会社のために働くことは手段であり目的ではない
こんにちは!Jimmyです。
今回は、「会社のために」働くという、献身的で称賛されるような言葉の落とし穴について書いていきます。
この言葉のために、多くの人が疲弊している現状があります。
「会社のために働く」ことに対してどんな印象を持ちますか?
愛社精神を持つことは良いことでしょうか?
もちろん、会社にとっても、個人のモチベーションにとっても良いことでしょう。
企業の人事担当部署は、工夫をしながら、様々な手法で、社員が愛社精神を持つように努力しています。
離職率の低下、一体感の醸成、そして会社のために一生懸命に働く人を増やそうとしています。
企業勤めをしたことがある人であれば、そのような企業の愛社教育を施された人も多いのではないでしょうか。
人事関係書類などには、いかに自分が会社に貢献できるかという視点で書くことが普通です。
愛社精神を持つか持たないかは別として、組織に属している以上は、組織の方針に従う必要があります。
営業でこれだけの成果が必要と言われたら、それを達成するために努力することが必要です。
しかし、同時に自分がどうなりたいか、社会でどう活躍していきたいかという個人の視点を第一に持っていることが普通です。
誤解を恐れずに言うと、心底会社のために働きたい人などいません。
会社のために働くことは、「手段」であり「目的」ではありません。
目的とは、ほとんどの場合、自分と自分の家族の幸福と豊かな生活のため、或いは地域、社会全体を豊かにすることです。
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「会社のために働く」は水戸黄門の印籠に同じ
会社自体には、実態がありません。
会社と言われても、「これです」と差し示すものはありません。
「会社のために」というワードは非常に曖昧なのです。
実態が伴わないもののために働くということを考えれば、ある意味不可思議なことです。
多くの人が、「自分は自分のため、家族のために必死に働いているのだ」と思うかもしれません。
繰り返しますが、会社の成長と発展を「目的」に働いているサラリーマンはいないはずです。
それぞれが労働契約を締結し、労働と引き換えに対価を得ています。
対価を得て、暮らしを支える、或いは充実させることが目的です。
中には会社での成果が自己実現だという人もいますが、目的は自己実現、つまり自分の満足であって自分のためです。
しかし、職場の至るところで、「会社のために!」、「会社としてあるべき姿」という言葉を聞きます。
会社のためになることは、給料の源泉になるわけですから、大変理にかなっています。
全てがおかしいと言うつもりはありません。
ただ、使い方と頻度に違和感を覚えるのです。
日本人は、集団感覚を非常に大事にします。
集団のためには個を犠牲にすることも、時には致し方ないと考える向きがあります。
結論を言うと、日本人の多くは「会社のために働く」価値を重く置き過ぎています。
同調圧力により、この価値感が膨張し続けた結果、実態のない「会社のために働く」ということの亡霊に取り憑かれてしまったようです。
自分でも気がつかないうちに、自分自身と周りの人をどんどん疲弊させるという害を放っています。
なぜそうなるかというと、集団行動を重んじる日本人にとって、自分の行いを正当化する格好の言葉になるからです。
「これは会社のためだ」と言えば、いかにも、個人の感情や損得ではなく、大局的に正しい発言をしているように聞こえるのです。
人を動かしたいときなどは、最も簡単で手っ取り早い手段です。
(これに似たような手段で、偉い人の権威をちらつかせるという方法も常套手段です)
労働契約を交わしているため、ある程度は(例えば決められた労働時間の範囲内で自分の能力を最大限発揮する)会社の利益に資することを念頭に置かなければなりません。
しかし、個人の生活や健康、大局的な目標、そして家族のことを日夜犠牲にしてまでやるべきものでしょうか。
そのように働いていて楽しいでしょうか。
息苦しいという思いは、多くの人が持っているはずです。
それを薄々感じながらも、「会社のために」という言葉(これは日本人にとっては水戸黄門の印籠のようなもの)が飛び交っているのが現状です。
自らを、そして周りの人を締め付けている結果となっています。
会社のためのサービス残業を強いる上司、
自分の能力不足だからと、自分を責めながらそれを受け入れる部下、
会社から給料をもらっている以上、会社のことを最優先にするべきだという解釈、
そんな価値観に引きずられて、お互いを監視しあい、お互いを疲弊させています。
これらは、自分たちの首を締めるだけで、他の何に対しても貢献していることはありません。
次に記載する統計結果から明らかになっています。
最悪の統計結果が証明する、会社のために働く日本人の惨状
「会社のために」を印籠代わりに頻発することで、業績が伸びて、待遇面が改善されるのであれば、百歩譲ってよしとする考え方もできます。
しかし、給料も上がらない、サービス残業は当たり前、過労死問題が社会問題になるなどの事実を見れば、
今日の社会情勢下では、うまく機能しているとは言えません。
お互いの首を絞め合い、疲弊しているだけのように見えます。
私のサラリーマン時代、周りでこんな発言をしている人が少なからずいました。
「俺たちは仕事をしにきているのであって、仲良しのお友達関係じゃねーんだよ!」
「会社が求めているのは数字をあげる(目標を達成する)こと、部下の感情や一人一人の思いを考えることではない」
「もし仮に、部下が働く雰囲気や環境が最悪になれば、数字がいく(目標を達成できる)のであれば、俺は迷わずそれを選ぶ」
これらは「会社のために働く」という価値を最上級に置くことで、自分の言動を正当化させている人に多く見受けられます。
このような発言が、会社にとって正しい考え方と見なされてしまっている現状を示しています。
結果、労働生産性は主要国の中で最も低いのに、残業(サービス残業)は最も多い。
しかも数十年間連続です。
モチベーションの視点から見ると、日本では、意欲を持って働いている社員は全体の6%という統計があります。(アメリカギャラップ社の調査)
調査対象国139ヶ国中132位、最下位レベルです。
ちなみに、資本主義の代表国アメリカでは32%でした。
先ほど例に挙げたような発言をする人に、他人のモチベーションの管理は難しいでしょう。
会社のためにという概念が強すぎる結果が、今の日本企業の苦しい状態に繋がっていると考えられます。
繰り返しますが、「会社のために」という言葉は、自分の言動を正当化させるもっとも都合の良い言葉です。
言い換えれば、マネジメント能力の無い人が、都合よく利用できる言葉でもあり、
意欲の無い社員が、自分を献身的な社員に見せるための言葉でもあるのです。
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「人のために働く利他」と「会社のために働くこと」は違う
他人のために働くという概念は、本来素晴らしいことです。
しかし、現在多くの企業で見られる行動は、「会社のために」という錦の御旗を頼りに、自分を正当化しているだけです。
決して誰かのためになっているわけではありません。
本来、誰かのために自分を犠牲にできるということは尊い行動です。
人間は、誰しもこのような「利他の心」を持っていると言われています。
ここ一番のふんばり時、
例えば、お世話になった上司に業績達成という花を持たせてあげたいという理由から、
サービス残業をして、寝る時間も削って働くような個人の意思を否定するつもりはありません。
そんな気持ちでいるときは、意欲も効率も違います。
何より、本当にそんな気持ちで働いているときは、幸福すら感じることができるかもしれません。
集団行動は、多くの人が関わっていることは言うまでもありません。
そうであれば、人のことを考えずして大局的な正しい判断が下せるはずはありません。
せめて自分が率いるメンバー、隣に座っている人の幸せくらいは考慮できる人であるべきでしょう。
なんでもかんでも外国企業の例を引き合いに出すのはよくないかもしれませんが、少なくとも個人の尊厳、人生と会社の役割は、日本企業に比べてうまく切り離されていると感じます。
生産性や仕事に対する誇りに関する各種統計などが示している通り、結果は歴然としています。
業務後に、映画を見にいったり、イベントに行ったりすることもあるでしょう。
しかし、そのことを楽しそうに職場で話すことは、日本では憚られることも多いと思われます。
「暇なのか?」、「忙しい人を逆撫でしたいのか?」と変な印象を持たれる可能性もあるからです。
意欲、業績、効率全てに負の影響を及ぼしている考え方から脱却しなければ、疲弊した状況は好転することはありません。
「会社のため」という言葉が多用されている職場は、危険な状態にあると言えるかもしれません。
以上、ここまで読んでいただいてありがとうございました。
もし、今の会社でそのような思いに苛まれながらも続けている人は、以下の記事も参考にしてみてください。
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