大企業病の本当の弊害とは?権威に従い人間やめていませんか?

こんにちは!Jimmyです。

大企業病という言葉があります。

特に、効率性の観点から様々な弊害が指摘されていますが、本当の恐ろしさは非効率だけではありません。

今回は、大企業病の本当の弊害、

権威に盲目になって従うことで、人間として大きく間違った行為に加担してしまう危険性について解説します。

大企業病とは?

一般的に、大企業病とは、組織が大きくなることで見られる非効率な組織体質のことで以下のような特徴があります。

  • セクショナリズム
  • 官僚主義・社内政治
  • 事なかれ主義

 

行き着く先として、次のような事例が散見されるようになります。

✔️従業員同士の責任転嫁

✔️視野の狭い目的意識

✔️上司ばかりを気にする忖度文化

✔️主体性・創造性の欠如

✔️不必要な作業の増加

 

企業であれば、生産性が落ち、競争力も失うことになります。

長期的には、イノベーションを生むような発想力や創造性も発揮されなくなるでしょう。

事実、そのような問題が日本の大企業で取り沙汰されて久しい現状です。

 

日本の官僚組織においても、多くのことが当てはまると思います。

 

これが一般に言われていることですが、もっと恐ろしい成れの果てを指摘します。

それが、人間としての当たり前の感性を失うということです。

非道徳的なことをしても気づかないか、悪いとも思わなくなります。

これから、過去の事例などをあげながら説明していきます。

ナチスでユダヤ人迫害を指揮した男とは?

大企業病

ここで一つ、ナチスドイツの事例から考えます。

ナチスという組織は、ヒトラーが独裁者として知られていますが、当然一人で何もかもできるわけではありません。

実務担当者が何人もいて、命令に従い、作戦を立てて、実行に移したわけです。

その中心人物の一人にアイヒマンという役人がいました。

 

アイヒマンとは極悪非道な男なのか?

アイヒマンはナチス政権下で、ユダヤ人の大量移送などを指揮しました。

第二次世界大戦終結後、逃亡していたアイヒマンですが、約10年後に捕まりました。

ナチスの実務部隊として、身の毛もよだつ政策を指揮した人物とはどのような人なのか?

 

注目を集めましたが、実際、アイヒマンという男は、ごく普通の外見、ごく普通の男だったようです。

むしろ小心者の小役人のような印象に、世界は驚いたと言われています。

 

アイヒマンは、ユダヤ人迫害について、「命令に従っただけ」だとして自身の無罪を主張しました。

つまり、一役人として、国家の命令に従っただけ、与えられた任務を淡々とこなしただけだという主張です。

 

さらに、どのような命令であれ、与えられた任務を遂行すること自体に満足感を感じていたと話しています。

ちなみに、ヒトラーに特別心酔していたわけでもないそうです。

組織の指示に従うことだけを考えていた役人が、世界が震え上がるような大虐殺の実務を指揮していたわけです。

 

アイヒマン実験に見る人間心理

このアイヒマンの名前をとった、「アイヒマン実験」と呼ばれる有名な実験があります。

アメリカの心理学者、スタンレー・ミルグラムによって行われました。

閉鎖的な状況(組織)で、権威を持った人の指示に従ってしまう、良心が働きにくくなる人間心理をよく表す実験です。

 

実験の前提

実験協力者(被験者)として応募した人たちには、本来の目的とは違う目的をあらかじめ伝えました。

被験者の中から、先生役と生徒役をクジで選び、ペアを組みます。

実は、生徒役は全てサクラであり、本当の被験者は全員が先生役になるよう仕組まれていました。

 

実験の内容

先生役(被験者)が、別室から生徒役(サクラ)に問題を出し、生徒役が答えるという形式で実験が始まります。

お互いの姿は見えず、音声だけでやりとりをします。

先生役の部屋には、白衣を着た実験の監督者(権威)がいます。

生徒役が、問題に正解できなければ、先生役の手元にある電気ショックのスイッチを入れるように指示します。

間違えるごとに電圧を上げていくよう、先生役は監督者から指示されます。

 

電圧の上昇と生徒の反応

先生役の部屋には、電圧が上がるにつれて、生徒役の苦しむ声が聞こえるようになります。

なお、実際には、電気は流れておらず、演技の声を流しているだけです。

15ボルトから始まり、最高電圧が450ボルトとなっていました。

 

生徒役の反応(演技)は次のように段階的に変わっていきます。

  • 120ボルトで、大きな声を出すようになる。
  • 150ボルトに達するころには、苦しんで絶叫。
  • 300ボルトでは、壁を叩いて、実験の中止を叫ぶ。
  • 330ボルトで、反応がなくなる。

 

この間も、白衣を着た監督者は、冷静な口調で、電圧を上げるよう指示します。

当然、先生役の被験者たちは、不安になるはずです。

途中で実験をやめる人がほとんどであろうと予想されると思います。

 

気絶しても電気ショックを流し続ける人々

実験結果

ところが、なんと、被験者40人中、26人が最高電圧までショックを流し続けたという結果です。

しかも300ボルトよりも前に実験を辞退した人は一人もいなかったということです。

すでに生徒役の絶叫が聞こえているのに、一人もやめなかったのです。

 

早い段階で、実験の安全を疑う被験者、実験協力の報酬はいらないからやめると申し出た被験者もいたようです。

しかし、白衣を着た監督者から、「問題ない」、「責任は全て主催者側にある」ことを確認した上で、結局続けてしまうという結果だったそうです。

 

人間共通の心理

なお、このアイヒマン実験は、やり方を少し変えながら、多くの国、時代において繰り返し行われましたが、同じような結果が出たそうです。

つまり、時代や国の特性とは関係なく、人間であれば誰もが陥る可能性のある境地であることが示されているのです。

 

また、先生役を増やし、出題者と電気ショックスイッチを押す人で役割を細分化した場合などは、最高電圧まで達する割合がさらに上がったという結果も興味深いところです。

 

いかに、人間が権威に弱いか、責任を転嫁して思考停止になりやすいかがわかります。

白衣の監督者ではなく、組織の上司から指示されて、同じような状況に陥っている人もいるのではないでしょうか。

 

普通の人でも非道な人間になり得る

先ほどのアイヒマン自身の話に戻りますが、別の供述にて、

出来るだけ、実行部隊各人の業務を細分化し、責任の所在が曖昧になるように敢えてしていたと言っています。

つまり、細分化された役割を与えることで、各人の罪の意識を極小化されるよう意図していたのです。

 

「私は、ただトラックに誘導しただけだから。。」

「僕は、手錠をつけただけだ。。」

「俺は、上からの合図に従って実行の声をかけただけ。。」

 

自分は悪くありませんという考えを作る余地を与えていたのです。

 

先ほどの実験でも、役割が細分化されると、より高電圧まで達するという結果もあります。

このようにして、ごく普通の人でも、悪事に加担してしまうということが実際に起きているわけです。

しかも、当人たちは、自分は悪くない、命令に従っただけ、直接危害を加えるような役回りはやっていないと主張します。

良心も感じにくくなっている(もしくは押さえ込む言い訳がある)ことが恐ろしいポイントです。

大企業病の本当の弊害 アイヒマン状態になっていませんか?

大企業病

ここまで読まれた方は、すでに気づかれていると思います。

大企業病の本当の弊害は、アイヒマン状態になることです。

権威に従うことだけを考えた結果、良心の呵責もなく、非人道的、非道徳的なことをしてしまう。

そのような自分を正当化してしまうということです。

大企業病に陥った組織人の特徴と、アイヒマンや実験の先生役になった被験者が置かれた状況は酷似しているのです。

アイヒマンや、実験の被験者の状況を企業組織に置き換えて考えます。

私が見てきた実際の話に基づいています。

 

気づかないうちに非人格者

例えば、営業の部署であれば、とにかく収益をあげることが必要とされます。

しかも、細分化された組織では、与えられた条件で、限られた場所と資源で、営業成績を上げなければなりません。

組織の上には上司が何重にも重なっています。

プレッシャーも大きくなる上に、どうしても視野が狭くなる傾向があります。

 

すると、組織の中の常識が強くなり、倫理観に歪みが生じます。

そこでよく発生するケースは、無理な営業手法です。

 

個人個人としては、なんてことはない、普通の感覚を持った人たちの集団です。

しかし、巨大化した組織の権威のもと、無条件に指示に従い、非道徳的な行動を重ねてしまうことはよく発生します。

プレッシャーもかけられ(時にはパワハラ上司もいるため)、余裕もなくなります。

結果的に、無理やりな営業や、犯罪すれすれの行為が行われることもあります。

 

それでも組織に戻れば、数字をあげた人がよしとされます。

時には英雄のように称賛され、慰労を受け、お祝いに飲みに行こうとなるわけです。

きれいごとだけではやっていけない、グレーゾーンと完全な黒を見極めることが大事だと言われることもあるでしょう。

軽い武勇伝として、そういったギリギリの非道徳的な経験を自慢げに話す人もいると思います。

 

一方、成果の出ない人は戦犯扱いになります。

 

そのような組織にいると、権威に従って成果を出すことが全てとなり、行いも正当化されます。

どうしても良心の働きが鈍くなりやすいのです。

営業対象のお客さんに対して、もはや人として見えていない、数字としか認識できなくなっている人もいるものです。

 

非道徳と法律違反は別物

非道徳と法律違反は同じ物差しで測れません。

そこをうまく利用するのが、大きな組織のやり方です。

 

体力がある企業は、法律専門、コンプライアンス専門、カスタマー対応専門の部署があり、外部に相談する弁護士もいます。

業歴の長い企業であれば、ノウハウの蓄積も進んでいるでしょう。

 

法律上不利にならないよう、契約書や、業務フローの細かいところまで作りあげられています。

はっきり言って、個人事業主や中小企業では太刀打ちできません。

 

裁判になった時に、不利にならないようにうまくできているのです。

そこさえおさえておけば、少しトラブルになっても負けはしないと、どっしり構えることができるのです。

非道徳的な手法を駆使し、契約を取り、あとで違法性を指摘されても、法律上の要件は満たし、さらに必要な記録も残しているため万全なのです。

 

法律的な根拠を武器に、「法律的には間違った事はしていない」と言い張ることで、自身の行為が正当だとする人は必ずいるものです。

そのような人を数多く見てきました。

 

気づいたら悪事に加担

グレーゾーンとブラックの違いはどこにあるのでしょうか。

実際には、境目を見極めることなどは困難です。

境目などは、あってないようなものです。

法律に触れなければ何をしてもよいという方針でいれば、結果的に、企業ぐるみの不正行為も発生しやすくなるでしょう。

 

そのような事例はいくらでもあります。

感覚が麻痺していることが特徴です。

集団の空気に抗うことができなかったと振り返る人が非常に多いのが事実です。

 

もしかしたら、本音では、「自分は言われたことをやっただけだ、自分は悪くない」と思っているかもしれません。

先ほどのアイヒマンと同じです。

 

多くの場合、問題が起きれば、犯人と責任の所在を特定して、それ以外の人は、自分とは関係のないことだと思い込みます。

一部の人たちが間違ったことで、自分は、自分の部門は悪くないと、どこか他人事になるのです。

 

自身の行動の善悪よりも、責任が降りかかってくるかどうかばかりを気にするようになります。

判断基準が、気づかないうちにそれしかなくなっているのです。

 

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まとめ

アイヒマンの事例や、実験の事例からもわかる通り、

ごく普通の人でも、良心の働きが抑制されて、悪事に加担するという危険性はあります。

 

それは、巨大化した組織で、業務が細分化された状態で起こりやすくなります。

思考停止か、責任の転嫁により、権威に従うことをよしとしてしまうことは、今の時代でも散見されます。

組織の方針に従う、上司に従順であることだけを考えていると、極端な話、人間としての正しさを忘れ、気づかぬうちにアイヒマン状態になってしまうことすらあるわけです。

 

権威とプレッシャー

→責任転嫁と思考停止

→そして自己正当化

 

この流れで簡単にアイヒマン状態は完成します。

人間誰でも、そうなる危険性があることを認識するべきです。

その認識の上で、そうならないために、組織への認識を改める必要があります。

 

組織の方針を金科玉条とするのはやめるべきです。

少なくとも、自分自身の判断基準を持つこと、ノーを突きつける勇気を養うことが必要なのではないかと思います。

 

個人の人格をしっかり作ること、自己を確立するために、以下の記事も参考にしてみてください。

知識や資格、社内調整能力よりも大事であることは確かです。

以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

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