パワハラ対策の現状と末期の組織、20代30代の人が変えていくべきこと

こんにちは!Jimmyです。

今回は、パワハラ対策について考えます。

パワハラは、セクハラよりも扱いが難しく、企業は有効な対策をなかなか取ることができません。

日本郵便の、全く機能していないパワハラ通報機能の実態が記事になっていたのでツイートしました。

本記事では、パワハラ対策の現状がいかに悲惨なことになっているかを示し、

その後で、これからの組織を変えていくべき20代、30代の人たちが持つべき思考と動き方について私の見解を書いていきます。

パワハラの実態と現在の対策

セ・リーグとパ・リーグの違い

以前、体育会系組織の記事でも書きましたが、セクハラに対しては、最近の企業はかなり厳格に対応するようになっています。

セクハラを内部通報されたら、その組織で日の目を見ることはまずないでしょう。

 

一方、パワハラに対してはかなり緩めの対応なのが現状です。

パワハラは、指導や熱心さとの境界が難しいことに加え、パワハラをするような人に限って、上の人からすると扱いやすいということもあります。

 

内部で通報があっても、ろくに調査されないということもよくあります。

冒頭の日本郵便のツイート記事も、まさにそのような事例です。

 

部下が数人うつ病になってしまったというような明らかな異常がある場合、一旦は部署異動などの措置が取られることはあるかもしれません。

しかし、有能だと見込まれた人であれば、2年ほどして熱りが冷めた頃に見事に復活するものです。

しかも、前よりも高い役職で復活することすらあります。

 

セクハラのセ・リーグ、パワハラのパ・リーグと以前の職場では呼ばれていました。

セ・リーグは一発退場ですが、パ・リーグは退場しないのです。

 

パワハラ防止法ができた!その内容とは?

パワハラ防止法とは?

2019年5月に改正労働施策総合推進法(通称パワハラ防止法)が成立しました。

大企業では2020年6月、中小企業では2022年4月から施行されることになります。

 

一言で言えば、パワハラを防止するために「企業で策を講じなさい!」というのが趣旨です。

 

以下厚生労働省の資料より引用します。

○ 職場におけるパワーハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となります(適切な措置を講じていない場合には是正指導の対象と なります)。

○ パワーハラスメントに関する紛争が生じた場合、調停など個別紛争解決援助の申出を行うことができるようになります。

 

パワハラ対策が事業主の義務となるわけですが、気になるのが、罰則が何もないということです。

対策をしていないと是正指導の対象になるとされていますが、罰則がない以上は、目覚ましい効果があるかどうかは疑わしいところです。

 

パワハラの定義は?

ちなみに、厚生労働省の資料によると、パワハラの定義は以下のようになっています。(同じく厚生労働省の資料より引用します。)

 

職場におけるパワーハラスメントとは、以下の3つの要素をすべて満たすものです

① 優越的な関係を背景とした

② 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により

③ 就業環境を害すること(身体的若しくは精神的な苦痛を与えること)

 

少し抽象的ですが、別の資料には具体的に考えられるケースや裁判事例なども掲載されていました。

以上の3つを満たすもの、つまりパワハラとなる行為を6つの型に分けて説明されています。

()内はパワハラとなる可能性がある具体例です。イメージしやすいように記載します。

 

身体的な攻撃

(殴る蹴るなどの行為。)

精神的な攻撃

(「馬鹿」「死ね」などの暴言、個人の人格を否定するような発言。)

人間関係からの切り離し

(意図的に特定の人をプロジェクトや会議のメンバーから外すなどの行為。)

過大な要求

(能力、通常の仕事量を大きく超えた業務をさせることや、休日出勤をして資料を作成するように命じるといった行為。)

過小な要求

(わざと、誰でもできるような業務しかやらせないなどの行為。)

個の侵害

(プライベートの詮索、業務後の飲み会を欠席する理由を述べさせる等の行為)

 

現状意味が無いが今後の発展に期待

法案が成立して以降、早速事業主側、会社としてどのように対策を取るべきかについて、様々な関連機関から意見やアドバイスが出ました。

 

予想通りの内容ではありますが、専門家の意見に従い、企業の多くは以下のような対策を取ることが考えられます。

  • 相談窓口の設置
  • 社内研修の充実(管理層研修など)
  • 職場アンケートの実施
  • 就業規則に何らかの文言を盛り込む(パワハラに対する罰則規定など)

 

(本気で取り組む企業を除いて)「絵に描いたような表面的な対策」になりやすいものばかりです。

これらのように表面上を繕えば、何とかなると考えている企業が多いのではないかと思います。

具体的な罰則もなく、実効性は今のところ、あるとは言いにくい状況です。

 

まずは、実態を把握することを、経営者、トップが決意して、本気度を伝えるところから始めなければ何も変わりません。

 

その過程で、相談窓口やアンケートという手段が出てくるのであって、対策としていきなり窓口を設置する組織は、本気で取り組むような組織ではないということです。

 

法律ができたことは、前向きに捉えれば、パワハラ問題を法律でカバーするための第一歩ということになります。

今後運用をする中で、具体的な進展に期待したいと思います。

(後半で書きますが、法律で取り締まることは現状必要な処置だと思いますが、パワハラ問題、ひいては日本企業の組織力に対する根本的な解決にはなっていないことを申し上げておきます。)

 

パワハラをする人の心理を理解しよう

対策を考えるのであれば、パワハラする人の心理や置かれている立場を理解することは必須です。

パワハラをする人はどのような思いで、そのような行為をしているのか、以下3つのタイプに大別してみました。

 

①存在価値=仕事の成果というタイプ

とにかく、目標をクリアすること、仕事の成果を出すことが全てで、自身の存在価値をそこだけに置いているタイプです。

仕事の成果さえ出せば何をやってもいい、どんな振る舞いをしても許されると思っている人は特に年配世代に多い傾向にあります。

事実、それに近い教育や待遇を受けてきた人も少なくないでしょう。

 

つまり、成果を出すための作戦だと思えば、パワハラも、部下や後輩が病むことも含めて、その人の中では「正義」なのです。

そのため非常に厄介です。

このようなタイプはパワハラ対策と言われても、心底納得して取り組むことは難しいと言えます。

管理層としても、このようなタイプを重宝することが多いでしょう。

 

②自分を守りたいタイプ

自分に自信がない、自分に与えられた権力を守りたい、能力は無いけれど部下にはなめられたくない。

心理学などでも明らかになっている通り、このような人は攻撃的になりやすいと言えます。

すなわち、自分の立場が脅かされそうになると攻撃的になって、なりふり構わず守ろうとするのです。

 

気の弱い上司などもまさにこのタイプです。

役員などからプレッシャーがかかると、まわりが見えなくなり、部下がどんな状態にあろうと、関係なく様々な指示を出すことになります。

 

このようなタイプは、職位を保ちつつ、過度なプレッシャーから解放してあげたり、安心できるポジションを作ってあげたりすることで、パワハラ行為は無くなることが期待できます。(本末転倒ではありますが)

何れにせよ、このタイプの人にとっては、自分を守ることが正義なのです。

このタイプが一番多いかと思います。

 

③部下・後輩を人と思っていないタイプ

中には、本当に部下のことを人と思っていないというタイプも少数派ではありますが存在しているようです。

一昔前などは、部下に人権などないと考えている人は確かにいたようです。

このような人もいるということは頭に入れておくべきでしょう。

パワハラの現状と対策からわかる末期の組織

パワハラ 対策

業務のこと以外は関わるな!という趣旨をどう考える?

パワハラをする人の心理から見てもわかる通り、パワハラをする人の考えも人それぞれです。

しかも、各々が各々の正義に基づきやっているため厄介です。

 

そのため、先ほど示したようなパワハラ防止法という形で法律で規制しなければならなくなったのが実態でしょう。

もう一度厚労省によるパワハラの定義を登場させます。

職場におけるパワーハラスメントとは、以下の3つの要素をすべて満たすものです

① 優越的な関係を背景とした

② 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により

③ 就業環境を害すること(身体的若しくは精神的な苦痛を与えること)

 

これを見てどういう印象を持つでしょうか。

「優越的立場の人が、業務を超えた範囲の言動」と聞くと、マイナスのイメージを持つ人が大半でしょう。

 

今は罰則も無いため、それほど効果も無いとは思いますが、もし今後罰則が強化されていった場合、

法律的にパワハラを減らしていくのであれば、業務上必要な最低限のこと以外は極力触れない、関わらないという方向になると思われます。

罰則ができれば、罰を受けないよう、組織の中の人間関係はますます疎遠な方向に向かうでしょう。

 

これでは組織として意思疎通や、真に必要な指導、議論からも遠ざかる可能性もあります。

 

一方、現状を見れば、パワハラ上司が蔓延しているような職場もあります。

現状よりは、人間関係が疎遠になった組織の方がまだましという場合も多いでしょう。

生産性も上がらず、社員の熱意も世界最下位クラスの日本企業の現状を投影しています。

 

信頼関係が築けない末期な組織の代謝を願う

パワハラ防止法は、現状必要な法律だと思います。

そうしないと組織がどんどん悪くなるからです。

 

一方で、本当に優れた組織には、「業務を超えた範囲で関わりを持つことで完全にプラスの影響を与える」ことを実現している人もいます。

 

本来それこそが、組織で人と人が働くメリットであり相乗効果のはずです。

 

人生全般であったり、仕事の内容であったり、何かしらの先輩が職場にいるわけです。

どんな資格を取るべきか、結婚や恋愛のこと、転職のこと、引越しのこと、業務を超えて相談できる相手がいるというのは大変望ましいことのはずです。

 

それができないのは、信頼関係が全く無いからです。

所与の役職や権力を振り回すだけ、部下を駒として使うだけ、上のことと自分のことばかりを気にしている上司・先輩では、そのような関係を築けるはずはありません。

 

部下は、プライベートのことなど信頼して話してみようとは思いません。

聞かれれば嫌な気分になります。

叱責を受ければ、ストレートに心に刺さり傷つきます。(反骨心を刺激することもありますが)

叱責をアドバイスや前向きな提言に変えて受容できるのは、その人との人間関係がしっかり構築されているからです。

 

つまり、信頼関係が築かれているような組織は、当たり前のように、業務範囲を超えた教えがあったり、時には本当にその部下のことを思って無理やり飲みに連れていったり、ということがあるわけです。

 

本来正常とも言える人間関係を阻害してまで、パワハラ対策をしなければならない今の多くの企業の状態は危険水準です。

法律で規制するのと同時に、これから上司になっていく20代、30代の人たちで、組織を大きく変えていくことが望まれます。

20代、30代の人たちが考えるべき組織の作り方

パワハラ 対策

信頼関係の軸になるのは人格(信頼と尊敬)

法律でパワハラを取り締まるのは、根本的な解決策とは言えません。

先ほど述べたように、優れた組織であれば、濃い人間関係が構築されています。

 

その根底にあるのは、業務上の役職や、権力といったものではなく、人格です。

信頼と尊敬の軸を一人一人と作っていくことができれば、いくら軟弱な人といえども、叱責でそう簡単に病んだりはしません。

 

所与の役職や階級、年次などに頼って、人に指示、命令することだけを考えるのではなく、一人一人と信頼と尊敬の軸を作ることこそが上に立つ人間に必要なことです。

 

信頼と尊敬の軸を作ることについて、詳細はこちらの記事をご覧ください。

あわせて読みたい

「人間関係がめんどくさい」を根本から解決し人生を豊かにする方法

 

フラットな組織にする(権限や立場を柔軟に変える)

権限や立場が強ければ、なかなか言いたいことが言えなかったり、遠慮してしまったりすることが増えるでしょう。

日本の組織は、驚くほど組織の階級が縦長に細かく設定されすぎていて、すでに「ギャグのレベル」になっています。

 

なるべくフラットにして、リーダーとなる人はPJに応じて変えていくなど、今までの日本組織に無かったやり方を取り入れていく必要があります。

 

組織の細かすぎる階級があるのは、年次が上の人のプライドと満足感に配慮したものであることがほとんどです。

終身雇用を前提としていた時代で、しかも成長期にあった頃はうまく機能した仕組です。

今は弊害のほうがはるかに大きいと言えます。

なるべくフラットな組織を心がけるべきです。

 

組織がフラットになれば、パワハラの条件が成立することも自然と少なくなるはずです。

 

自分の目的意識と信念という当たり前に持つべきもの

本ブログでも一番と言っていいほど重要なテーマとしていますが、自分の信念を持つことが必須です。

組織から求められていることを金科玉条として受け入れ、それに邁進することの全てを悪というつもりはありませんが、

それでは戦時中の軍隊と何も変わりません。

 

自分の人生をどう生きるべきか、何をするために生きているのか。

考え続ければ、会社に与えられた数値目標をクリアすることが全てで、それだけが正義だとする考え方には至らないはずです。

数値目標のクリアは、あくまで手段であり目的ではありません。

 

この大事な大事な「目的」を全く考えなかった人たちが、失われた20年で必死にもがく組織をさらに苦しくしたと言っても過言ではありません。

 

信念を持っている人の方が、自主性をもち、創造性も発揮することが期待できます。

それをまとめる人は簡単ではありませんが、それこそリーダー、上司としての手腕を発揮するところです。

もちろん、権力や役職を武器にしてねじ伏せる方法を言っているのではありません。

 

信念レベルの考えを持つことの意義と方法については以下の記事をご覧ください。

 

あわせて読みたい

信念とは何か?後悔しない人生のために自分の信念の見つけ方

まとめ

少し長くなりましたが、パワハラ対策を巡る現状と、これから必要なことについて書いてきました。

 

パワハラは、セクハラよりも処罰が甘くなっている現状を打開すべく、パワハラ防止法が成立しました。

 

企業に対して、パワハラに対して具体的な対策を講じることを義務化したものですが、違反した際の罰則がないというところから、今のところ実効性には疑問が残ります。

しかし、そうでもしないと日本企業で働く人たちが疲弊し続ける現状があることもまた然りです。

 

本来の組織としてのあるべき姿は、濃い人間関係を構築して、その相乗効果により発展していくという図式です。

20代、30代の人たちが今後組織を作るにあたり考えるべきことを最後に紹介しました。

これらを大きな組織で変えていくことは簡単ではありませんが、小さな単位であってもリーダーになった時に、意識していくことが大切です。

 

パワハラ対策として法律で規制することは、罰則ができていけば、ますます組織の中の人間関係の希薄化に拍車をかけることでしょう。

 

その前に、これから組織を作っていく人たちは、旧式の組織体制にとらわれず、

人格を根底とした一人一人との人間関係構築、

フラットな組織、

自分の信念をしっかり持つことを大事にしながら、これからの時代に合った組織を作ることを考えていくべきです。

 

以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

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