会社の人事評価に多くの人が不満を感じる理由

人事評価の不満

こんにちは!Jimmyです。

人事評価に不満を感じたことのある人は非常に多いと思います。

 

自分の評価への不満もあれば、「何であの人が?」、「不公平だ!」と他人に対する処遇を見て不満を感じることもあるでしょう。

 

よく議論されていますが、日本の企業は特に、人事評価の基準がはっきりしないことが多いと言えます。

ざっくりとした年功序列の枠組みの中で、曖昧になってしまっている部分が少なくありません。

 

今回は、人事評価の不満を生む原因を、日本企業の特徴と関連づけて紹介していきます。

人事評価に不満を感じることが多い原因は、

成果主義とプロセス主義のいいとこ取りならぬ、”悪いとこ取り”をしていることと、

評価者に対する不信感が挙げられます。

 

以下に詳しく見ていきます。

成果主義とプロセス主義の”悪いとこ取り”

人事評価 不満

それぞれのメリット・デメリット

メリットデメリット
実力主義・成果主義・社員の労働効率を高める

・効率的な人材配置、人件費の無駄の削減

・結果が見えやすくわかりやすい

・儲かれば何でもいいというモラル低下を招く

・目先の利益に執着する

・ついていけない社員の疲弊を招く

プロセス主義・数字に現れない貢献や努力などを評価できる

・中長期的な視点で考えやすい

・収益以外の重要な指標を取り入れやすい

・結果が見えにくく基準が曖昧

・上司に気に入られようとするYesマンが増える

・利益に貢献しない人件費負担、非効率化を招く

 

よくアメリカの企業は、実力至上主義、成果主義の人事制度だと言われます。

成果主義に基づく高額な報酬や、逆に成果が出ないことによる降格や解雇もあるほどです。

 

散々言われてきたことですが、メリットとしては、労働意欲を高める効果や、効率的な人材配置が期待できます。

結果も見えやすく、評価の公平性はある程度確保されていると言えます。

 

一方、日本の伝統的な企業は、プロセスや「やる気」を重視することが多く、プロセス主義の比重が高い年功序列主義と言えます。

 

成果よりも、やる気や、態度、忠誠心などが大事とされ、ドラスチックな報酬の差は少なく、概ね年次とともに昇進をしていく形です。

人材の効率的な配置はできませんが、解雇されることもないため、中長期的な視点で仕事に取り組むことができます。

また、成果による報酬の差も少ないことから、利益以外の視点、隠れた貢献や努力、忠誠心などに目を向けることもできます。

 

この方が、成果主義に比べて、競争意識は少なくなりますが、人事評価で不満を爆発させる人も少なくなります。

業界や業種により、成果主義かプロセス主義のどちらを取り入れるべきかは変わってきますが、どちらも一長一短があることは確かです。

 

バブル崩壊以降、徐々に、この伝統的な日本企業の人事評価のあり方に疑問が示されるようになりました。

アメリカに倣い、実力主義、成果主義の考え方を取り入れる企業も増えていきました。

 

現在でも、年功序列による終身雇用は限界であると、大企業でも声明を出すほどです。

今までの人事制度では、将来立ち行かなくなることを多くの企業が認識しています。

そこで、従来の日本型の人事評価制度と、成果主義の考え方を融合したような人事制度が多く見られるようになりました。

 

日本は”悪いとこ取り”の企業ばかり

先ほど示した、成果主義とプロセス主義のメリット・デメリットを見ていただくとわかりますが、両者は表裏一体であり、全く別の考え方ではありません。

 

プロセスがあるからこそ結果があります。

もちろん例外もありますが、通常、プロセスがしっかりしていれば、結果も良いものがついてくるはずです。

結果が悪ければ、プロセスに問題があったと考えるのが普通です。

 

しかし、どちらかだけに偏ると、プロセスを無視して、楽をして、時には詐欺まがいのことをしてでも結果を出そうとする人が出てきます。

反対にプロセスばかりに注目すると、結果に責任を持たない人が出てくるでしょう。

 

ですから、プロセスの評価も成果の評価も取り入れつつ、バランスよく評価していくことが理想です。

 

日本企業は、伝統的な年功序列とプロセス主義に偏った制度を見直すべく、成果主義を一部取り入れようとしましたが、結果としては、改善するどころか、”両者の悪いとこ取り”をしてしまいました。

つまり、成果・実力に準ずる評価をするわけでもなく、だからと言ってプロセスもしっかり見られていない、

不公平感漂う人事評価が多くなっています。

 

結果(収益・数字)に強いコミットを求められるようになり、毎日、上司から進捗を聞かれ、時には厳しく叱責を受けることになります。

社員のモラル低下(悪い場合は法律違反)を招いてしまう事例は、もはや最近のニュース報道を見ていれば話題に事欠きません。

短期的な利益第一路線に走ってしまった結果です。

 

だからと言って、成果主義のメリットである、人材の効率配置ができているかというと、そんなことはありません。

収益に寄与しないような人でも、重職につき、左団扇で過ごしています。

 

プロセス評価の曖昧な評価基準により、評価者(上司)に気に入られるように振る舞うことで、評価を得ている人たちが驚くほどたくさんいます。

結果として、先ほどのメリット・デメリット対照表の右側半分に示した特徴の多くが日本企業の現状を表しています。

 

中途半端に成果主義を取り入れた結果、利益に対する意識が増加した反面、曖昧な評価基準は相変わらず残っており、属人的な評価基準のままになっているのです。

 

もっと言えば、ろくに部下のことを見ないまま、感覚的に評価しているケースも目立ちます。

これが”悪いとこ取り”をした企業の実態です。

ご自身が所属されている組織に照らし合わせて考えて見てください。多くが右側と一致していませんか?

 

実力主義とプロセス主義

 

上司の感覚で決まる人事評価

人事評価 不満

日本企業では、人事評価は上司の感覚により決まると言っても過言ではありません。

評価基準が曖昧なため、上司の人事調書の書き方により、いかようにでも調整することができます。

 

上司との面談で、評価のポイントや、仕組みについて詳しく説明されることはまずありません。

上司の感覚で、どういうところを評価していて、今後どうすれば良くなるのか、簡単なアドバイスはされるかもしれませんが、評価基準は全くをもって属人的で不透明と言わざるを得ません。

 

成果を強く求め、プレッシャーをかける割には、成果を出していない人の方が評価されることもよくあります。

 

私自身、外資系の企業で勤めた経験はありませんので、どのように目標設定から評価までが行われるか実際に体験した訳ではありませんが、以前勤務していた会社で課長職をしているときに、こんなことがありました。

 

当時、中国で勤務していた私の課には、中国人の部下がいました。

そのうちの一人は、以前、某有名アメリカ系金融機関で勤めていた経歴があり、そこから転職してきたのでした。

 

私は着任してすぐに、各人と面談を実施しました。

それぞれどんな人か、どんな業務を担当していて、何に困っているか、などを知ることと、私の考えを伝えることが目的でした。

 

米系金融機関から転職してきたその女性にも、同様に面談をしたのですが、面談の終盤にこう言われました。

「あなたが私に期待することは何ですか?」

「私が次に昇進するためには、具体的に何を達成すれば良いのですか?」

 

彼女によると、転職してからまだ3ヶ月ほどで、日本企業に慣れていないとのことでしたが、3ヶ月経っても、以前の上司からは、具体的な評価ポイントや、昇進のために必要なスキル、達成するべきことを示されなかったことを不思議に思っていました。

不思議と言うよりも、何も言われないから不安に思っていたようです。

 

人事シートのようなものは存在し、そこに自己目標や、各階級で求められる人材像などは、何となく定めてあるのですが、具体性がなく、何を基準に評価されるのかわからないと言うのです。

 

私は、正直に日本の企業での人事評価の実態を説明しました。

絶対的な昇進のための評価基準は存在していないこと、

例え昇進するに足るスキルがあったとしても、年次や「順番」というものも関係すること、

部署でその年々で昇進できる人数には制限があること、

その上で、達成してほしい明確な基準の代わりに、私が期待すること、やってほしいことを週明けに伝えることを約束しました。

 

彼女からしてみれば、明確な昇進や評価の基準もないのに、その時々に応じて色々な指示が来て、「こうあるべきだ」、「なぜそうしないのか」と厳しく言われて意味がわからない、という状態だったようです。

 

私が要求したことを全てこなしてくれたとしても、日本企業の特性上、無条件で昇進に繋がることを約束できないのはもどかしい思いでしたが、その後も頻繁に話しかけ様子を見て、課題ややるべきことをアップデートしていきました。

組織の空気を感じ、不文律の掟に従う日本企業の特徴を再認識した経験でした。

評価が不満かリーダーが不満か

人事制度 不満

完璧な人事制度などない

人事評価に不満を感じる理由を、日本企業の特徴を交えて書いてきましたが、完璧な人事制度などはどこにも存在しないことも事実です。

欧米系企業でも、評価を巡っては激しく対立することも珍しくありません。

誰もが納得するような形でおさまるようなことはあり得ません。

 

どれだけ優れた評価制度にも一長一短があるからです。

その制度を補うのは、リーダーの力量です。

 

成果主義も、プロセス主義も評価制度は表裏一体、必ず悪い面もあります。

そんなときに、不満を感じながらも、これからもモチベーションを保って努力していこうと思えるのは、リーダーの存在が大きいのです。

 

評価に不満な原因は、評価そのものに不満があるか、評価者であるリーダーに不満があるかのどちらかです。

 

評価内容や制度に不満があっても、このリーダーが言うなら抑えよう、引き続きついていこうと思えるのであれば、その人のパフォーマンスは落ちることなく、組織も良い状態を保つことができます。

 

一方で、評価者であるリーダーの人格や、やり方に不満があれば、部下を説得、納得させることは難しいでしょう。

尊敬できないリーダーから言われる評価は、よい評価ならともかく、期待した評価と異なっていれば、到底納得できるものにはなりません。

 

評価制度、基準以前に、リーダーの人格が、大変重要なウェイトを占めるということです。

 

真のリーダー不在の組織

いかにやる気にさせるか、引っ張っていくか、これらをよく考え、部下から信頼を得られるリーダーであれば、多少の人事評価の不満は、後を引くことはそうそう多くありません。

 

しかし、残念ながら、日本企業では真のリーダーが不足しているように思えてなりません。

 

先ほど示した企業の特徴のように、上司自身が更に上の上司の機嫌を取ることが上手なYesマンになります。

または、何もしない御神体のようなリーダーも存在します。

 

すると、事なかれ主義、「長い物には巻かれろ」主義が横行し、尊敬と信頼を勝ち得るリーダーが大変少なくなるのです。

 

リーダーではなく「名ばかりの管理職」に評価されることで、違和感と嫌悪感を覚える人も少なくありません。

そのため、自分の境遇や評価の低さに常に不満を持ち、マイナスの気持ちで働いている人が多くなります。

 

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戦時中から変わらない、日本組織の弱点を見事に指摘している本を紹介しています。こちらの記事も興味のある方はご覧ください。

要約&お薦めの理由「超」入門 失敗の本質

これからの日本のために

人事評価制度に完璧なものは存在しません。

成果主義とプロセス主義は表裏一体であり、会社、組織としては、それぞれの良さをバランスよく加味しながら、時代や状況にあわせて、人事制度を作り上げていくしか方法はありません。

 

一方で、社員の気持ちや、モチベーションという視点で考えると、評価者となるリーダーの資質に大きく左右されるという面があることを忘れるべきではありません。

 

つまり、人事評価制度、及び評価の納得性を確保するためには、部下から信頼と尊敬を勝ち得たリーダーの存在が不可欠です。

 

強力なリーダーの存在が、良いプロセスからの良い結果を生み出し、スムーズな人事評価へと繋がります。

 

今、組織で評価に不満を感じている人、上司が尊敬できないという人は、まずは自分自身が、プロセス、結果ともに疎かにすることなくひたむきに取り組むことが前提です。

そして、小さい課でも係でも、自分がリーダーとなった時に、先人と同じような轍を踏まないように意識することで、少しずつ組織は良い方向に動いていくのではないでしょうか。

 

そのために、今回書いてきた、現状に多い日本企業の人事評価の特徴を参考にしていただければ幸いです。

今、日本は明らかに時代の過渡期に入っています。

旧習を受け継ぐだけでは、復興は難しいのは目に見えています。

 

今、人事評価に不満を感じている若手の人たちが、新しい時代に通用するリーダーとなることが将来の日本にプラスになるはずです。

 

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以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

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