毎年お盆に聞いていたお経
こんにちは!Jimmyです。
今回は般若心経を唱える効果について書いていきます。
幼少期、実家ではお盆になると、法要のため毎年お寺からお坊さんをお招きして、お経をあげてもらっていたのを覚えています。
昔ながらの伝統的な家屋には仏間があり、そこでお経をあげてもらいます。
線香やお坊さんが着ている袈裟の独特な匂いが漂っていて、今年もこの季節になったのだと感じる瞬間でした。
お経ということで、何を唱えているのか、もちろん全くわかりませんでした。
それでも、落ち着きのない子供が、よく正座をしながら1時間も座っていたものだと、今覚えば感心します。
正直、退屈だと思ったことはあまりありませんでした。
お坊さんの読む独特な声と調子には、子供心に惹きつけられるものがありました。
深く考えてはいなかったのですが、お盆の風物詩として記憶に残っている一幕です。
田舎では、少なくない光景だと思います。
般若心経とは
お経が醸し出す独特の雰囲気は、一種の心地よさを感じさせてくれるものでした。
そんな記憶があったからなのか、社会人になってから、お経を一つ、自分でも唱えられるようにしておこうと思うようになりました。
そこで選んだのが般若心経です。
262文字と、非常に短いのが特徴です。
日本で最も認知度の高いお経と言っても過言ではないでしょう。
天台宗、真言宗、浄土宗、臨済宗、曹洞宗など仏教の中でも幅広い宗派で般若心経が使われているようです。
仏道の修行をするお勤めの際に読まれるお経です。
般若心経は、インドの大乗仏教から生まれたと言われています。
般若心経以外にもたくさんのお経があります。
その多くは、日本人にも馴染みのある、玄奘三蔵(三蔵法師)が中国に持ち帰ったものです。
サンスクリッド語が漢文化され、それが唐代に日本に伝わったとされています。
般若心経は、釈迦の時代から500年ほど後に出来上がったもので、釈迦の教えを直接伝えているものではありません。
観音様が、釈迦の高弟である舎利子(しゃりし)に対して、般若波羅蜜多(はんにゃはらみった)を説いていくのが般若心経の内容です。
般若波羅蜜多とは智慧(ちえ)の完成のことです。
智慧とは単なる知識や教養を指すのではなく、すべての物事を正しくとらえる力です。
つまり、大乗仏教の観音様が舎利子に物事の摂理を説いていると考えてよいと思います。
般若心経の意味はこれだけ知っておけばよい
262文字と、圧倒的に短いお経ではありますが、一語一語の解釈はなかなか難しいものがあります。
実際に、意味を考え、自分を諭すようにお経を読むという人は、あまりいないのではないかと思います。
なぜなら、般若心経の教えそのものが、意味を考えることではなく、お経を唱えて、何か感ずるものがあればよいとされているからです。
細かく一語ずつ意味を追いながら読む必要はないということです。
一方で、意味もわからずに唱えるのも味気ないと感じる人もいるかもしれません。
以下に、簡単な意味の概略を記載します。
”色即是空”に代表される「空」の概念。
実態が存在しないということです。
重要なポイントは、これに尽きます。
般若心経では、すべての物事は空、つまり実態は存在しないと言っています。
「色」は物質を構成する要素です。
「五蘊」(ごうん)と呼ばれる、「色」「受」(刺激を感受する事)「想」(物事を構想、組み立てて考えること)「行」(意思)「識」(認識すること)はすべて「空」である、実態として存在しないものだということです。
全てが存在しないのだから、私たちが日常遭遇する様々な現象や感覚も、存在しないということになります。
すべての物事が実際には「空」であることを、前半で説いているのです。
それを悟ることが智慧の完成なのです。
後半では、智慧の完成によって、悩みや妨げも無い、いかに素晴らしい状態になれるかについて説いています。
そして最後に、
「羯諦羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦(ぎゃーていぎゃーてい はらぎゃーてい はらそうぎゃーてい)という呪文が出てきます。
これは聞いたことがある人も多いのではないかと思います。
元々がサンスクリッド語であるため、それを漢文の音に当てはめて書いています。
意味を理解するというより、智慧の完成のための呪文として認識すればよいでしょう。
まとめますと、
前段で、私たちが普段見たり感じたり接したりするもの全ては「空」であること。
後半で、智慧の完成により悟りに達し、素晴らしい境地に立つことができること。
そして最後に、唱えるべき呪文を記しています。
般若心経の効果 心を落ち着ける魔法の言葉
私の実感として般若心経を唱えることで、
精神安定、集中効果があり、更に心を正しい方向へと導いてくれる力があると感じます。
巷では、マインドフルネスや瞑想、ヨガなどでリラックスしたり集中力を増強したりする効果を求める人が多くいます。
それらと同じ効果を読経で得ることができます。
般若心経を唱えることで、その間、俗世間から離れる効果があります。
言葉の意味を考えないことが、逆に効果を高めているようにも感じます。
お坊さんが読経しているのを幼い私が、ずっと聞いていられたのは、その独特の声の調子です。
自分で読経するときも、それを真似して同じような調子で読むことが効果的だと思います。
自分の声が脳の中で反芻するように、ゆっくりと低い調子で読むことで、不思議と雑多な思考から解放されます。
心の集中と落ち着きを取り戻し、一度リセットされることで、正しい心持ちでいられます。
よく、怒りがこみ上げた時や緊張がひどいときに、深呼吸をするとよいとされています。
それよりも、更に深い安定を感じることができるというのが私の感覚です。
最低限どんな意味かさえ理解しておけば、読んでいるうちに、少しだけ崇高な気持ちに移り変わっていく自分に気づきます。
ここが、他のリラックス方法と比べ優れている点であると感じます。
一段崇高な自分で、再スタートを切ることができます。
もちろん、私たち一般の人間は、普段の生活で煩悩が溜まります。
怒り、不満、妬み、様々な感情が心を疲弊させていきます。
世の中は、こうした感情を増幅させるのに事欠きません。
だからこそ、自分で落ち着けることが必要であり、一段崇高な状態になることが必要になります。
般若心経を覚えよう
般若心経は、262文字と短く、覚えるのにも適しています。
漢字ばかりで難しく感じるかもしれませんが、一度覚えてしまえば、いつでも使えます。
普通に生活していても、1ヶ月もあれば覚えられます。
是非、この機会に覚えてみてはいかがでしょうか。
覚え方は、写経(お経を写して実際に書く)という方法もありますが、今では、読経の音声が簡単に手に入ります。
Youtubeでもすぐに見つかります。
まずは、何回も聞くことから始めてみるとよいと思います。
耳に慣れることが一番です。
次の章に、般若心経の全文と読み仮名を書いておきます。
意味の流れで一応区切ってはいますが、読むときは、どこで区切っても問題ありません。
実際に多くの住職の方の読経を聞いていても、それぞれ区切るところは違います。
息継ぎが必要なところで、どこで区切っても構わないということです。
最初は、次の句を思い出しながら唱えようとしますが、徐々に自然と出てくるようになります。
何度も音声を聞きながら一緒に声に出して練習し、一行一行覚えていけば、すぐに全文暗記することができます。
心を落ち着かせるという効果は瞑想についても同様です。
般若心経と合わせた瞑想の記事も書いていますので、こちらも是非参考にしてください。
あわせて読みたい
般若心経262文字
(前半:全ては空である、存在しない!)
摩訶般若波羅蜜多心経
まかはんにゃはらみたしんぎょう
観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空
かんじざいぼさつ ぎょうじんはんにゃはらみったじ しょうけんごうんかいくう
度一切苦厄 舍利子 色不異空 空不異色 色即是空
どいっさいくやく しゃりし しきふいくう くうふいしき しきそくぜくう
空即是色 受想行識亦復如是 舍利子 是諸法空相 不生不滅
くうそくぜしき じゅそうぎょうしきやくぶにょぜ しゃりし ぜしょほうくうそう ふしょうふめつ
不垢不浄 不増不減 是故空中 無色 無受想行識
ふくふじょう ふぞうふげん ぜこくうちゅう むしき むじゅそうぎょうしき
無眼耳鼻舌身意 無色声香味触法 無眼界 乃至無意識界
むげんにびぜっしんい むしきしょうこうみそくほう むげんかい ないしむいしきかい
無無明 亦無無明尽 乃至無老死 亦無老死尽 無苦集滅道
むむみょう やくむむみょうじん ないしむろうし やくむろうしじん むくしゅうめつどう
無智亦無得 以無所得故
むちやくむとく いむしょとくこ
(ここから後半:智慧の完成は何と素晴らしいことか!)
菩提薩埵 依般若波羅蜜多故 心無罣礙
ぼだいさった えはんにゃはらみったこ しんむけいげ
無罣礙故 無有恐怖 遠離一切顛倒夢想 究竟涅槃 三世諸仏
むけいげこ むうくふ おんりいっさいてんどうむそう くきょうねはん さんぜしょぶつ
依般若波羅蜜多故 得阿耨多羅三藐三菩提 故知般若波羅蜜多
えはんにゃはらみったこ とくあのくたらさんみゃくさんぼだい こちはんにゃはらみった
是大神呪 是大明呪 是無上呪 是無等等呪 能除一切苦
ぜだいじんしゅ ぜだいみょうしゅ ぜむじょうしゅ ぜむとうどうしゅ のうじょいっさいく
真実不虚
しんじつふこ
(最後: 智慧の完成のための呪文について)
故説般若波羅蜜多呪 即説呪曰
こせつはんにゃはらみったしゅ そくせつしゅわつ
羯諦羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆訶
ぎゃていぎゃてい はらぎゃてい はらそうぎゃてい ぼじそわか
般若心経
はんにゃしんぎょう
(以上)
般若心経について、もっと知りたい方は、こちらの書籍を参考にしてみてください。
非常にわかりやすく解説されています。
心の状態が不安定になった時にオススメの、中村天風さんの言葉が詰まった本を以下に紹介しています。
そちらも参考になさってください。
以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。
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