こんにちは!Jimmyです。
今回は、生き方、自己啓発の分野でおすすめしたい名著「言志四録」(げんししろく)を紹介します。
江戸時代の本ですが、歴史を変えてきた偉人たちに広く影響を与え、現在でもリーダーのためのバイブルとして読まれています。
おすすめのポイントは、
✔いつの時代にも通じる本質的なことが、
✔大変短く、わかりやすくまとめられているので、
✔心に響きやすく、残りやすいということです。
素晴らしい内容のわりには、それほど現代の世の中で知名度は高くないようです。
そんな言志四録とは何なのか、魅力と読むべき理由を解説します。
言志四録とは何か?
言志四録は生き方の教え
言志四録とは、江戸時代の儒学者である佐藤一斎により書かれました。
著者が、40代から80代までの約40年をかけて書き続けた、人生の大事な考え方、生き方指南書のようなものです。
現代では、リーダー向けの教えとされることが多いようですが、リーダーに限らず必要な考え方がつまっています。
書かれた年代により、言志録、言志後録、言志晩録、言志耋録(てつろく)と4種の著書に分かれています。
これらを総称して、言志四録と呼ばれています。
いかにも壮大な記録のように思われるかもしれませんが、総数にして1133条、一つ一つは大変短く、端的に本質的な教えが記されています。
(原文は漢文であり、文字数は少ないのですが、一つの条文で、数字から多くても数十字程度のものです)
一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂うること勿れ。只だ一燈を頼め。
(言志晩録 第13条)
私の一番好きな箇所を最初の例に持ってきました。
非常に端的に示されていることがわかると思います。
書き下し文でも十分理解できるくらい簡易ですが、敢えて解釈も書いておきます。
解釈
提灯(ちょうちん)を提げて暗い夜道を行くとは、考えの拠り所、信念を持っているということです。
先のわからない暗い道は、当然不安になります。
怖がることなく、止まることなく進むために頼りになるのは、自分が持っている提灯の灯り、
つまり自分の心の中に燃えている信念しかない、という解釈になります。
内容は儒教の教えが基本
著者の佐藤一斎は儒学者です。
儒学と言えば、孔子の論語を思い浮かべる人が多いと思います。
孔子が、あるべき政治の姿や、道徳について語っている「子曰く・・」から始まる文章は広く知られています。
はるか昔、紀元前の中国の思想が、日本に伝わり、後世の指導者に大きな影響を与えました。
そして今でも、四書五経を中心に、多くの日本人に学ばれています。
佐藤一斎が言わんとしていることも、儒学の教えが基本になっていることに違いはありません。
事実、孔子や孟子の教えが登場する箇所もたびたびあります。
四書五経の内容に触れたことがある人であれば、同じようなことを主張しているのだとすぐにわかると思います。
それなら、わざわざ言志四録など読まなくても、直接四書五経などの儒教の経典を読めばよい、
超訳、解説書も様々あるではないかと思われるかもしれません。
しかし、言志四録ならではの魅力があるから、今でも残っているということです。
次に其の魅力を解説します。
なぜ言志四録がおすすめなのか?
こんな人におすすめ!
- 四書五経や中国の経典にハードルを感じる。
- 儒教の教えは現代では通じないのではないかと思っている。
- 儒教は理想的なことばかりで、現実感がないと感じる。
影響を受けた、そうそうたるメンバー
現代の世の中では、あまり有名とは言えない言志四録ですが、江戸時代末期から、明治維新期にかけて広く読まれ、影響を与えてきた著書であると言えます。
著者である佐藤一斎の門下生は、数千人とされています。
中でも、高弟の一人である佐久間象山からの系統が有名です。
佐久間象山の門下には、吉田松陰、勝海舟、坂本龍馬といった顔ぶれ。
そして、吉田松陰の松下村塾から、高杉晋作、伊藤博文、木戸孝允らといった明治維新をリードした志士たちへとつながっていきます。
門下生ではないものの、西郷隆盛は、言志四録に多大なる影響を受け、座右の書としていたことがわかっています。
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本質をとらえるから、短くても響く
せっかくいい教えであっても、長いものだと忘れてしまいます。
記憶に残らなければ意味がありません。
なんとなく言いたいことはこんなことだったと覚えていることもあるかもしれませんが、その程度では、何度も呼び起こして心に響かせることはできません。
考えてみれば、そのような「もったいない教え」は世の中には山ほどあるように思います。
人間とは残念ながら、そのようなもので、
世の中にある名言の類は、ほとんどがこれに当てはまります。
長い文章が、人の心を震わせる名言として残っていることはまずありません。
キング牧師もリンカーンも、オバマも、田中角栄も、スピーチの中にある、短い端的な言葉で人の記憶に焼き付けました。
ただ、当然短ければ何でもよいというわけではありません。
短いからこそ、本質をとらえていなければならず、長くダラダラ話すことよりもはるかに難しいと言えます。
以下に示すものは、短く本質をついており、納得感もあり、覚えたくなるフレーズです。(と思っています。どうでしょうか?)
立志の功は、恥を知るを以て要と為す。
(言志録 第7条)
解釈
志を達成するには、恥をかくことが必要である。
失敗は成功のもとということわざもありますが、成功するために通るべき道としてよりイメージしやすい言葉ではないかと思います。
恥ずかしい思いをしながら、成功に近づいていくものだという教えです。
人はすべからく快楽なるを要すべし。快楽は心に在りて事に在らず。
(言志耋録 第75条)
解釈
人はみな、心に楽しみがないといけない。楽しみというのは、心にあるのであって、そのものごと自体にはない。
つまり起きたことに対してどう反応するかは自分次第、楽しいと思うかどうかは自分で決められる、
いつも前向きな心持ちで、いかなる状況でも楽しもうという教えです。
実践的!日常生活に通じる
儒教の経典などを見ていると、政治のありかたや、儀礼などについて書かれていることがよくあります。
そもそも孔子自身が、徳治主義のもと、国をいかに治めるかという視点で考えていたため、そのような教えも多くあります。
一方、言志四録の著者佐藤一斎は、儒教の学問体系である朱子学と陽明学両方に通じていたこともあり、実践的で日常に通じるような教えも多く含まれています。
日常における指針としやすいと言えるでしょう。
人の過失を責むるには、十分を要せず。宜しく二、三分を余し、かれをして自棄に甘んぜず、以て自ら新たにせんことをもとめしむべくして可なり。
(言志晩録 第233条)
解釈
人の過失を責めるとき、完膚なきまでにやっつけないこと。
2割3割くらいは、言わずにおくことが大事。
自暴自棄を起こしてしまえば何にもならない。
自分から過ちに気づき、反省し、改めることを促すのがよい。
今の時代、仕事の関係でも、交友関係でも、家庭内でも通じることではないかと思います。
名のもとめずして来る者は、実なり。利の貪らずして至る者は、義なり。名利は厭う可きに非ず。但だもとむると貪るとを之れ病と為すのみ。
(言志耋録 第205条)
解釈
自分から要求しないで得られる名誉は、実績であり本物の名誉である。
貪欲にならずに手に入れることができた利益は、正しい行為の結果であり正当な利益である。
このような名誉や利益は、拒否する必要はなく、正当に受け取ればよい。
ただ、自ら求めて貪るような名誉、利益は、ただ弊害しかもたらさない。
最後に、言志四録の中で、おそらくもっとも有名と思われる箇所も紹介しておきます。
少にして学べば、即ち壮にして為すこと有り。
壮にして学べば、即ち老いて衰えず。
老いて学べば、即ち死して朽ちず。
(言志晩録 第60条)
解釈
少年のときに学んでおけば、壮年になってそれが役に立つ、物事を成し遂げることができる。
壮年のときに学べば、老人になっても気力が衰えることはない。
老人になってからも学べば、死んだ後も名が残るほど、社会の役に立つ人になっているだろう。
最後に 参考図書紹介
古くから、儒教に関連する教えは日本人に広く学ばれ、今でも四書五経をはじめとする経典は、多くの人に知られ、そして学ばれています。
言志四録は、その儒教の教えを引き継ぎながら、日常生活にも通じるような実践的な教えが詰まっています。
昔の経典に対して、とっつきにくいイメージがある人でも、読みやすい教えであると思います。
もちろん、原文を読む必要はなく、現代語に超訳したもの、解説が充実したものもあります。
はじめて学ぶ際は、そういったものから入ることをお勧めします。
以下、参考図書を示します。
なお、四書五経をはじめとする、経典や、その時代に活躍した思想家について詳しく知りたい場合は、こちらの記事も参考にしてみてください。
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