経営者とサラリーマンの違い
こんにちは!Jimmyです。
今回は経営者とサラリーマンの違いについて書いていきます。
私は銀行員として新潟に勤務していた時、多くの経営者の方とお話する機会に恵まれました。
ふとした雑談の中で、経営者の方が普段考えていることや、見ているものを垣間見れたように思います。
銀行業はお金の仕事です。
中小企業であれば、お金に関する決定権は基本的に社長にあるため、経営者の方とお会いできる機会が多かったのは幸いでした。
新潟を離れた後、私は大企業を担当することになりましたが、当然経営者の方とお話する機会はほぼなくなりました。
お会いできたとしても、社長もサラリーマンという場合がほとんどです。
窓口も交渉相手も、役職は様々でしたが、皆サラリーマンです。
失礼ながら個人的な感想ですが、新潟でお会いしてきた多くの中小企業の経営者に比べて、大企業のサラリーマンには、心底圧倒されるような魅力やオーラを感じることはほぼありませんでした。
(もちろん、能力やスキル、頭のキレなどが抜群で、驚くことはよくありましたが。)
経営者とサラリーマンでは見ているものと考え方が全く違います。
サラリーマンは、自分の任せられた仕事の範囲内で最適化を考えます。
会社のことを考えるよりも先に、自分の立場を固めます。
そのため、大企業を担当していたときは、会社にとって良いものを提案することよりも、窓口となる財務権限者にとって有利になる情報を持っていくように考えました。
会社に良いことでも、担当者にとっては面倒で余計なお世話になることもあります。
あまり「御社のために」を全面に出すと疎んじられることもあります。
その人の立場を考えることが必要でした。
ひるがえって、自分のことを考えても状況は同じであることに気づきます。
銀行全体のためにと言われてもピンとこない自分もいたものです。
組織が巨大すぎるというのも要因の一つでしょうが、会社全体のことを考えることはまずありません。
基本的には、所属している部門の業績のことを考えることになります。
その中で自分のパフォーマンスを上げる必要があります。
セクショナリズムに陥るようなことは頻繁に発生します。
同じ会社なのに、互いに牽制し合い、時には攻撃し合うこともあります。
さらには足を引っ張り合うことまであります。
責任のなすりつけ合いです。
または成果の奪い合いです。

一方、私が出会った新潟の経営者の方々は、規模的には大企業のような巨大組織のリーダーではありませんでした。
ひたすら会社全体としてよくなるために、ひいては社員のためにという意識を常に持っている方が多くいらっしゃいました。
もちろん対外的には駆け引きも必要でしょうが、社内においては、真に人間力で勝負している方がほとんどです。
うまくいっている企業ほどそのように感じました。
面談をしていても、惹きつけられるのは経営者の方です。
圧倒的に違います。
独自の考え方や、経営者になるまでの波乱万丈の経緯がその人に雰囲気や風格を与えているのかもしれません。
確かに話している内容は、サラリーマン管理職が話していそうなことと大して変わらないことを仰る時もあります。
しかし、経営者が話すと受け取り方も違ってくるのです。
私が当時所属していた営業拠点は、それなりに厳しい営業目標もあり大変でしたが、経営者の方とお会いできるのは楽しみの一つでした。
そこから学んだことは多いですし、私もこのように風格のある人間になりたいと強く思ったのでした。
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私が出会った経営者
①金属製品の会社
金属製品の材料、加工、オリジナル製品の製造販売の会社です。
素晴らしい会社なので、名前を書きたいところですが、了解をとっていないので書けません。
元々、創業は社長の御祖父様、現社長が3代目になりますが、私が担当させていただいたときは社長に就任されて3年ほどの時でした。
従業員は80名ほどだったと思います。
私は当時若手でしたが、社長からは、よく業務以外のこともお話いただきました。
非常に真面目で筋の通った方です。年中会社のこと、お客様のこと、社員のことを考え、時に考えすぎてヘトヘトになっておられるようにも見受けられました。
どんなことでも、真面目に、とことん考え抜かれる経営者でした。
会社対抗のソフトボール大会で、たまたま任されたピッチャーで、ストライクが入らず散々な目にあったそうです。
それが悔しくて悔しくて、仕事の後に猛特訓をするようになり、どうやって投げたら良いのか研究を積んでおられたお話は社長の人間性が伺えました。
社員のことを真に考えるという意味では本当に勉強になります。
社員が生き生きと働けるように、積極的に意見を言い参画できるように、といつも考えられていました。
そしていくつも施策を繰り返しておられました。
聞くと、目新しいことではありません。
どこの会社でも同じようなスローガンを掲げています。
しかし、トップの独りよがりになるケースは非常に多いと思います。
結果から見ると、当社は社員の方が本当に生き生きしておられます。
そして積極的な業務改善や、製品への反映といった成果もはっきりと出ています。
私は営業マンとして、新潟中を走り回ってきました。
営業の成果は別として、とにかく多くの会社を訪問したことに関しては自信があります。
そのため会社の受付に入った時の雰囲気の違いには敏感です。
入った時に、挨拶をしてくれる会社、しない会社、する会社の中でも声の感じは全く異なります。
社員の雰囲気も違います。
入り口ですぐにわかります。
当社は入り口の自動ドアが開くと、いくつかの部署から来客が見えるようになっています。
そこで社員の方が来客者に対し挨拶してくださるのですが、本当に自然で爽やかでした。
やらされてる感じ、事務感がありません。
自然な笑顔で迎えていただき大変気持ちがいいです。
これを社長に直接お話したところ、特に挨拶の仕方は教育していないとのことでした。
書類の手続きなどで、ある程度時間を要する時などは、面談時にいただけるコーヒーに、チョコレートがさりげなく付いているということもありました。
受付にある花も、いつも綺麗に飾られていましたし、よく趣向が変わっていました。
工夫されていることがわかります。
これも、男性の社長が思いつくことではないだろうなと思って聞いてみたところ、やはり社員が自主的に考えてくれているのだろう、とのことでした。
本業はお客様の要望に沿って金属を加工すること、材料を販売することが中心でしたが、途中からオリジナル製品の製造にも注力されていました。
そこでも社員の方が思いついたアイデア商品、使う側の気持ちにたった商品を開発され、超有名大手との取引も獲得されていました。
当社ははっきり言って大きな会社ではありませんが、大手とも直接取引をされていました。
これは本当にすごいことです。
もう業績については言うまでもないでしょう。
かたや、バイトテロはある、給料も上がらない中、社員のモチベーションも低空飛行の職場もあります。
かく言う私も、所属していた会社への愛社精神はありませんでした。
そんな中で、社員が会社のことをしっかり考え一丸となっている会社があるという事実を見せつけられました。
社長の日頃からの姿勢を社員が見ているからだと思います。
社長が最前線に立ち、ひたむきに、会社と社員の成長を願い、努力する姿です。
先ほど書いたように、私は社員さんが自ら考えて実行した施策や、していただいたお気遣いなどについて、よく気づいたことを社長に申し上げていました。
その話を聞いたときや、社員の努力を労う話をしている時の社長は本当に優しい顔をされていたのが印象的です。
トップの人間力の影響の大きさは計り知れないと教えてくれた会社でした。
在任中、お正月に年賀状をいただきましたが、直筆で感謝、労いの言葉をいただきました。
その一言に力があるのです。
目標にしたい経営者の一人です。

②食品関係の会社
食品関係の会社の社長さんです。
この方は、私が担当させていただいた当時60歳でした。
こちらの会社は、社長となかなか会えない関係が続きました。
何度もアポイントを試みたのですが、部長クラスにブロックされてなかなかお会いできませんでした。
金融関係は、社長ではなく財務部長に話をするようになっていました。
いつ訪問しても社長は外出されておりご不在の様子でした。
社長も銀行員とはあまり会う気はないのだろうと思っていました。
毎回、それらしい理由をこじつけて、しつこく社長と面談したい旨、窓口担当にお願いしていたところ、なんとかアポイントをいただけました。
こちらの上司(支店長)を連れて、初めて社長にお会いしました。
社長は、私がいる会社とほとんど接点がないため、まずは拠点長も連れて挨拶した方が良いだろうと思ったからです。
経営者の方は、皆さん本当に「癖が強い」です。
魅力的なのですが、慣れるまでは大変なこともあります。
そのため、どんな社長なのか緊張しながら社長室に入ると、おっとりした感じで挨拶が返ってきました。
その後、上司が主に、社長とお話をしました。
すぐに気づいたことがあります。
部長の顔を見ているだけではなく、私にも顔を向けていただけます。
これは、簡単なようで、なかなかできることではありません。
特にサラリーマン体質の人は、無意識のうちに偉い方に向かっています。
偉い方に注意を傾けているのです。
大企業を担当していると、企業の偉い方が、お連れを伴って来店をされることがよくあります。
着任挨拶や、表敬ご挨拶などです。
3対3、多いときは4対4での面談となることもあります。
その時は基本的にお連れの人間は、いないも同然です。
私は同席している限りは、何か一言でも食らわせてやろうとしていましたが、その発言の時以外は、私はいないも同然の扱いになります。
トップ同士で話しているからです。(世間話程度ですが)
先方のトップもこちらのトップも基本的にお連れの人のことは気にもとめません。
一方、その社長は、まるで私にも関心を示していただいているようで、嬉しかったのを覚えています。
その後、なんとかチャンスをいただき、単独で社長とお会いすることになったのですが、部長に対する態度と私に対する態度が同じであることにまた驚きました。
提案資料として自作したキャッシュフローの分析をお持ちしたのですが、
そこで、社長が仰ったことに惹きつけられました。
「すごいね、君は財務のプロだね!いいことを教えてもらった!」
「是非うちの財務アドバイザーになってよ!」
銀行としての提案は軽くいなされましたが、私が作ったキャッシュフローの表を見ながら笑顔でそう仰られました。
社に帰った後、その日の報告をたまたま近くで聞いていた先輩社員から、どんなものを作ったのか見せてみろと言われたのでお見せしました。
まず言われたことは、「キャッシュフローなんだから、この項目はマイナス表記だろ?」
次に出てきたのは表の罫線の話でした。
当時私は入社3、4年目くらいの頃でした。
立派なものはできていなかったと思います、指導の意味で教えてくれたのかもしれませんが、
ここに人間力の違いがあることも認識しました。
表記の仕方や罫線のことは本筋ではありません。
何かしら指摘して先輩の威厳を見せたかったのかもしれません。
若手社員が、今まで相手にされなかった会社の社長と関係を作れたことに対して、いい気分ではなかったのかもしれません。
後に、社長とは色々な場面で直接やりとりをする機会があり勉強させていただきました。
中でも、社長は「若者」に対しての見方が今まで会ってきた人とは違いました。
進んで若い人の意見を聞こうとします。
若い人と関わろうとします。
若い人がこれからの社会を作っていく中心、その人たちがどんな感性を持っているか知ることは重要だと仰います。
決して「最近の若いもんの考えていることはわらかん」とは言いません。
なかなかできることではないですが、先ほどのように、面談の際に、明らかに位の上である部長を前にしながら私のことも気にかけてくださるあたりは流石の言行一致です。
そして、人を味方にするのが実に上手です。
あの一言で、私は次回の提案までに、通常の何倍もの準備をし、仕事の時間以外も準備に費やしました。
小手先で対応する人であれば、私もそこまで反応していないはずです。
私も大組織の中にいた人間ですから、口だけの人を見抜くのは朝飯前です。
人を動かす力を感じました。
思った通り、会社のこれまでの発展の経緯を後に知ったとき、そこには上手に仲間を募って、通常ではあり得ないスピードで成長していったことがわかりました。
関わった人に対して、自分が社長だということを全く誇示することもなく、対等な態度で接していました。
社長と関わる中で、新たなビジネスのチャンスをいただいた人もいるようです。
決してその道のプロとか業界経験が豊富な人ばかりではありません。
基本的に若い人に任せることが多かったと思います。
その人たちも社長に言われて奮起したのでしょう。私がたった一言で奮起したように。
結局、いつも会社にいないので、携帯で居場所を聞いて、そこに出向くようになりましたが、年中休みなく、新たな挑戦を考えているような人でした。
それをバックアップするだけの人材が社長のところに集まってくるのだと納得しました。
いかがでしたでしょうか。
今回は私が出会った経営者のうちお二方の事例を出しました。
二つの会社とも、今流行りのIT系の会社でもなければ、有名大学出身の人材が集中する会社でもありません。
業種は、はっきり言って、日本中どこにでもある業種です。
その中で隆々とされている会社はやはり経営者の力が大きいです。
またの機会に続編を書きたいと思います。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
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