有事のリーダーシップの条件、平時のリーダーシップとの圧倒的な違い

こんにちは!Jimmyです。

平時のリーダーシップと有事のリーダーシップには大きな違いがあります。

今回は、有事に必要とされるリーダーシップについて不可欠な条件を紹介します。

 

本ブログでは、これまでもリーダーシップ論について広く扱ってきました。

それらの示唆も含めて、平時とは違う、有事に必要な資質について示していきます。

 

なお、リーダーシップは、組織のトップに限ったことではなく、部門やチームといった組織内の枠組みにおけるリーダーシップについても、同様に通じるものがあるとして考えます。

つまり、誰もが考えるべき緊急時のリーダーシップということです。

有事のリーダーシップの条件

有事の際には、とにかく決断力のあるリーダー、引っ張っていくリーダーが望ましいのは言うまでもありません。

しかし、それは言わば結果です。

有事のリーダーシップを発揮するためには、どうしても欠かすことのできない資質に注目する必要があります。

それを3点、以下に示します。

 

現場感覚

有事の時は、必ず対応しなければならない現場があります。

つまり現場で何をするべきか、現場の感覚があることは必須条件です。

現場のことがわからない状態では、判断のしようもありません。

 

もし、現場感覚がない中で対応することが求められる場合、

現場のことをよく理解している、信頼できる人間に権限を委譲するか、数人を選び出し、そこから状況把握と対策を一緒に進める必要があります。

現状できること、そして影響、最悪の事態を想定するにも、必要な情報は現場にあります。

 

普段から、現場で信頼できる人間、現場レベルでリーダーシップを大いに発揮できる人間を知っておくことが重要です。

逆に言えば、日頃から役職や階層を飛ばすようなコミュニケーションを拒んでいたり、直下にいる人間の話しか聞かない人はこれができません。

 

全責任を引き受けた上で、現場に耳を傾け、最終判断を下すようにします。

できるだけ多くの関係者の意見を聞いたり、より職位の高い人と相談したりする方がよいのではないかと不安になることもあると思いますが、有事の時は、誰もが認識する通り、決断の遅れが最大の命取りになり危険です。

 

一段高い視点

有事の際の選択ですから、それほど単純でも簡単でもない問題であることがほとんどでしょう。

100点満点の対応は難しいからこそ、「有事の対応」ということです。

そんな時は誰もが、何を優先すべきか、何が一番大事であるかを考えることになるはずです。

 

目の前の利益のことや、自分の立場のこと、評価のことなどがよぎると、優先順位は間違ったものになってしまいます。

一段高い視点とは、より大きな集団としてどうかということを考えるということです。

自分個人よりもチーム、チームよりも団体、団体よりも社会と次元を上げていくことが必要です。

 

自分の損得を超えた献身、組織の境を超えた協力体制や提携は、より大きな次元で考えなければ出てきません。

例えば、あるセクターの責任者であれば、管轄だけでなく集団全体としての視点が必要でしょう。

ある企業の社長であれば、地域社会全体としてどうかという一段高い視点に立って考えることが有効です。

 

普段と同じ目線でしか見られない場合、自分や誰かの利権、しがらみに惑わされて正しい決断やスピード感のある判断ができなくなる可能性が高いでしょう。

先ほども述べたとおり、有事の時は迅速な決断が求めらるため、あれこれ考えている暇はありません。

普段のしがらみを断ち切るには、一段高い視点に立つことがどうしても必要になります。

 

通常、問題は高次元で考えるほど単純化されていきます。

低次元であれこれ考えていては、即決などはできません。

一段高い視点に立つからこそ即決ができるようになるのです。

 

自分の信念・使命感

有事の時は、多くの人が混乱し、不安になり、平時とは違った反応をすることが多くなります。

大きな困難や、誹謗中傷にも似た批判もあるかもしれません。

 

そのような状況下で、自分の中で確固たる目的意識や、信念、よりどころとなる軸を定めていないと自分自身の精神状態を保つことはできません。

方々から非難されているうちに心が折れてしまうか、決断ができなくなってしまうでしょう。

 

また、信念あってこそ責任を引き受けることができると言えます。

リーダーは責任を取ることが仕事と言われていますが、有事の時に責任を押し付け合うことが散見されるのは、対処するにあたっての信念や使命感がないからです。

よくわからないこと、関心や情熱がないこと、いやいやな気持ちでやっていることで責任を取れと言われても、誰も取りたくないに決まっています。

 

だからこそ、普段から自分の生きる目的や、自分のあるべき姿、正しい考え方を持っていることが必要になります。

それらをまとめたものが信念です。

 

平時では、それこそ机上の空論や現実味のない理想論のように聞こえる大それた話なのですが、

有事の時には、必ずそのようなレベルでの考え方が生きてきます。

 

それに従う以外に、責任を持って決断することはできません。

有事に挑むとは、そもそも正解などはわからないことに挑むということです。

簡単に正解が示されるような状況はもはや有事とは呼びません。

 

さらに、有事になればなるほど、人を説得する、人を動かすということを迅速に行う必要があります。

人は理屈よりも感情で動く生き物と言われています。

有事の時であればなおさらです。

そのような時、混乱し、焦っている人たちを動かしまとめあげるのは、その人の人格であり、それが力強い言葉となって伝わるようになるものです。

有事のリーダーシップが必要な理由と事例

有事のリーダーシップ

有事の筆頭と言えば、戦争や災害でしょう。

というわけで、戦争時や災害時の事例をもとに、上記で示した資質の必要性について見ていきます。

 

日露戦争の事例(日本)

日露戦争時の日本政府は、平時の体制から有事の体制に切り替えることができたとされています。

当時、強大な軍事力を誇った大国ロシアと戦うといった日本側の危機感は相当なものだったのでしょう。

 

有事の体制への切り替えという意味で、最たる例が、当時の山本権兵衛海軍大臣が下した人選の決断でしょう。

現場トップである連合艦隊司令長官の人選にあたり、平時の序列、習わし(当時の日本軍でも序列は非常に重視されていた)であれば、当然日高壮之丞が任命されるべきところ、東郷平八郎が任命された事例です。

 

軍の慣習とは異なっていたため軍内部からも批判に晒されたことに加えて、山本権兵衛と日高壮之丞は古くからの友人であり、海軍兵学寮で共に過ごした仲だったのです。

個人的な感情としても、日高壮之丞に名誉ある司令長官を任せたいという思いはあったでしょう。

そもそも、序列から考えても当然の流れであるため、誰も文句は言いません。

 

しかし、山本権兵衛は、そのようなしがらみや私情は一切捨て、戦争という「現場」で適任な人物選びに集中します。

日高壮之丞は、才能はあるものの、自分の才能に溺れるところや、傲慢な部分があり、現場では不向きであると考えました。

現場での判断力や指揮命令系統がうまくいくか、その観点から東郷平八郎を抜擢したのでした。

 

日本滅亡の危機にあっての悲壮感漂う中での使命感、

そして現場のことを最優先に考えたこと、

何より序列や私情を捨てて、一段高い視点で考え抜いたこと。

山本権兵衛の決断は、有事のリーダーの決断と言えるでしょう。

東郷率いる日本海軍が、日本海海戦で「天佑」の勝利を収めたのは、この決断があってのことです。

 

このような有事のリーダーシップを発揮できなかった組織が、第二次世界大戦の日本です。

平時の序列、体制のまま戦争に突入したことで、現場もうまく機能せず、敗戦や犠牲を増やした大きな原因となりました。

 

第二次世界大戦の事例(フランス)

その第二次世界大戦で、当初苦戦を強いられていたのはフランスです。

ドイツによる侵攻が進む中、孤立しながらも徹底抗戦を訴え、最終的にフランスを戦勝国に導いたのが、後のフランス大統領になるシャルル・ド・ゴールです。

 

ドイツに侵攻され、停戦協定を結ぼうとする政府に対して、自身で臨時政府を立ち上げ徹底抗戦を訴えた結果、反逆罪で死刑判決を下されます。

それでも、ひるむことなく国民に訴え続け、徐々に支持を獲得し、反転攻勢に出ます。

 

ド・ゴールの中にあったのは、損得勘定でも個人としての名誉欲でもなく、「偉大なフランス」を守るという一段高い視点と使命感でした。

反逆罪まで受けているわけですから、個人的な名誉欲だけでは進めなかったことでしょう。

その信念があってこそ、ド・ゴールの言葉が国民に響いたのだと思います。

 

また、徹底抗戦を訴えるからには勝算がなければできません。

早くから軍人として、ドイツ侵攻の危険性のある防衛ラインの弱さを指摘していた通り、どのように勝利していくかという現場感覚もしっかり持ち合わせていたこともわかっています。

 

大統領に就任した後も、数々の難局を切り抜けましたが、ド・ゴールに対する殺人未遂は30回にも及ぶそうです。

そのような中で、自分を見失わずリーダーとしての決断を貫き通せたのは、有事のリーダーとしての資質が全て備わっていたからに他なりません。

 

アメリカやイギリスからは独裁者と呼ばれ、評判は分かれる人ですが、有事のリーダーを代表するような人物であることに間違いありません。

以下、シャルル・ド・ゴールについての詳細記事がありますので、興味がある方はこちらもご覧ください。

あわせて読みたい

日本人が知っておくべきフランスのリーダー、シャルル・ド・ゴール

 

コロナウィルス問題のような未曾有の危機

第二次世界大戦以来の試練と言われているコロナウィルスですが、日本でも、対策が検討され、それに対して毎日のように非難、疑問、反対の声が政府に対して浴びせられています。

 

いつ終息するのか見通せない状況が続いています。

そのような状況下では、誰もが納得する対応策があるはずはありません。

 

こうした緊急時においては、やはり何よりスピード感をもった対応が最も有効であり、望まれています。

しかし、日本政府の対応は、決断が遅く、明らかに様々な利害関係者のことを念頭において対応しているのが透けて見えるようです。

オリンピックの延期が決定されるまでは、抜本的な対策も打たず、財政支援政策についても、アメリカの政策を真似したような内容になっていました。

 

安倍首相(当時)のような方は、育ちの背景を考えたらわかる通り、市民感覚がないのは明らかです。

それは致し方ないとして、それでも、現場まで降りていって状況を把握、聞くことをしていたのか疑問です。

 

つまり、しがらみや、自己保身にがんじがらめになっていることに加え、現場感覚も理解していないということです。

 

首相の周りにどのような人がいて、意見しているのかはわかりませんが、少なくとも野党がここぞとばかりに、対応を批判している画は、見ていてあまり意味もなく、気分がよいものでもありません。

テレビやネットで様々な人が意見をしていますが、それも効果はありません。

 

不確定な要素が多い中で、断固とした方針を医学的見地、経済学的見地、そして国民の立場からの見解を首相に提言する人が必要です。

そして、首相の責任のもとで、前面に出て陣頭指揮をとる人がいないということが一番の問題でしょう。(もしくは首相が聞かないだけなのかもしれませんが。)

 

現場理解も、高い視点も、信念のある決断もできていないところが、一連の問題に対する決断の遅さや、チグハグな政策となって表れました。

残念ながら、首相及びその関係者全体に、これらの資質がないために、有事のリーダーシップを発揮できないという一つの事例となってしまっています。

最後に 大局的にはここ数年ずっと有事!

戦争や、今回のコロナウィルス問題のように、有事の中の有事における対応は当然のことながら、私たちが現在直面している環境は、まさに有事であるという見方もできます。

大変化の時代だからです。

今までのやり方が通用しない、ビジネスのあり方も、人の価値観も、働き方も大きな変化を伴う時代です。

時代の転換という意味では、平時とは言えない状況です。

 

平時のリーダーは、マネージャータイプのリーダーが機能していました。

規則を作り、ルールと目標を与え、管理し組織に規律をもたらすこと。

現代では、これだけではリーダーの役割を果たせるとは限りません。

変化の時代というだけあって、組織にも変化を起こす必要があるからです。

 

国というレベルではなく、組織、チームという範囲においても、有事に必要なリーダーシップ、現場感覚、一段高い視点、信念・使命感は今の時代、一人でも多くの人が身につけておくべき資質ではないかと思います。

 

以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

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