欧米合理主義が日本を席巻するのか?義理人情が残るのか【どうなる?日本の組織】

こんにちは!Jimmyです。

日本の会社の弱点は、ここ数年、数十年取り沙汰されています。

 

働かない中高年層がだぶついている。

合理性に欠く判断が存在する、非効率が多い。

イノベーションを起こすような既存の概念を打ち砕く発想ができない。

横並びの同じような人間ばかり集まり、多様性を拒否している。

などなど、挙げればきりがありません。

 

多くの場合、比較対象、改善の先にあるべき好事例として示されるのが欧米企業です。

ところが、それも完璧ではなく、日本人の気質や伝統にも合うわけではありません。

危機感を持ちながらも、日本の会社組織は大きく脱皮するには至っていません。

 

結局、日本の会社はどうなっていくのか、日本特有の性質と背景を考えながら予測します。

上記の通り、指摘し始めればきりがないため、

今回はポイントを、合理主義の徹底追求にしぼります。

 

日本も欧米に倣って、合理主義を追求していくことになるのでしょうか?

合理化の波は大きく押し寄せているようですが、結論、欧米並の合理主義には至らないのではないかと思います。

本場の資本主義の中にある欧米企業

合理主義

ここでは、日本でも馴染みのある欧米企業の例で考えます。

日本に本場の資本主義のやり方を持ち込んだ欧米企業として、すぐに思い浮かぶ会社といえば、アマゾンです。

 

アマゾンと取引関係にある企業の多くは、そのやり方に衝撃を受けました。

概念としては聞いてはいたものの、実際に本場の資本主義がやってくると、たじろいでしまうものです。

 

なんといっても冷徹

立場の強弱は、資本や販売網、顧客基盤の強弱そのものであり、徹底した合理主義を取っています。

 

✔この条件でダメなら取引を打ち切ります。

✔この内容が気に入らないなら取引しなくてけっこう。

✔過去の経緯に関係なく、条件の良いところと取引する。

 

厳しい条件に従う取引先がいることで、アマゾンは、多くの消費者に利用されているという側面は無視できません。

 

そして、欧米企業(の多く)には、完全にぶれない価値観軸があります。

株主価値です。これを高めることこそ資本主義の本質であり正義。

 

そのための顧客満足度であり、そのために何ができるかを考えるという姿勢です。

(脱株主至上主義の動きも出てきていますが、現状多くは株主価値を最重視しています)

 

株主価値、顧客目線と言えば幾分か聞こえはよくなりますが、

要は、利益のために、取引先には立場の強さを前面に出し、容赦しないということです。

 

以前までは、納入業者に対して値引きの補てんを要求したり、過剰在庫を一方的に返品したり、不当に協賛金提供を要求したりといった行動もあったようです。

なお、これらは、独占禁止法違反の疑いがあることからすでに改善されたようです。

 

さらに、このようなプラットフォーム企業と呼ばれる企業は、データを大量に保有しています。

データ分析によって、より合理的に、情を挟まない方針と判断を旨としていると言えるでしょう。

 

合理主義の徹底は、当然社内にも及んでいるようで、社員の成果の管理も、様々なデータ指標により管理されているようです。

アマゾンに限らず、欧米企業の人事は実力主義が当たり前です。

アメリカ企業であれば、人員削減なども容赦なく行われる傾向があります。

意外と変わらない?日本的企業の特徴

合理主義 義理人情

日本も、資本主義の国際競争の中に身を投じて久しいですが、

それでも、欧米企業とは違った文化、会社間の取引関係が根付いていると言えます。

 

日本型の年功序列の人事体制はなくなる、実力主義だなどと、10年以上前から劇的に変わると言われてきましたが、大企業中心に、思ったよりも浸透していない印象です。

 

先程のアマゾンを例に示した欧米企業の特徴が冷徹、合理主義の徹底であるなら、

伝統的な日本企業の多くは、関係重視、義理人情も残った社会です。

 

関係重視とは、過去からの経緯や作り上げてきた信頼関係を大事にするということです。

 

「以前からこの地域は、この仕入先から買うことになっている」、

「同じ財閥系の冠がついた企業から買うことになっている」など、

合理性よりも、時間軸でみた関係の価値を大事にしていることがわかります。

 

私は銀行員をしていましたので、銀行の話をすると、

日本では当たり前のように、メインバンクという概念があります。

一番親しく、取引地位の高い銀行ということです。

 

会社の規模の大小を問わず、創業時からの付き合いがあるとか、苦しいときに助けてくれたからといった理由をあげる経営者は少なくありません。

そのため、毎回取引条件を厳しく比べて競争させるのではなく、少々条件が悪くてもメインバンクを利用するということはよくある話でした。

 

よく上司からは、「顧客とのリレーションを作れ」と言われてきました。

具体的には、様々な役に立つ情報を提供したり、取引先を斡旋したり、ギブをし続けること。

すると、それを恩義に感じて、何かしらの取引をくれるという暗黙の了解の上に成り立っているのですが、確かによく機能しました。

「それとこれとは話が別よ」という人は、ほとんどいなかった印象です。

 

会社間の取引を見ていても、関係性重視の例は少なくありません。

(失礼ながら)あまり特徴や優位性もないように思われる会社がありました。

しかし、なぜか、その地域のトップ企業と大口契約を安定的に結んでいて、不思議に思ったことがありました。

 

さりげなく聞いてみると、やはり数十年前に物語がありました。

そのトップ企業が駆け出しの頃、誰も取引をしてくれなかったときに、当社が商品を納めてあげていたそうです。

このことに恩義を感じていて、以来、必ず一定数は当社から購入してくれる関係になっているとのことでした。

 

率直に、いい話だと思いましたし、こういう関係は商売をしていても励みになるだろうと思います。

 

こういった取引先との関係や取引経緯を重視する志向は、社内であっても同じです。

「新入社員の頃からうちでずっと働いているから」という思いがあれば、実力が不足していても、何とか活躍できるように育てたいという気持ちにもなるものでしょう。

 

一方、こういった関係性や過去の経緯を重視するやり方を続けると、馴れ合いの関係や、ズブズブの関係も生まれやすく、効率性は落ちるというデメリットもあります。

厳しいい競争には勝ち残っていけないという側面もあるのです。

 

今の時代、誰もが認識していることですが、それでも、関係性重視の組織体質から脱却する企業はあまり多くないように思います。

 

私自身、銀行にいて非効率な関係性から生まれる業務、組織体質に辟易とした経験も山ほどしましたが、

一方で、恩義に対しては恩義で報いるといった関係、いわゆる義理人情も残っている関係の大切さも実感しました。

そこに、実利や損得だけではない、商売をしていて心温まる瞬間があるのです。

 

だからこそ、これだけ危機感を煽られて、欧米主導の資本主義が世界を席巻しても、しぶとく残っている文化なのだろうと思います。

ジンテーゼをどう導くか 合理主義一辺倒ではない社会

合理主義 ジンテーゼ

そういうわけで、10年以上も前から、本物の資本主義が日本を席巻する、日本の会社のあり方も変わると言われながら、思ったほど、日本企業の関係性重視の体質が変わらない現実があります。

 

本やニュース記事などを読めば、合理的な思考で成長をもたらし、市場のニーズに対応する優れた欧米企業のやり方を見る機会も増えました。

もちろん、学ぶべきこと、非効率な日本組織が改善しなければならないポイントもたくさんあります。

 

それでも、日本には、株主価値や、合理性だけではない価値観があることも事実です。

合理性だけではもたらされない、満足感や温かみこそ幸福感の源泉であったりします。

 

ここに2つのテーゼ(命題)があります。

合理主義は、市場競争の原理に従うことで、結果的に消費者に最も高い価値を届けることができ社会を幸せにする。
合理主義は、人間が持つべき情緒や大事な感覚をないがしろにする。拝金主義と利己主義を助長、社会を不幸にする。

 

これらの相反するテーゼに対して、できることなら、ばしっとジンテーゼとなる道しるべがあればよいのですが、現状明確にはなっていません。

ただ、市場原理重視と関係性重視を折衷して、バランス良くという考え方が現実的でしょう。

合理性も追求しつつ、取引経緯や関係性も維持するという折衷案に収まるということです。

 

一つの解として、地域密着型というキーワードはあるでしょう。

限られた(集中した)範囲で、組織を大きくしすぎないことで、顔も見えやすく、関係性(地域との関係、従業員との関係)の構築もしやすいのではないかと思います。

 

終身雇用の崩壊、多様性の受け入れ、主体性強化という流れは加速していくとしても、冷徹なだけの合理性が日本を覆うことはないのではないかと予想します。

 

日本に限らず、資本主義の本丸欧米においても、合理主義だけを追求した考え方だけではなく、人間性や情緒に訴えかける取り組みを重視する企業もあります。

 

ネットフリックスが、課金され続けている休眠アカウントに対して、わざわざ確認メールを送付したというニュースがありましたが、合理主義の考え方からは反している行動です。

 

実態としては、まだ測定しかねますが、「脱株主至上主義」を掲げる大手欧米企業も2019年以降、数多く出てきています。

行き過ぎた合理主義は、独占禁止法などにより、結局は取り締まりの対象になることが予想されます。

むしろ、現在進行系で各国政府、国際機関にて対策されているところです。

まとめ

グローバル競争が激しくなった21世紀、日本は、欧米企業に追随して、完全なる合理主義を追求することはありませんでした。

背景にある、日本の関係性重視の社会のあり方が関係していますが、結果的に、欧米流の合理主義にはメリットだけでなく、デメリットも存在します。

 

欧米模倣が繰り返される日本ですが、冷徹な合理主義が日本社会を覆っていくような状況はあまり考えられないのではないかと思います。

もちろん現実的には、改善しなければならない問題もたくさんあります。

生産性の低い組織体制、多様性のなさ、発想力や創造力を抑えつけるような指揮命令系統などです。

 

これらの問題を解決する上で、合理性を追求することも必要です。

一方で、合理性だけで解決できるものでもありません。

過度な合理性追求は、働く人の幸福感の欠如をももたらします。

人間関係重視の考え方をうまく残しつつ対応することが現実的です。

地域密着型というのは重要なキーワードになるでしょう。

 

合理性を徹底的に追求していけば、最終ステージには独占が待っているわけですが、そこには国際的な合意のもとでメスが入ることが予想されます。

 

資本主義の本丸である欧米でも、脱株主至上主義を掲げる企業や、利益以外の価値にも注目する企業が増え始めています。

合理主義だけで幸福感にたどりつくことはできないという事例が増え、一つの方向転換を迎えているのかもしれません。

 

以上、ここまで読んでいただきありがとうございました!

 

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