こんにちは!Jimmyです。
今回のテーマは、人間同士の距離感を感じる社会が、不寛容を増長させている現状についてです。
距離感といっても、ソーシャルディスタンス(社会的距離)とは別の問題です。
心の通う距離感と言ってよいかもしれません。
本ブログでは、何度か、不寛容で息苦しい社会の実態について言及してきました。
今回は社会構造の中にその原因を見出し、少しでも改善するために進むべき方向性について考えます。
参考:以前の記事
フィンランドが幸福度ランキング1位、日本が幸せを感じない理由
企業のコールセンターの対応に感じる違和感
以下のツイートは、この項の趣旨です。
コールセンターの対応はロボットのようで違和感があります。
だから客側も「非情」になりがち。
対応水準を一定にしたいのでしょうが、ある程度守破離のようなものがあってよい。話し方や言葉の選び方くらい個性がないと。ベテランになるほど機械的な対応になって余計に反感を買います。
— Jimmy@信念のある自分の人生を! (@JimmyOsuka) September 12, 2020
現在の私たちの消費活動では、
企業からモノやサービスの提供を受けるという機会が非常に多いと思います。
スーパーで物を買ったり、大手プラットフォーマーが運営するネットショップを通じて買い物をしたりします。
移動するにも、電話をかけるにも、電気を使うにも、企業が提供するサービスを利用しています。
大手であれば、ほとんどが専用のコールセンター、カスタマーサービス部署などを設けています。
顧客からの様々な問い合わせを受け付ける窓口となっています。
しかし、ここに人間同士の距離を感じ、不寛容社会を増長する原因の一端を見ることができます。
ロボットと話しているような感覚
営業時間内であれば、いつでも問い合わせ可能なコールセンターは、非常に便利な存在です。
メールでの問い合わせだけでは不満を覚える消費者も多いことでしょう。
ありがたいサービスなのですが、コールセンターの対応は、時にロボットと話しているような感覚になることがあります。
口調は丁寧なのですが、あらかじめ与えられたプログラムを実行しているようでもあります。
手順の説明であれば、それで問題ないのですが、
トラブル対応、クレームの類になると、到底顧客側が納得する、満足する対応はできないでしょう。
(もちろん相応以上の埋め合わせがあれば別)
某ネットスーパーの対応
某ネットスーパーを利用した際、注文したものが欠けているということがあり、カスタマーセンターに電話したことがありました。
まずは謝罪されましたが、対応については以下のような趣旨でした。
✔️再配達となると、当日は不可能。
✔️お待たせしてしまうため、届かなかった分の代金をポイントとして返金させてほしい。
つまりは、ポイントで返金して注文をなかったことにする。
必要なら自分で買ってくれ。
しかも次回もまた買い物してね、ということです。
「なんじゃそれ?」と思いつつ、1つだけの再配達は、コストに見合わないためやりたくないのもわかります。
些細なことで、契約履行のことや権利を主張するようなことはしたくありません。
誰でもミスはあるため、それで了解することにしました。
その後、数ヶ月経って、同じようなことがまた起きました。
再度電話すると、前回と全く同じ言い方で、ポイントによる返金を促されました。
2回目ということで、もう少し配達の際に気をつけてほしい旨伝えたところ、
「はい、それではお手続き・・・」
と軽く流されましたので、方向転換。
商品1つだけでしたが、再配達の手配をお願いしました。
これも、不本意といえば不本意です。
気分がよいものではありません。
近所の八百屋さんであれば、以下のような会話で穏便に済ませることができる人も多いはず。
何より会話が爽やかで短い、後に引きずることはありません。
画一的な対応には心の通わない反応が返る
クレームの類は、顧客側が不満や怒りを持っているため、対応は難しくなります。
納得のいく解決策など、毎回あるものではありません。
と言うより、企業側のミスが原因の場合は、謝って納得してもらうか、埋め合わせをするしかありません。
そんな時に、電話のオペレーターが、機械的な対応をすると、顧客側の怒りの火に油を注ぐことになります。
顧客の立場からしてみれば、相手がロボットみたいな画一的な対応をすればするほど、自らも非情になる、不寛容になると言えます。
画一的な対応を取られると、それならと、顧客側も”ビジネスライクスイッチ”が入り、権利や正当性を主張し始めます。
私も何度か経験して思うのですが、「人間なんだからミスもあるよね!」という気持ちがなくなっていくのを感じます。
精神的な距離感があると、人間味を感じません。
ですから、このような感覚に自然となっていくものです。
経験やスキルは伸ばすべきもののはずが
コールセンターで働いている人の立場はどうでしょう。
人が働いているということは、本来当たり前に成長していくはずです。
経験やスキルに応じて、本来であれば考える余地が与えられて然るべきです。
権限を与えることで、90点の対応ができるようになるかもしれません。
話し方や対応への持っていき方、説明の仕方などは相手に応じて変えていくべきですし、経験を積めば、そのあたりの勘所もわかってくるはずです。
ただ、企業からしてみれば、90点の対応よりも、勝手なことをされて(10点の対応をされて)大トラブルに発展する方が気になるわけです。
それよりは、皆70点くらいの水準で揃っていた方が統一感があり、トラブルが少ないと思っているのでしょう。
だから、全て画一的に対応するように教育します。
ただ、それでは機械同然です。
いつまでたっても、同じ対応、新人でもベテランでも決められたこと以外はできないとなれば、モチベーションも上がるはずはありません。
そのような環境で、組織からは、「お客様のために働きましょう」といくら言われても納得感など皆無でしょう。
ベテランになるほど機械的な対応になり、上部だけの返事となり、余計に怒っているお客を刺激しかねません。
働いている人にとっても、顧客にとってもよいことはありません。
不寛容とストレスの循環
トラブル対応をする際などは特に、コールセンターで働く人は大変です。
自分ではもっと別の対応方法を話したいのに、決められている以上のことは言えません。
画一的な対応をして火に油を注ぎ、それに耐えなければならないのはかなりのストレスでしょう。
ですから、この人たちが、普段の生活に戻った時、まだ別のところにストレスのはけ口が必要になります。
このような画一的な対応と不寛容が循環して、世知辛い世の中を構成しているように思えてなりません。
その根底にあるのが、人間同士の距離感です。
コールセンターの例をあげましたが、このような「距離を感じる関係」が今の社会では蔓延していると言えるでしょう。
AI時代にはデータを抱える企業が最強
AIによる機械学習の進歩は目を見張るものがあります。
アマゾンなどの商品おすすめ機能などは、かなり精度が高く驚くほどです。
これからの時代は、データを持つ者が強いと言われているのも頷けます。
顧客との接点を持つ巨大企業の強み
顧客との接点が多いということは、データを多く蓄積できるということです。
顧客と接点の多い大きな企業ほど、
つまりデータが蓄積されるほど、機械学習も深化し、より精度の高い予測や商品案内ができるようになります。
当然、商品、サービス開発にも活きてきます。
そうなれば、消費者も集まるため、供給側もプラットフォームに参加するようになります。(販売にせよ、プロモーションにせよ)
だから、大手プラットフォーマーと呼ばれる、グーグルやアマゾンは強いのです。
力関係が取引条件に反映
そのような背景から、企業間の力関係がはっきりと取引条件にも反映されます。
市場原理に任せておけず、国の機関が是正に動く例は最近でもよく見聞するところです。
製造業では、昔から下請けが厳しい立場にあると言われてきましたが、成長期にはそれでも耐え抜くことはできたのかもしれません。
しかし、今の経済環境を考えると、データを所有する巨大企業と取引をする側は、以前よりもさらに厳しい状況に追い込まれることが予想されます。
データの力で全国的に販売網を持つ会社に対抗するには、地域性に根ざした狭い範囲で強みを有することで対抗していくしかありません。
幸いにも、大きな企業の問題点がないわけではありません。
それこそが、距離を感じる関係を背景とした、人間味のない関係です。
そこには、不寛容さと息苦しさが渦巻いています。
供給側はもちろん、消費者側も、利便性を感じる一方で、画一性への不満にも気づき始めているように思います。
見直される距離感の大切さ
先ほど、大手企業のコールセンターの例をあげました。
本来、もう少し寛容さを持って、対処できるはずの問題が、両者にとって思わしくない方向へと向かう事例を紹介しました。
そして、データ時代の到来。
データを抱える巨大企業とそれ以外の企業との力関係が開いている現状を見てきました。
ある意味前時代的ではあるかもしれませんが、今の時代だからこそ、距離感の近い関係を軸にした取引がもう少しあってもよいのではないかと思います。
それができるのは地域であり、地域に根ざした関係作りを見直す局面にいるのではないかと思います。
近いからこそ、顔見知りだからこそできること
距離を感じると、どうしてもお互い作業的、機械的なやりとりになります。
土台となるのは権利と義務であり、それらを主張し合うことになります。
立場の強弱もありますが、基本的にはこのようなやりとりを毎日のようにしていると疲弊します。
その結果、今の不寛容な社会が出来上がっていると言っても過言ではありません。
距離感の近い関係であれば、思いやることも、融通をきかせることも容易になります。
社会の目という信頼感ではなく、地域に根ざしているという信頼感、ひいては人間同士の信頼感に基づく関係こそが、不寛容社会の是正に繋がる道であると思います。
人間性の本質は、昔から変わっているとは思えません。
人と人との距離を感じるからこそ、不寛容な対応になってしまう部分が大きいと言えます。
近いからこそ、顔見知りだからこそできるサービス、関係の構築が望まれます。
もちろん、巨大企業による、全国網羅型のサービスがなくなることはないとは思います。
しかし、併存する形は十分にあり得ることです。
消費者がそれを選ぶかどうか、何を求めるかどうか、どこに価値を見出すか次第です。
地域性をどう作ってまとめていくか
ヒントになるような試みはたくさんあります。
コロナの影響もあって、地域の良さを再認識してもらおうとする動き、地元で旅行したり地元で消費しようとする動きも出てきています。
狭い地域に特化した、コミュニティーや掲示板をオンラインで作って、地元ならではの情報をまとめているものもあります。
地域に特化した食品デリバリーやお店紹介などもよく聞くようになりました。
以前、「資本主義の限界」というテーマで記事を書いたときに紹介した、面白法人カヤックという会社で取り組む地域資本を軸においた考え方も大変参考になります。
地域の人たちと協力しながら、経済も回していくことが実際に行われています。
地域に根ざした商売をしようと思えば、モノやサービスを提供する側だけではなく消費者の意識の変化も必要不可欠です。
地元ならではの安心感、そこにいる人から買う楽しみ、得られる情報、
そんなキーワードのもとで、お互いが地域を軸にする価値を見出せれば、様々な展開が考えられると思います。
AIやデータ技術の進化は、巨大企業だけのものではなく、今までできなかったことを地域社会でも可能にするものでもあります。
全国、全世界の人の情報を蓄積することは不可能でも、自分の地域、狭い地域に特化していれば、巨大企業よりも情報を得ることは可能なはずです。
よりコンパクトな単位で、そこにいる人との近い距離を感じながら、経済活動を行うという意義が増しています。
距離感の近い関係が、もう少し生活の中に入り込めば、不寛容さも随分と緩和されるのではないかと思います。
そういう地域を作っていこうと働きかける人と、その価値を認識して賛同してくれる人、その両方が、少しずつ増えてきているようにも感じます。
まとめ
私たちが、日常行う経済活動には、多くの企業が関わっています。
規模を活かした、データ分析を活かした大きな企業が提供する商品、サービスを選択する機会が大部分かもしれません。
その結果、人間同士の距離感は遠くなり、義務や権利を主張する人間味のない関係が増えました。
距離が近い関係よりも、遠い関係の方が、人間はどうしても、「非情」になり、機械的なやりとりになります。
揚げ足を取られないように慎重になり、また自分の権利が満たされていないと怒りを覚えます。
不寛容な社会の原因の大きな要素として考えることができます。
AIや機械学習の深化により、多くの顧客を囲い込もうとする大企業の存在を考えると、
競争優位性の話題もさることながら、寛容さと人間らしさを取り戻すための動きも必要になってくるように思います。
それこそ、地域単位でのコミュニティー、地域に根ざした経済活動への一部回帰です。
なお、寛容さといった概念にとらわれずとも、データの時代では、データを保有する企業とそれ以外の企業の力関係はより鮮明になり、取引条件も厳しくなります。
企業としても、地域に根ざした活動に目を向けるメリットは大いにあります。
一個人、消費者として、地域で経済活動を行う価値を見直す動きが増えれば、
人と人との距離感が遠ざかる傾向に歯止めがかかるのではないかと思います。
そうすることで、不寛容で息苦しい関係から抜け出し、ほっとできる場所にもなるのではないでしょうか。
以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。
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