こんにちは!Jimmyです。
仕事にやりがいを感じられない人が多い時代です。
ギャラップ社の調査によると、日本人の場合、熱意のある会社員の割合は6%という結果が出ています。
世界全体で見ても13%ほどということです。
多くの人が、やりがいを持って仕事をしているとは言えない状況です。
これだけ顕著な結果を考えれば、景気や個人の問題ではなく、社会システムにも問題があると考えたほうがよいでしょう。
今回は、仕事のやりがいを感じられない理由と、私たちが個人的に考えるべき問題を示します。
仕事にやりがいを持てない様々なケース
仕事にやりがいを持てない人の中にも、様々なケースがあります。
単に、自分がやりたいことを実現できないからという理由だけではないことがわかります。
- やりがいを求めているものの、仕事の内容や人間関係が原因で、思うようにならない人もいます。
- やりがいを求めることを諦めている人もいるでしょう。
- 世の中の出来事に興味関心がないという、根本的なケースもあるかもしれません。
- 仕事の内容は肯定的に捉えているものの、賃金が低すぎるため満足感に繋がらない「やりがい搾取」も問題となっています。
このような様々な原因によって、やりがいを感じられない人が大量発生しているということです。
一方、普段からその思いを表に出すということは多くありません。
やる気が無いような態度をしていれば、評価を下げることに繋がります。
自分の仕事はつまらない仕事であると認めたくない、自分を正当化したいという思いもあることでしょう。
その結果、あたかもやりがいを持って仕事をしているかのような雰囲気が無理やり作られていきます。
私自身、会社員時代、就職活動をする学生さんに対して、自分の仕事を話す機会があったことを思い出します。
事実としては、当時の仕事にやりがいを感じていませんでした。
それでも、学生さんを前にすると、あたかもすごいことをしているように語ってしまう自分がいたのです。
OB・OG訪問などを受けたり、仕事内容を聞かれたりすれば、現在の自分を正当化しながら話してしまうものです。
そうしなければ、今の自分がそこにいる理由を説明できません。
学生に話すよりも前に、自分のあり方を見つめ直すべきだということになってしまいます。
そのような自己矛盾に陥らないよう、自己正当化をしながら、やりがいを自作自演している人が多いような気がしてなりません。
次に示す通りですが、社会システムとして、やりがいが削られていく流れができています。
無理をせず、弊害を認めてしまったほうがよいのではないかと思います。
それを認めた上で、どう変えていくか、自分に何ができるかを考えるほうが、建設的ではないかということです。
資本主義の危機こそやりがい消滅の原因
先ほど、やりがいが削られていく社会システムと述べましたが、それこそ資本主義というシステムです。
資本主義が進展する中で、大きな矛盾を抱えるようになりました。
以下に示します。
資本主義の本質は19世紀と変わらない
キーワードは、私有化、分業化、搾取です。
資本主義は、資本を増殖させるための経済システムです。
複雑になり、わかりにくくなっていますが、20世紀までと理屈は同じです。
資本家は、土地と工場、設備を所有し、労働者を集めて生産活動を行います。
分業化し、いかに効率よく、大量に生産し、利益を上げ、資本を拡大するかを考えます。
19世紀の工場のように、1日十数時間も、全く同じ単純作業をやらされていては、やりがいに繋がるはずはありません。
それどこどか、健康状態を悪化させることになりかねません。
労働環境の劣悪さや、格差拡大が、抑えがたいほどの問題となれば、都度不満を和らげるための対策が施されます。
抵抗が大きくなれば、資本主義そのものが維持できなくなるからです。
社会福祉という概念も、そのような対策のもとで広がっていきました。
労働者のことを考えた結果ではないということがポイントです。
そうして形を少しずつ変えながら、今に至るまで続いているのが資本主義社会です。
資本主義は万人を幸せにしない
最近の数十年間は、自由競争が推進される時代となっています。
経済成長が続いていた時代は、成長による物質的恩恵が多くの人に行き渡り、様々な矛盾を包みこんでくれました。
しかし、近年になり、成長率も低下し、格差が広がり、再び資本主義への批判的な見方が増えています。
資本主義の危機と言えます。
重要なポイントは、全ての人が豊かに、幸せになるためのシステムではないということが明らかになってきたことです。
これまでの資本主義の歴史を振り返れば、そう考えざるを得ません。
経済規模も100年前とは比べ物にならないほど拡大し、技術も進化しているはずが、労働者の労働時間は増え続けています。
便利で快適な世の中になったはずが、精神疾患を患う人も右肩上がりです。
一方で、超富裕層が占める富の割合は、世界恐慌前の水準にまで上がっています。
大多数の人にとっては、どこまでも際限なく、資本に搾取されるという構造は変わっていないということです。
本来、経済システムが果たすべき役割としては、生産力を増やすことを通じて、人々の生活を向上させることにあるはずです。
さらに言えば、人々の能力を十分に、且つ効果的に活用することにあるはずです。
ところが、経済がいくら伸びても、データ分析が発達しても、そのような方向には進んでいません。
一部の人の富のために、人や資源や環境が搾取され続ける現状が広がっています。
意思決定すらできないのにやりがいなどあるのか?
技術も組織も複雑化し、分業がさらに進みました。
それにあわせて、「管理」をするだけの仕事も増加しました。
大きな組織ほど、業務を一人で完結させることはほとんど不可能でしょう。
意思決定に携わることなく、従うだけの仕事が当たり前となりました。
歯車のなかの、ほんの一部としての仕事に過ぎず、自由に意思決定する権利もほとんどありません。
冷静に考えて、そこにやりがいを見出す方が難しいと言えます。
しかし、不満が高まる状況は、支配層としては望ましくありません。
そこで、僅かに残された裁量を見つけては、そこにやりがいを見出すように仕向けます。
企業とすれば、やりがいがあるように、あの手この手を使って従業員にアピールします。
メディアも上手に利用します。
個人とすれば、自分を正当化しようと、あの手この手を使ってやりがいを感じようと努力します。
そして、あたかもやりがいを持っているかのように振る舞います。
そのような涙ぐましい葛藤の中に、今の社会は成り立っているように思います。
ただし、正直に答えれば、情熱のある会社員は6%となるのです。
やりがいというより、何とか思いとどまっている人が多いように見受けられます。
「やりがい搾取」と「ブルシットジョブ」
AIが進化しても、自動化が進んでも、社会に不可欠なエッセンシャルワークは存在します。
モノを作る仕事、介護などの仕事が典型です。
確実に社会に必要とされる仕事であれば、やりがいを感じやすいことは事実でしょう。
しかし、そういった仕事ほど、非正規化、低賃金化され、不安定な雇用条件が増えています。
社会的に欠かせない仕事は、やりがいに訴えかけては労働力を搾取する「やりがい搾取」が問題となっています。
結果的に疲弊を招き、やりがいどころではないということになります。
そのかわりに、お金は別のところに流れます。
管理をする上級職、わかりやすい業界で言えば、コンサルティングファームや、投資銀行などに向かうという構図です。
だからといって、高給を取っているコンサルタント、インベストメントバンカー、企業弁護士などが、やりがいを感じているかと言えばそうでもありません。
デヴィッド・グレーバー氏の「ブルシットジョブ」(クソどうでもいい仕事)という著書があります。
ブルシットジョブとは、なくなっても世の中に何の影響も与えない、むしろなくなったほうがよい仕事です。
それによると、上記のような高給ホワイトカラーの多くは、自身の仕事をブルシットジョブであると感じているということです。
意味のない資料作成に一日を費やしている人、自社のためだけの無理やりな営業をしている人、管理することのない管理職。
社内政治ばかりをしている人、役職だけ立派で、特にすることもない人などが典型です。
「これだけ意味のない、どうでもよいことをさせられているのだから、高い給料がもらえるのだ」
という逆説的なことを言っている人もいます。
それでも表立って、自分の仕事の存在意義を否定することはしません。
やりがい搾取型とブルシットジョブ、いずれにしてもやいがいを削ぐ大きな要素と言えます。
これも、資本主義の弊害によるものと考えられます。
個人として何ができるか
資本主義のせいにしてしまえば、個人としてできることなどないように思われるかもしれません。
それでも、できることはあります。
格差が拡大し、世の中の不満が高まり続けた時には、必ず変革が待っています。
どういったイベントが発生するかはわかりませんが、歴史を振り返ればその繰り返しであることはわかります。
(暴力的なイベントではないことを願いつつ)
心がけるべきことは、人任せにしないということです。
今の時代を考えれば、当然民主的な手段で変えていくことが望まれます。
そうであれば、個人個人として、仕事のあり方に意見を持ち、行動を起こせる状態にしておくことが大切です。
資本主義が変わるにせよ、延長線上を歩くことになるにせよ、自分で考えることが必要です。
変革を起こす運動やコミュニティに参加する機会は、今後増えていくことが予想されます。
今は想像しにくいかもしれませんが、世の中が混迷するに伴い、どの国においても当たり前に見られる光景です。
そういった動きも見据えると、まずは資本主義の弊害という事実を知ることから始めるべきです。
今目の前にあると思っているやりがいは、本物のやりがいでしょうか。
置かれている状況は様々だと思いますが、それぞれの環境にて、考えることが大切です。
参考図書
今回示した視点に加え、これからの仕事のあり方、社会のあり方を展望するのに、大変役に立つ参考図書を紹介します。
個人として、組織に対して、社会に対して行動を起こす時がくるかもしれません。
大変化の時代に、思考の助けとなる本であり、おすすめです。
以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。
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