうに野菜を食べているシーンを見て、

自分でも食べてみたら、すんなり食べることができたという人も少なくありません。

似たように、本当に些細な出来事をきっかけに、食べられるようになったという話はよく聞きます。

 

反対に、以前は好きだったのに、ある時、ひどくお腹を壊したことがトラウマになって、今では食べられないということもあります。

いかに、意識、思い込みが人の感覚を大きく左右するかがわかると思います。

 

まずは、老子や他の多くの先人が言うように、足るを知ることは人生にプラスだ、絶対に必要だと信じることです。

その上で、食べるもの、所有しているもの、今あるスキル、状態などについて

「十分満ち足りている」と意識するとよいでしょう。

 

意外とすんなり心に入ってきて、すっきりとした気持ちになるのではないかと思います。

すぐに新たな感情や欲望、不満が出てくるかもしれません。

それでも、何かにつけて、満ち足りていると意識しようと、立ち止まって考えてみることは効果的です。

 

感謝の習慣

先ほどから、足るを知る感覚と同じくらい、「感謝」という言葉を使っていますが、知足と感謝は一体不可分です。

足るを知る意識を持つための最も効果的な近道は、感謝の気持ちを持つことを習慣にすることです。

 

今自分にあるものは、当たり前のことではなくて、実は「有り難い」ものであるということ、このような意識がよいと思います。

有り難いから「ありがとう」となるわけです。

日常の当たり前だと思うようなことに対して、「ありがとう」という感謝の気持ちを持つことを意識すれば、自然と足るを知るという感覚に近づくのではないかと思います。

 

意識して、周りのことに感謝する習慣をつけることをお勧めします。

最初は心底思えなくても、言葉に出して言い続けているうちに、意識に刻まれていくように思います。

 

私の場合

最後に、私の例を書いておきます。

先ほど少し触れましたが、社会人になり、海外勤務なども経験したことで、自由に使えるお金も増えていった経験があります。

特に、海外勤務中は、住む家も優遇され、会社は一等地に家を借りてくれました。

休暇になると、ゴルフやリゾート地などに好んで出かけるようになっていました。

たまに日本に帰れば、回らないお寿司を必ず食べにいくようにしていました。

 

それに関しては、ある程度満足を感じていたわけですが、逆に言えば、そうでもしないと満足しなかったとも言えます。

仕事のストレスもあり、休暇や時間がある時は、そのようなご褒美や環境があって当然、これくらいなければやってられないという感覚を持っていたわけです。

 

変化があったのは、そのようなサラリーマン生活をやめようとしていた前後です。

自分が求めているものは何か、生き方、人生について真剣に考えていたこともあり、当時の環境や給料を捨ててでも、自分の道を進む必要があると決意しました。

仕事に忙殺されて、会社の価値観に縛られ、いつの間にか大切な感覚を失っていたことに危機感を覚えたのです。

 

仕事を辞め、給料もなくなり、住む家も生活の質も一気に下がりました。

しかし、自分の人生を歩んでいるという幸福感と、それを許してくれた家族への感謝が湧き上がってきました。

 

自分で決めたことです。

意識の持ち方次第で、満足感は大きく変わりました。

回らない寿司どころか、基本的に外食はしなくなりました。

 

高いものは買えなくなりましたが、満足感は以前よりも高くなりました。

冬は、40円の豆腐で湯豆腐、大容量パック酒との組み合わせが美味しく、そして楽しいのです。

 

自分で炊いたご飯も、意識して食べると、甘く、エネルギーを感じます。

そこに満足と感謝の気持ちを持つことが、自然とできるようになっていました。

 

足るを知ることを毎日意識したわけではありませんが、大切な感覚に近づくことができたのではないかと思います。

私のきっかけは、嫌々続けていたことをやめて、自分の人生を歩こうと決意したことがきっかけでした。

決意をしさえすれば、足るを知ることの意識づけは難しいものではないと実感しています。

この感覚を持っていることは、精神的に大きな力になっていることも事実です。

まとめ

足るを知ること、老子にはじまり、仏教など様々な教えでも重要性が指摘されています。

足るを知ることで、満たされた思い、幸福感を感じることができます。

 

人生がうまくいっている時でも、辛抱が必要な時でも、足るを知る感覚は、幸福感を感じながら生きるのに大変役に立ちます。

どのような時でも、この感覚を身につけていれば、前向きに感謝を持って生きていけるのではないかと思います。

まさに、足るを知る人が最強なのです。

 

サラリーマン時代、お金が増えていって色々贅沢をした経験、会社を辞めて、生活の質が大きく落ちた経験をしましたが、幸福感は、お金や地位とは関係ないことを身をもって実感しています。

もし、今ある環境や自分の状況に満足できない、大いに不満があるという人は、

普段の意識づけから初めて、足るを知る感覚を身につけることを目指してみてはいかがでしょうか。

 

以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

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