香港のデモが長引く理由と各国の反応を5分で振り返る

こんにちは!Jimmyです。

香港のデモ活動が長期化し、各国を巻き込んで香港の一国二制度と国のあり方を巡って対立が起きています。

世界への影響を含めて、関心が高い出来事なので一度整理してみたいと思います。

香港でデモが発生した理由とこれまでの経緯2019年から

逃亡犯条例の改正反対を巡り103万人がデモ

ことの発端は、2019年4月に議会に提出された「逃亡犯条例」の改正案です。

ポイントは、

香港で犯罪を犯した者の身柄を、中国の要請に応じて中国に引き渡すことを可能にするよう修正することが盛り込まれているということです。

 

懸念される事項としては、香港で行われた中国に批判的な言論活動が、中国本土によって実質取り締まりを受けることになるということです。

 

中国本土では、自由な言論は厳しく制限されており、共産党を公の場で批判できない環境にあります。

SNSでの発信も全て監視されています。

多くの言論が実際に弾圧され、拘束されている人もいます。

 

何らかの容疑を作り上げられ、中国に身柄を引き渡し、処罰されるような事態になれば、香港における自由な言論は実質的に崩壊するという危機感が香港人にはありました。

これに大反対したデモ隊が、6月に103万人という極めて大きな人数となり抗議活動をしたのでした。

反中国本土、反政府運動へ

本案自体は、デモにより、決議を無期限に延期されることとなりましたが、その後もデモ活動は鎮まるどころか激化していきます。

一つは、延期ではなく、完全な撤回を求める動きが続いているということですが、もう一つの要因は、もっと根本的な香港の自由に関するものです。

 

香港の選挙では、中国本土(共産党)の公認が無いと立候補できません。

つまり、中国共産党の意に沿わない人間は立候補すらできないことになります。

 

今の香港政府は、中国本土の意向を汲み取った政策をせざるを得ないと言ってもよいでしょう。

 

以前に発生した雨傘革命同様、民主的な選挙を求める動きも、再度活発になってきています。

 

現状香港では、政府のトップは直接選挙ではなく、中国政府寄りの有識者の集まりにより選出されます。

このままでは、香港は、中国本土と一緒になってしまうという危機感が非常に強くあるのです。

 

さらに、あくまで噂の域を出ませんが、警察、政府がデモを抑圧するために、白シャツ集団と呼ばれる集団をデモ隊と衝突させて、暴力行為も黙認しているというのです。

 

当初は、逃亡犯条例の改正を巡るデモであったのですが、時間が経過するに連れて、政府への不信、そして民主的な選挙を望む運動へと変化しています。

10月からは、「五大要求」という形で、政府に迫るようになり、焦点はこちらに移行しました。

五大要求

✅逃亡犯条例改正案の完全撤廃

10月に正式撤回済。

✅普通選挙の実現

民意が反映した政策、中国共産党の意向排除が目的。

✅独立調査委員会の設置

香港警察側の暴力行為を調査し明らかにするための機関を要求。

✅逮捕されたデモ参加者の解放

✅民主化デモを「暴動」とした認定の取消

 

期限付きの香港一国二制度

中国と香港の関係は複雑です。

香港が、中国に返還されたのが1997年です。

 

返還されるまではイギリス領でした。

アヘン戦争(1840年)以来、150年もの長きにわたり、イギリス領土だった影響を勘案した移行期間として、50年間は一国二制度を維持し、中国本土とは一線を画した制度が適用されるという取り決めをしました。

 

そのため、独自の法制度、言論の自由や、自由な金融市場が整備されています。

しかし、50年経てば、中国に完全に同化されるというのが約束です。

期限は2047年です。

 

まだ先のようで、そんなに先のことではありません。

今20歳の若者であれば50歳前には現実となるのです。

 

2047年という期限は既に決まっていることですが、香港人の感情としては、若者を中心に多くの人が、自分のアイデンティティを「中国人」としてではなく、「香港人」として持っています。

根深い問題のため、そう簡単に決着することは難しそうです。

各国の立場、見解、報道

中国本土:デモ隊をテロリストと認識

当初は静観する立場を示していた中国ですが、8月に暴徒化が目立つようになると、ついに、人民解放軍を広東地域に集めるなど、武力行使も辞さない構えとなりつつあります。

香港のデモ隊をテロリストと位置付けて非難しています。

 

もとより、中国にとっても、香港は経済的にも非常に重要な位置付けです。

早いところ、中国本土と同様の管理体制下に置きたいという思いは当然持っています。

2047年の前に、ある程度、統合するための土台を作り上げなければならないからです。

 

一方、世界の批判に晒されないよう、武力行使などは慎重に対応を検討しているようです。

 

中国本土では、先に述べたように、言論の自由はありません。

ニュースは、100%、香港のデモ隊を批判した内容のものとなっています。

 

中国人の若者を中心に、中国のSNSでこれらのニュースやコラムは拡散されます。

気になったので、どんな記事が拡散されているのか調べてみました。

 

すると、中国人の記者が、香港デモ隊に囲まれて暴力を振るわれたとされるシーンが多く掲載されていました。

また、外国人旅行客にインタビューし、「香港は中国の一部であり、それは世界における共通認識だ」と香港デモ隊を第三者が批判するような図式で掲載されているものもありました。

 

閲覧者のコメントを見ても、「中国がこれほど支援しているのに、香港はなぜ敵対心を持つのか理解不能」といった趣旨のものが目立ちます。

国際感覚のある中国人の若者も、この件に関しては、やはり香港は中国の一部なのだからという思いが先に立っている印象です。

 

香港寄りの日本、アメリカ

日本では、ご存知の通り、香港寄りのコメントや報道、中国の報道を疑問視した意見が多くみられます。

先述した白シャツ集団を、政府と警察公認の暴力集団と認識しています。

 

また、暴徒化した香港デモ隊が中国人記者に襲いかかる事件も、中国政府が仕掛けた「やらせ」だと推測する人も多いほどです。

 

アメリカでも、中国を警戒するコメントが多く見られます。

人権問題や武力問題に神経を尖らせているようです。

 

こうした問題を皮切りに圧力を強め、有利に経済競争などを進めていきたい意向が見て取れます。

香港の自由を尊重するコメントがアメリカ政府筋から発表されている通り、かなり香港寄りの報道です。

 

なお、11月27日にはアメリカで、「香港人権・民主主義法案」が可決されました。

香港で、一国二制度が保たれているかどうかをアメリカが毎年検証をするというものです。

一層、明確な香港支援の姿勢を表明したことになります。

 

詳しくは以下の記事をご覧ください。

 

冷静な見方をしているイギリス報道

意外にもイギリスは一番冷静に、かつ客観的に見ている印象です。

拡大している民主的な選挙を求める香港人の要求について、次のようなコメントがあります。

 

「もともと、イギリス領であった時も、香港の政府トップの人選は、直接選挙で選ばれていなかった。イギリス領の頃の自由を主張している人が多いが、当時もそうではなかったのですよ。」

 

自由を取り戻すかのようにデモをしているものの、昔(イギリス領時代)も直接選挙はなかったことを冷静に解説しています。

 

また、過激化するデモ活動についても、

今回の逃亡犯条例に対するデモをきっかけに、反政府、反中国本土の運動をできる限り過激にやってしまいたい、運動をする絶好のチャンスだと捉えている人が多くいるようだ、といった趣旨の報道も見られます。

 

2047年の期限を前に、何とかして、反中国路線を拡大し、同化することを防ぎたいとする意向を持った香港人が多いこと、そしてその意向を運動として展開するのに、今がチャンスと捉えているのではないかというイギリス報道機関の分析です。

 

香港人の心情に一定の理解を示しながらも、これをチャンスと捉え、暴徒化している運動を暗に批判しているようにも解釈できます。

追記:国家安全法(2020年)

2020年に入ると、コロナ問題が発生し、しばらくそちらの対応で精一杯だった中国政府ですが、感染者数増加が落ち着いたころで、再び動き出しました。

「国家安全法」を香港に適用させようとする動きです。

香港版の国家安全法を中国の国会(全人代)で決めてしまいましょうということです。

 

国家安全法とは、簡単に言ってしまえば、国家(中国共産党)に逆らう行為を禁止する法律です。

言論の自由や民主主義が妨害される可能性は否定できません。

元々、香港基本法と呼ばれる香港の憲法にあたる条文の中には、香港において、このような国家安全法と同趣旨の法律を制定するように定められていたのですが、これでは一国二制度が成り立たないとして、以前から反対活動により制定はされないままになっていました。

 

そこで、香港の議会を通さず、直接中国本土で法律を制定して、強制的に香港に適用してしまおうという流れになったわけです。

これは、一国二制度や基本的な人権や自由を根底から覆す威力のある法律です。

そのため、この法律の決定を受けて、各国の反応は、中国に対して批判的な姿勢に変わりました。

アメリカは、当初より香港よりでしたが、香港の一国二制度が維持できないとして香港に認めていた優遇を撤廃する旨宣言しました。

先進国G7による共同声明では、「重大な懸念」を示し、再考を要請することになっています。

最後に 事実を把握することの重要性

以上、簡単ですが、香港のデモの理由と長期化の原因、そして各国での報道や考え方のスタンスを説明してきました。

何れにせよ、今後の香港のあり方は、世界経済にも影響を及ぼしかねない状況にあります。

 

一方で、報道には必ず意図があり、一つの報道だけを追随すると、一方的かつ偏った意見になってしまいがちなことには注意が必要です。

 

特に日本に暮らしていると、2047年には完全に中国と同一の管理下になるという前提条件である取り決めを見失いがちです。

また、アメリカでは、派遣国争いの競争相手として、中国を敵対国としてみなしており、反中国派が議会の大半を占めている背景も認識しておくべきです。

 

今回はイギリスの報道をピックアップしましたが、第三国の報道を見ると、最も客観的に分析していることも多く、参考になります。

その上で、香港人の自由の尊重、あり方を考えていくべきではないでしょうか。

 

以上、ここまで読んでいただいてありがとうございました。

 

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